映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞したトルコ作品「雪の轍」です。
世界遺産カッパドキアを舞台に家族とそこに住む人々の愛憎劇を3時間16分と言う長さで描ききった超大作。
主人公アイドゥンは、親の莫大な遺産を受け継ぐ元俳優で、カッパドキアに佇むホテルで若い妻ニハルと出戻りの妹ネジラと暮らしているのですが、家賃を滞納しているイスラム教徒の導師の家族とのトラブルが発端に、妹との諍いや妻との別居などを境にイスタンブールに一人旅立ってしまいます。
主人公アイドゥンは、自尊心が強く人を見下すところがあり、妻や妹、トラブルとなった家族の言葉に耳を貸さず、独善的な会話に終始していくのですが、その対立にある人々との会話の中に人間の抱える様々な問題が映し出されていて深く観る人の胸に刺さってきます。
あまりなじみのないトルコ作品に加えて、ロシアの文豪チョーホフの小説を原案とあって難解なイメージで観賞しましたが、時間の経験と共に自然と人間の巧みな描写と言葉を浴びながら惹きこまれていく作品ではありました。