中国各地で“反共産党”の動きが活発化している。
10月28日に発生した北京・天安門での自爆テロに続き、11月6日には山西省の中国共産党省委員会庁舎前で連続爆破事件が発生。そして11月8日には、共産党の重要会議「三中全会」の開催に合わせて北京で数百人の人民が集会を開き、政治への不満を陳情したのだ。
格差社会、官民の対立、経済の行き詰まり、民族問題など、その背景にはさまざまなファクターが存在するが、すべての根本にあるのは、これまで64年間続いてきた共産党という“巨人”のいびつな一党独裁体制だ。
「共産党執権下の市場経済拡大路線の中で蓄積・拡大されてきた『社会矛盾』が、もはや従来の政治的枠組みでは抑えきれない領域に達しつつある。実際、共産党系シンクタンクの研究者や党・政府官僚と本音で話すと、誰もが『いつとは言えないが、共産党執権が崩れるのは必然だ』と口をそろえて言います」(中国問題に詳しいジャーナリスト・古是三春氏)
これまでの共産党はアメとムチを使い、人民の公民権運動をコントロールしてきた。だが、三中全会で決まった「国家安全委員会」の新設は、人民に対する抑圧をより強化する方策といえる。
「反腐敗、貧困解消、居住権・営業権尊重、人民代表の民選などを求める公民権運動は、すでに1989年の天安門事件以来の盛り上がりを見せており、一部の大都市では地方議会に委員を送り込むことに成功したり、町村(郷鎮)レベルで民選首長を実現しています。こうした動きを牽制すべく、今年5月から8月にかけて、在外の学者・知識人を含む200人以上が当局に拘束される大弾圧が起きました」
しかし、最近のテロ活動の頻発からもわかるように、こうした弾圧ではもはや沈静化できないほど、人々の不満は鬱積しつつある。中国ウオッチャー・宮崎正弘氏は、今後、農村部を中心とするデモ、抗議活動の増加を予想する。
「不動産バブルの影響で地方政府に農地を没収された農民は、その土地を転がして莫大な財産を築いた党幹部を恨んでいる。農民が中心となったデモや暴動は、現段階でも中国全土で一日に500件も起きているといいます」
早ければ2014年の旧正月明けには、農村部で始まった“反共産党デモの嵐”が全土へ広がっていくかもしれない。「中国はすでに“終わりの始まり”を迎えている」、そうした指摘がいよいよ現実味を帯びてきた。