また、ひとり伝説がこの世を去りました。ボクシングヘビー級チャンピオン・モハメド・アリ。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。彼の華麗な姿はすでに伝説であり、記者会見の挑発などから僕の中には、ダーティーなイメージしかなく、小学生の頃からボクシングが好きだった僕が、当時絶対王者であり最も好きなチャンピオン、ジョージフォアマンの勝利を確信していました。ロープ際でフォアマンのパンチをかわし、ノックアウト勝利したアリには、悔しさだけしか残らず、その後、アントニオ猪木の信棒者となった僕は、猪木対アリ戦で再び憎しみの炎を燃やしてました。アリの存在は、むしろダーティーヒーローでしかなかったのです。
そんな、モハメド・アリに初めて尊敬の念を抱いたのは、アトランタ五輪のパーキンソン病を患い、震える手で聖火に灯をともそうとするアリの姿でした。
思えば彼の行動は、人種差別との戦いでもあったことを改めて認識し、彼の偉大さに大人となって気付く事となったのです。
ボクシングほど栄光と挫折が表裏一体となるスポーツはないと思います。引退後の後遺症や社会との隔絶。栄光の陰で、チャンピオンを含む多くのボクサーが転落の人生を歩んでいる事実を思うと、モハメド・アリの奇跡と軌跡の偉大さを感じます。
アリの伝説は永遠に人々の心に刻まれ、勇気となるに違いありません。
ジョージ・フォアマン VS モハメド・アリ