先日、名古屋ボストン美術館で開催していた「ヴェネツィア展」に出かけました。
最終日とあって、かなり混雑するかと思っていましたが、相変わらずの人手に。スタッフの数ばかりが目立つ展覧会でした。内容としては、美の都ヴェネツィアの歴史をたどる芸術紀行的な展示でしたが、ボストン美術館収蔵作品といっても、版画や写真が大半を占め、目玉といえる作品は、モネのヴェネツィアの運河のみで、一般的な芸術鑑賞者にとってはインパクトにかける内容です。この程度の展示で1300円の料金を払う価値があるかは疑問です。
次回はルノアールの時代展があり、こちらは相応の入館者数が望めると思いますが、最大な展覧会はこれだけで、その後に期待ができるか疑問です。
名古屋ボストン美術館の開館当初は、ボストン美術館の姉妹館として美術ファンの間で期待されました。しかし、ボストンの名品はあまり展示されることなく、結局のところは巡回展の一会場の扱いとなってます。これでは、ビルの一部で小さく狭い同館よりは、名古屋市美術館や愛知県美術館での展示の方が鑑賞者にとって有益ですし、一定の入館者数を望めます。
また、展示規模からみても西洋絵画や調度品などを収蔵するヤマザキマザック美術館のほうが、米国ボストンの意向が強い展示と比較しても見ごたえのあります。
もとより、慢性的な赤字のために10年目にも存続の危機にあった同館。契約満了20年目の2018年を待たずして打開策を見いだせないまま閉館の結論は出ていると思ってます。これを機に愛知県も名古屋市も既存の美術館への未来投資を考えてみてはどうでしょうか。