映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は最高齢監督映画『家族の灯り』予告編
一昨年106歳で亡くなったポルトガルのマノエル・デ・オリベイラ監督。僕のブログでも「アンジェリカの微笑み」をご紹介しました。アンジェリカでは、若くして亡くなった女性の虜になるカメラマンの心模様を描いたファンタジックな世界が表現されていましたが、今回の作品は、アンジェリカから2年後の2012年に制作されたポルトガルの劇作家、ラウル・ブランダンの戯曲を基に、オリヴェイラ監督が脚本、監督した作品です。
舞台は、フランスの港町。8年前に失踪した息子の帰りを待つ老夫婦と息子の妻が貧しい生活の中、静かに暮らしている。そこに突然息子が帰ることで、老夫婦と妻に異なるざわつきが生まれてくる。
夫役のマイケル・ロンズデールと妻役のクラウディア・カルディナーレ。そして夫妻の友人に誰もが耳にしたことのあるジャンヌ・モローが加わり、老練な演技と長セリフを聞きながら、正面からとらえる食卓のシーンは、映画というよりは舞台。そこにランプの灯だけが象徴的に光を放ち、古典絵画を思わせるような雰囲気を醸し出していました。
そこに息子が現れることで、三者三様の感情があふれ出し、家長である父の決断により終焉を迎えます。
人により退屈な作品ですが、ラストに結びつく冒頭シーンなど、ミステリアスな要素と家族愛が組み合わさり、絵画的な情景により普段の観る映画とは違う空気を感じられる作品でもありました。