今回は、東海地方でゴールデンウイークに楽しめる美術展を紹介します。
今回は、岐阜県多治見市にある岐阜県現代陶芸美術館で5月8日まで開催れている「アールヌーヴォーの装飾磁器」展です。
当館は、磯崎新により設計されたセラミックパークMINOの中心施設で、陶芸作品を中心に企画される美術館です。館内には地元美濃焼の現代陶芸作品も販売され、まさに陶芸ファンのための美術館です。
特徴としては当館所蔵のコレクションと日本大学教授でアールヌーヴォー期のコレクションで名高い塩川博義氏の所蔵品により構成されています。
今回の作品は、1889年と1900年のパリ万博を軸に構成され、ドイツのマイセン、フランスのセーヴル、デンマークのロイヤルコペンハーゲンなど日本でも名高い磁器ブランドに加え、同時期のデンマークのビング&グレンダール、スエーデンのロールストランドと北欧ブランドの作品が200点余り展示されています。
今回の作品は、一般的な量産作品とは一線を画す製陶所が芸術作品として認めたユニカ作品で構成されており、絵付作家のサインや制作年などが底部に記された美しい作品です。
作品の特徴としては、淡く澄んだ色に動植物の姿が写実的に描かれたものや動物をモチーフにしたオブジェ作品など、絵付作家の高い技術と表現に魅了されると思います。
パリ万博は、当時海を渡った日本の美術工芸作品の評価も高く、その代表格に宮川香山がいました。宮川作品は、この地方でも七宝の絵付けでよく見られます。ジャポネスクの影響も強く受け海外作品には、日本的な要素も強く見かけられます。
当時、北斎漫画が刊行され輸出の際に作品を包む紙として使われ、葛飾北斎の北斎漫画の作品に強く影響を受けた作品も観られました。
明治維新によりもたらされた海外交流により日本文化がヨーロッパに渡り、新しい文化として昇華されたことに驚きと日本の様式美を再認識することができる展覧会といえます。
現在の陶磁器ブームを牽引している女性に、オススメの美術展です。ぜひ鑑賞してみてください。