映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はドキュメンタリ映画でヴォーグの編集者として活躍したダイアナ・ヴリーランドの回顧録的作品「ダイアナ・ヴリーランド」です。
ファッション誌の枠を超えた存在であった「ヴォーグ」は、常に革新的な雑誌であったと記憶していた僕にとって、その編集者であったダイアナ・ヴリーランドの自伝的な告白は刺激的なものでした。
1920年から裕福な家庭のなかで育った彼女が、ロンドン、パリ、ニューヨークで育ち、その時代のファッションカルチャーを体感しながら、銀行家との結婚を機にファッションエディターとして活躍。1962年にファッション誌ヴォーグの編集者となり、時代のファッションデザイナーやモデルを発掘。引退後は、メトロポリタン美術館の衣装部門の顧問に招かれるまでを、彼女と関わった人のインタビューを通して描かれています。
特に興味をもったのは、ファッションをアートの領域にまで進化させた彼女の手法です。ヴォーグでは、、世界を舞台にロケを敢行し、ファッションをカルチャーとして表現。メトロポリタン時代には、それまで保管されていた時代の衣装を表舞台に出し、衣装デザインの展覧会を開き、その後のミュージアムに大きな影響を与えました。
登場する証言者も、その時代に一世風靡した一流のデザイナーやモデルで、その個性的な風貌と考え方には、どんなクリエーターよりも郡を抜く神のような存在だったことを、この作品から感じととることができました。
美を追求した不世出のファッションエディターの生き様にぜひ注目して見てください。