映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、稀代のファッションデザイナー・トムフォード初監督作品「シングルマン」です。
映画は、ゲイの大学教授が、恋人の事故死により生きる目的を亡くし、死と向かい合う一日を描いた物語。
原作はクリストファーイーシャーウッドの同名小説で、イーシャーウッドもトムフォードもゲイであることから、この作品を映画の題材として用いたことは、必然的です。
今回の映画、ケネディー政権化でのキューバ危機の時代が舞台ですが、そんな時代背景とは別に、その時代のアメリカの知識階級の人々の美意識に富んだライフスタイルが描き出されてていて、トム・フォードの美意識の一端を垣間見る重いがしました。
また、題材が同性愛者の深い愛を表現していて、それが、僕自身が時折感じる、マイノリティの持つの美しさを投影して描かれているように感じます。
大学教授を演じたコリンファースは、英国王のスピーチで演じた吃音の国王と違い、孤独なインテリ紳士を静かに演じきっています。
映画でのトムフォードのデザインは、コリンファースの大学教授と彼の一日に深く関わる生徒役のニコラスホルトの衣装だけで、教授の住む家から、シーンごとに展開される情景がクラッシクでモダンでもあります。コリンファース演じる教授が掛けるウエリントンタイプのメガネが、流行っているのもうなずけます。
ファッションや当時の建築などのデザインは、今に通じる美しさもあり、彼の思想性はもとよりスクリーンに彩られた美意識を観るだけも、十分価値のある作品です。
シングルマン コレクターズ・エディション [DVD]/コリン・ファース,ジュリアン・ムーア,マシュー・グード
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