映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ゴーストライター騒動で疑惑の人となった佐村河内守氏に迫ったドキュメンタリー「FAKE」です。
NHKのドキュメンタリーで一躍時の人となった佐村河内氏、その後にゴーストライター新垣隆氏により全てを失った佐村河内守氏に森達也監督が迫る作品です。
単館上映ながら各所でロングランを続けた本作。ようやくDVD化され個人的にも興味を持って観賞しました。作品自体は、佐村河内氏側に立ってインタビューを中心に、その後の日常を取材してますが、騒動の加担者である新垣氏が時の人となりメディアが彼を持ち上げたことで、佐村河内氏は、一方的に窮地に追い込まれていくことがメディアによる誘導によりなされていることがよく理解できます。
確かに佐村河内氏が嘘を重ねていった結果が招いたことは事実ですが、彼を人格そのものを全否定し、新垣氏を正義の人とすることでメディアの正当性が作られていく図式が見えています。
果たしてメディアはすべて正しいのか、現在の情況には、個人的にも疑問を持ちますが、この映画により、メディアにより消され続けなければいけない理由はないことを、僕は感じます。
果たして彼がペテン師であるかのか、ないのか?それは彼自身が知ることころですが、彼自身も一連の騒動による損害賠償が決定した立場であり、ラストを観る限りでは、再生の道を与えていくべきではと思います。
文春をはじめ週刊誌報道の在り方が過熱かすればするほど、抹殺しなければ許さないギスギスとした社会になっているように思い、どんな個人にも降りかかってくる世の中に怖さを感じるのは僕だけではないと思います。