税金をむしゃむしゃ食べて太ったブタ」
「僕は4年前、改革を本気でやってくれると思って竹山市長を応援したんですが、間違っていました。本当にすみません」
8月26日夕。堺市の玄関口である南海堺東駅前で、橋下氏は維新幹事長の松井一郎大阪府知事、西林氏らと街頭演説を行った。近くにそびえる21階建ての市役所庁舎を指さし、皮肉った。「あそこのてっぺんにいって、市長の身分を守ることしか考えられない」。
前回の市長選では大阪府政策企画部長を辞めて出馬した竹山氏が、自民、民主、公明が事実上相乗り支援した現職に大勝した。竹山氏を全面支援したのが、当時府知事だった橋下氏と、府議だった松井氏だった。
だが、選挙の約4カ月後に橋下氏が「二重行政を解消する」などとして都構想を提唱。堺市も対象に含む考えを示したことに竹山氏は「大阪府と堺市に二重行政は存在しない」と反発して都構想の制度設計を行う法定協議会の参加を拒み、橋下氏とたもとを分かった。
そして、堺市長選を目前に控えた今夏ごろから都構想批判を加速させた。今年7月の参院選では都構想に反対する大阪選挙区の自民候補を応援した際に「都構想は大阪市をなくし、堺市をなくし、特別区に分割する。百害あって一利なし」と切り捨てた。
維新側にとって、竹山氏の言動は「裏切り」(橋下氏)に映った。この日の街頭演説で西林氏の選対本部長を務める馬場伸幸衆院議員は敵意をむき出しにした。
「あの市役所には税金をむしゃむしゃ食べまくった太ったブタがいます。この太ったブタを追い出し、自分たちのことは自分で考える堺をみなさまの手で作っていただきたい」
■「大阪の植民地にしない」
「維新の街頭演説の様子をお聞かせ頂きました。聴衆は4年前に比べ随分少なかったようですね」。街頭演説翌日の27日朝、竹山氏は短文投稿サイト「ツイッター」に余裕をうかがわせる書き込みを行い、維新を挑発した。
竹山氏は「堺はひとつ」を合言葉に反都構想勢力の結集を呼びかけており、自民党や民主党の大阪府連が支援する見通し。共産党も独自候補の擁立を見送り、同党や労働団体などでつくる「住みよい堺市をつくる会」が竹山氏の支援に乗り出している。
同じ高校出身の川淵三郎・日本サッカー協会最高顧問にも協力を要請。2人が笑顔で握手し、「堺はひとつ! 堺を無くすな!」と書かれたポスターが市内のいたるところに張り出されている。
夏祭りの会場を回って自治会役員らをねぎらい、都構想を批判する集会を100回以上開催した。「生まれ育った堺市を大阪府や大阪市の属国・植民地にしません」。ツイッターも連日書き込み、堺市の“ナショナリズム”に訴えながら支持浸透を図っている。
「維新で今月、独自調査を行ったが、竹山氏が優勢だった」。維新関係者はこう漏らした。
■「負ければ維新の存在が否定」
26日夜、堺市内のホテルで行われた維新の選対会議。大阪府選出の国会議員、府議、大阪市議、堺市議やその事務所スタッフら約100人が集結。堺市内の全7区に担当を振り分け、各区ごとにタウンミーティングやポスター貼りの計画を確認。戸別訪問は「1事務所あたり2千軒」を目標に設定した。
橋下氏が直接、市民に訴えるタウンミーティングを29日から9月8日まで開催することを計画。選挙期間中は知名度の高い東国原英夫衆院議員、アントニオ猪木参院議員らの応援も検討しており、総力戦の様相を呈している。
背景には維新の強い危機感がある。
昨年の衆院選以降、政党支持率が低迷し、参院選でも獲得議席が8議席と伸び悩んだ。府と大阪市の都構想をめぐっては来秋をめどに住民投票が行われる見通しだが、橋下氏が先頭に立つ堺市長選で敗北した場合には、橋下氏の存在感の低下と住民投票への悪影響は避けられない。
松井氏は26日、大阪市内で公明党副代表の北側一雄衆院議員と会談し、支援を要請。だが松井氏によると、北側氏は「しばらく時間がほしい」と述べるにとどめたという。
順風満帆とはいえぬ情勢。維新関係者は「維新は都構想を実現するために結党された。都構想を争点にした堺市長選に負けたら、維新の存在が否定されたことと同じだ」と強調し、巻き返しを誓う。
「維新の命運を賭けた戦い。負けるわけにはいかない」
