この本に出会ったのは20代前半だった。その頃、果たしてこの本の内容を理解していたかどうかは疑わしい。そして、今また読んだ後においても、理解できていないことが多すぎると感じている。だから、何回でも読むつもりだ。
この本を一言で言えば哲学史だ。大昔から、ギリシャ神話の時代から「世界はどこからきた?私は何?」という問いが発しられてきた。哲学者たちは様々な時代背景とともに考え研究してきた。この本を読んだ後になっても、そして今の最先端科学のことに思いめぐらせていても、この問いに対する答えはこの本にはない。それがこの本のいいところだと思う。そういうことは、各々自分で考えるべきことなのだ。
ただ一つ、世界は美しく、それは、宇宙のとてつもなく大きな塊がいわゆるビッグバンで爆発を起こし、散り散りになった一つの星屑が地球であって、たまたま水があり酸素がなかったおかげで単細胞生物ができ、植物へと進化し・・・とてつもなく長い時間をかけて人間が生まれたこと。そしてそれは脈々とバトンされて今の私がいること。それはほとんど奇跡に近いと思った。そしていわば、人間も星屑なのだ。
今まで子供はいらないと思っていた。だけど、そんなに奇跡的に生を受けたのなら、それはバトンしていかなければいけないのではないかと思うようになった。そうして、私はこれから先も「世界はどこから来た?私は誰?私は何?」という問いを自分に問い続けようと思った。答えなんてなくていい、問いを発することに意味があるのだと思う。