春の演能ー羽衣 期日 平成27年5月31日 場所 会津能楽堂
会津能楽会は毎年3回、能を演じています。装束から出演者まですべて会員によりましたが、今年は小鼓に故障者があり、急きょ他所から客員を招きました。囃子方(特に小鼓)の人材育成が急務です。
この日は晴天に恵まれ、午前10時から各グループ単位の謡、仕舞、舞囃子などは行われ、最後に「羽衣」が演じられました。
とりあえず、羽衣についてのみ紹介します。有名な曲ですので「あらすじ」は省略します。
今や遅しと待つ観客。お調べが鳴り、舞台に上がった囃子方の演奏で、ワキとワキヅレが舞台に入る。
情景を謡うワキとワキヅレ(上右)
ワキは松の木に掛かる美しい羽衣を見つけ、家の宝にしようと謳う。
そこへ、シテ(天女)が現れ、その衣は私のもので、天人の羽衣であると呼びかける。 漁師は「そんな珍しいものならなおさら家の宝、いや国の宝」だといい。返そうとはしない。
天女は必死になって衣を返してくれるよう頼み、天に帰れない(飛べない)と嘆く(しおりの所作―右上)
この場面のやり取りが有名である。ワキ「天人の舞楽を見せてくれたら、衣を返しましょう」、するとシテ「衣がなくては舞楽できない」という。ワキ「衣を返したら、舞を見せずにのまま天に帰ってしまうのではないか」と疑い返そうとしない。
シテ「疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」 と。その言葉にワキは衣を返そうと決意し、返す。
衣を返してもらった天女は舞台上で天の羽衣を着付けてもらう(物着の場面左下)
喜びの舞をして天に上がってゆくラストシーン(右上、左下)。情景・心情は地謡が謳う。右下、シテに続いてワキ、ワキヅレが退場。地謡と囃子方の退場(右下)