「僕は4年前、改革を本気でやってくれると思って竹山市長を応援したんですが、間違っていました。本当にすみません」
8月26日夕。堺市の玄関口である南海堺東駅前で、橋下氏は維新幹事長の松井一郎大阪府知事、西林氏らと街頭演説を行った。近くにそびえる21階建ての市役所庁舎を指さし、皮肉った。「あそこのてっぺんにいって、市長の身分を守ることしか考えられない」。
前回の市長選では大阪府政策企画部長を辞めて出馬した竹山氏が、自民、民主、公明が事実上相乗り支援した現職に大勝した。竹山氏を全面支援したのが、当時府知事だった橋下氏と、府議だった松井氏だった。
だが、選挙の約4カ月後に橋下氏が「二重行政を解消する」などとして都構想を提唱。堺市も対象に含む考えを示したことに竹山氏は「大阪府と堺市に二重行政は存在しない」と反発して都構想の制度設計を行う法定協議会の参加を拒み、橋下氏とたもとを分かった。
そして、堺市長選を目前に控えた今夏ごろから都構想批判を加速させた。今年7月の参院選では都構想に反対する大阪選挙区の自民候補を応援した際に「都構想は大阪市をなくし、堺市をなくし、特別区に分割する。百害あって一利なし」と切り捨てた。
維新側にとって、竹山氏の言動は「裏切り」(橋下氏)に映った。この日の街頭演説で西林氏の選対本部長を務める馬場伸幸衆院議員は敵意をむき出しにした。
「あの市役所には税金をむしゃむしゃ食べまくった太ったブタがいます。この太ったブタを追い出し、自分たちのことは自分で考える堺をみなさまの手で作っていただきたい」
■「大阪の植民地にしない」
「維新の街頭演説の様子をお聞かせ頂きました。聴衆は4年前に比べ随分少なかったようですね」。街頭演説翌日の27日朝、竹山氏は短文投稿サイト「ツイッター」に余裕をうかがわせる書き込みを行い、維新を挑発した。
竹山氏は「堺はひとつ」を合言葉に反都構想勢力の結集を呼びかけており、自民党や民主党の大阪府連が支援する見通し。共産党も独自候補の擁立を見送り、同党や労働団体などでつくる「住みよい堺市をつくる会」が竹山氏の支援に乗り出している。
同じ高校出身の川淵三郎・日本サッカー協会最高顧問にも協力を要請。2人が笑顔で握手し、「堺はひとつ! 堺を無くすな!」と書かれたポスターが市内のいたるところに張り出されている。
夏祭りの会場を回って自治会役員らをねぎらい、都構想を批判する集会を100回以上開催した。「生まれ育った堺市を大阪府や大阪市の属国・植民地にしません」。ツイッターも連日書き込み、堺市の“ナショナリズム”に訴えながら支持浸透を図っている。
「維新で今月、独自調査を行ったが、竹山氏が優勢だった」。維新関係者はこう漏らした。
■「負ければ維新の存在が否定」
26日夜、堺市内のホテルで行われた維新の選対会議。大阪府選出の国会議員、府議、大阪市議、堺市議やその事務所スタッフら約100人が集結。堺市内の全7区に担当を振り分け、各区ごとにタウンミーティングやポスター貼りの計画を確認。戸別訪問は「1事務所あたり2千軒」を目標に設定した。
橋下氏が直接、市民に訴えるタウンミーティングを29日から9月8日まで開催することを計画。選挙期間中は知名度の高い東国原英夫衆院議員、アントニオ猪木参院議員らの応援も検討しており、総力戦の様相を呈している。
背景には維新の強い危機感がある。
昨年の衆院選以降、政党支持率が低迷し、参院選でも獲得議席が8議席と伸び悩んだ。府と大阪市の都構想をめぐっては来秋をめどに住民投票が行われる見通しだが、橋下氏が先頭に立つ堺市長選で敗北した場合には、橋下氏の存在感の低下と住民投票への悪影響は避けられない。
松井氏は26日、大阪市内で公明党副代表の北側一雄衆院議員と会談し、支援を要請。だが松井氏によると、北側氏は「しばらく時間がほしい」と述べるにとどめたという。
順風満帆とはいえぬ情勢。維新関係者は「維新は都構想を実現するために結党された。都構想を争点にした堺市長選に負けたら、維新の存在が否定されたことと同じだ」と強調し、巻き返しを誓う。
「維新の命運を賭けた戦い。負けるわけにはいかない」