映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、宮沢りえ主演の「湯を沸かすほどの熱い愛」です。
宮沢りえが、脚本を読み自らが出演を望んだ本作、日本アカデミー賞、キネマ旬報ベストテンで主演女優賞に輝き、彼女の代表作となりました。また、娘役を演じた杉咲花も演技も光り、二人の親子愛が、ひしひしと伝わる宮沢と杉咲の演技力に魅了されました。
物語の主要部分は、余命2か月を宣告された宮沢演じる双葉が、家出した旦那を呼び戻し、銭湯を再開、二人の娘の自立に奔走するというものですが、杉咲花演じる安澄との深い愛と絆を中心に、そこに旦那が連れてきた娘や旅行中に出会った青年や探偵などの出会いが加わって、新しい物語が綴られて、全編にタイトル通りの湯を沸かすほどの愛があふれ、観る人の涙が終始あふれ出る感動の映画でした。
最近、涙を誘う日本映画が増えている昨今、涙の価値が軽くなっているように感じていた僕ですが、本作が商業映画デビューとなった中野量太監督の見事な脚本を演出に感嘆し、その涙の価値が深く重く感じられる、本物の泣かせる映画です。