映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。岸部一徳主演、北白川派第5弾作品の「正しく生きる」です。
北白川派とは、京都造形芸術大学映画学科が一丸となって、プロと学生が共同で毎年一本の映画を完成させ劇場公開するプロジェクトによる作品で、監督は同大学教授の福岡芳穂、高橋伴明や若松孝二に師事した社会派監督、主演は岸部一徳に、柄本明に中堅俳優に、同大学のOBや学生が出演しています。
物語は、岸辺演じる美術大学で教鞭をとる高名な芸術家・柳田が、震災での原発事故以降に最後の芸術作品として放射能物質を備えたオブジェを作り、テロを実行しようとするもの。
同時に震災により、人生が変わった人々のその後をリアルに描きながら、柳田のテロ実行への過程と絡み合いながら、同時に進んでいく様が興味深い作品でした。
震災により、人間の善の部分がクローズアップされる作品は多くありますが、今回は、震災により人生が狂った人々の心情と行動がむき出しになって、題名の正しく生きるの裏にある真実が浮かび上がるように感じました。
今回北白川派の作品を観賞しましたが、過去に木村威夫、高橋伴明、林海象などが監督し、錚々たる俳優陣と俳優の卵がしのぎ合っていました。
こうした、ある種の重苦しさを感じる作品も、時に表現が制限されるような今の社会には必要だと思います。今回の作品も含め過去の作品もこれからの作品にも興味が注がれそうです。