名古屋市美術館で開催中の「イギリスの夢 ラファエル前派展」を観賞。
ラファエル前派と言えば、すぐに思い浮かぶのはジョン・エバレット・ミレイ。そして彼の代表作「オフィーリア」を観た時の感動は僕の脳裏に深く刻まれています。
ラファエル前派の作品の中でも最高傑作と言われる「オフィーリア」は1862年作。今回の作品展には、その前後の大作が7点並び、最初から期待感あふれる展示でした。
今回の展覧会は、イギリスのリバプール国立美術館所蔵するラファエル前派の代表作70点が展示されています。リバプール国立美術館は、市内と近郊の三館mの総称であり、その所蔵品は当時の財界人による個人コレクションです。その骨格をなすのがラファエル前派の作品です。
ラファエル前派は、ご存知の通りルネサンスの巨匠ラファエロの芸術運動をルーツとしています。当時のイギリスのロイヤルアカデミーに伝統に反発するように起こり、フランスにおける印象派の誕生に似ています。
ただ、印象派と異なるのはその画風にあり、明るい画面、鮮やかな色彩、細密な描写を用いながらその題材の解釈において大胆な思想性を持ってます。今回の作品の数々に、静謐さと気品を感じます。また、ラファエル前派の画家たちの影響をうけたワッツ、ウォターハウスなど象徴主義の画家たちの作品も数多く並び、画風を受け継ぎながらも新しい画風に彩られた作品も魅力的でした。
昨年より19世紀イギリスの絵画も注目を浴びる中で、今回の展覧会もイギリスの芸術家の革新を知る上で有意義なものとなっています。ぜひ鑑賞をおすすめします。