本日の映画レビューは、ヨアキム・トリアー監督新作でカンヌコンペティション出品作「わたしは最悪。」です。
今回の作品は、デンマーク出身のヨアキム・トリアー監督脚本のノルウェー・フランス・スウェーデン・デンマーク合作作品でアカデミー賞の脚本賞、国際長編映画賞にノミネート、カンヌでは主人公のユリアを演じたレナーテ・レインスベが女優賞に輝いた話題作です。
仕事に恋愛に移り気な主人公のユリアが自分探しの旅的な内容ですが、女性を中心に共感を得ているそうです。男性の立場でも異性に対する恋愛観の違いや仕事に対する悩みなど理解できるものでした。
物語は12章から構成され、それぞれの章にタイトルにそって物語が展開されています。主人公のユリアはシングルマザーと祖母に育てられた才女で医学部に進学し、外科を専攻するも人間に興味があり心理学を学ぶために編入、しかし彼女の性格から突如カメラマンを目指します。その間に自由奔放に男女関係を楽しみつつ年上の漫画家と同棲、浮気、別れの中で自立していきます。
内容から見ると複雑に見えるのですが、実は誰もが持つ普段の日常が緩やか詳細に描かれていて原体験に近い形です。それは、北欧の白夜の夏を舞台にしているので情景の美しさとシーンのごとの繊細さやナチュラルな演技が相まってどの章も飽きさせない演出ですべての章がラストに上手くかみ合ってます。
僕自身、自分探しの旅を口にする人はあまり好きではありませんし、最近のSNSの影響かファッションのように語れていて違和感を持ってました。おそらくは、人生をおいて真面目に考えながらも答えを出せないことに悩んでる女性に共感を得てるのかなと思います。トリアー監督は、男性監督ですが女性視点でうまく描いていると思います。
女性には共感を男性には理解を感じられるヨーロッパらしい作品だと思います。