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あのプロジェクトXでも取り上げられ、痛くない注射針でも有名な町工場のオヤジ、岡野雅行さんの講演を聞く機会があった。
決して話はうまくないが、73歳の年齢を感じさせないパワフルさと頭の柔らかさに引き込まれた。
東京の下町の従業員6名の小さな町工場から、世界最先端の技術によりさまざまな物が生まれる。岡野さんには、媚びると言う言葉は浮かばない。
この本のタイトル俺が、つくる!の言葉通り、不可能を可能にしてきた。男の言葉の重みを感じていた。
岡野さんはチャキチャキの江戸っ子だ。言葉の節々で気風の良さが伺える。
誤解を招く言葉でも、純粋無垢の心が見えるので悪気はなく聞けた。
また、長々と能書きを語ることなく、短いセンテンスで語られるのでリズム感があって、スーッと入ってくる。重さよりも深みを感じ気持ちがいい。
そんなところが岡野さんのもつ言葉の力なんだろう。
岡野さんがつくる物の値段は、岡野さんが決める。仕事関係から言えば依頼主が強い業界にあって出来ないものをつくるから出来ることだ。
岡野さんが講演で言われた「一番最初にやった者が価値がある」の一例だろう。
また、岡野さんから出た思いがけない言葉「発想よりも感性」は豊かな発想は、感性により磨かれることの証明と実感した。
年齢を重ねてなお、感性を磨くことへの努力が岡野雅行という世界一の職人を創っているのだ。