先日、名古屋松坂屋美術館と松坂屋ホールで開催された再興第97回院展を観賞しました。
ここ数年、院展を観賞する気持ちがおきなかったのすが、招待券をいただいたので最終日に観賞しました。
会場は、あいかわらず中高年層で賑わっていました。日本美術院の最高位である同人メンバーも大半が40代から50代がしめる様になり、100号以上の大作がずらりと並び迫力ある展示ではありましたが、心揺さぶられる作品は数少なく美しい作品を観るなら満足できる場所ともいえます。
そのなかで、斬新だったのは、同人の村上裕二(同人)の「巨木とハシゴ」地上に深く根をはり佇ずむ巨木を部分的に水墨で描き、背筋を伸ばした少年が、巨木にハシゴをかけようとする姿が大木と少年の大小の異なる凛とした姿が印象的に描かれ迫力と物語性を感じました。
村上氏は、あの村上隆の弟して業界では有名ですが、表現が違えど日本画に新境地を開いていく逸材になることは間違いと思います。
もう1点は、北田克巳(同人)の「朝との汀」湖畔に浮かぶ様々な情景が万華鏡と如く浮かび上がり、斬新な構図の中に琳派の雰囲気をかもし出した時の流れを感じさせる作品でした。
この2点に代表されるように日本画の枠組みを超えて新境地を切り開いていくものと、日本画としての伝統をかたくななまでに示そうとするものと院展も二つの岐路に立っているように思います。
その傾向は、第2会場の入選者を中心にした若手作家にも現れていて、今後の日本画がどのような道を選択するのか、久しぶりに興味を惹くことができました。