映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、歌も踊りもないインド映画「スタンリーのお弁当箱」です。
インド映画と言えば「踊るマハラジャ」や近年のヒット作となった「ロボット」など3時間の大作でFXを駆使して長時間でダンスシーンをふんだんに取り入れた娯楽作品のイメージが強いと思います。
今回の作品は、その真逆と言えるもので1時間半のヒューマン作品です。監督のアモール・グプテは小津安二郎や黒沢明等の日本映画に影響を受けた人で、主人公のスタンリーは彼の息子が演じています。また、監督自身も国語教師として出演しています。
ある小学校に通うクラスの人気者スタンリーは、お昼になると教室を抜け出しいなくなります。疑問に思ったクラスメートの仲間たちは、家庭の事情でお弁当がないことを知り、彼にお弁当を分けてあげるようになります。そんな中、食い意地のはった国語教師は、スタンリーをいじめて学校から追い出します。
スタンリーを助けようとあの手この手の作戦を練るクラスメートたち。家庭の事情を隠しながら、友情に答えようと明るく元気にふるまうスタンリー。幼い子供の純粋無垢の表情が、はちきれんばかりにあふれ感動がジワリ、ジワリと伝わってきます。ラストでは、彼の家庭の事情が明かされるですが、インド社会の実情が伝わり、懸命に生きる姿が涙を誘います。
子供の頃、誰もが楽しみして開けたお弁当箱。お弁当箱の中にあふれる愛を通じて、心の豊を知り、おなかが満たされる作品でした。
