映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、世界的に人気のミステリー小説を映画化したフランス映画「ビッグ・ピクチャー・顔のない逃亡者」です。
弁護士事務所を共同経営し、美人の妻と二人の子供に恵まれ、何不自由ない生活を送っていると思われていた主人公ポールは、自己嫌悪に陥りやすい性格から、妻と隣人の写真家との浮気を知り、ついかっとなり彼を殺してしまいます。彼の死体を始末したポールは家族や知人と別れて、彼になりすますことで夢だった写真家としての人生を歩もうとします。
主人公ポールには真夜中のピアニスト、ハートブレーカーでも有名なロマン・デュリス。ビジネスパートナーには、ベテラン女優、カトニーヌ・ドヌーブが演じています。ドヌーブとデュリスの絡みがほとんどないのが、少々もの足りなさを感じました。
妻とのぎくしゃくした関係から、殺人に至るポールの心理描写や死体を始末する方法など、優れた原作がベースにあり巧みで、見知らぬ町に住みつき、写真家としての才能を見出され個展にまで行き着く過程も細かく描かれてアート作品としての見ごたえがありました。
ビッグピクチャー、ここではおそらくポールの写真作品の大作を意味するものではないかと思われます。静かに、密かに好きな写真で罪から逃れ暮らそうとするポールが嘘を重ねるうちに、自身の才能が仇となり、思わぬ結果を招く、ポールの結末は、観る方にゆだねます。
