中学のサッカー部の顧問の先生に誘われ社会人チームに入れることにはなったが、どうやらこのチーム、普段は全く練習がなく毎回市内リーグや大会だけに集まり参加しているらしい。
正直チームに入れてもらえた時はかなり嬉しかったが、練習もやらないようなチームでやれる試合なんてたかがしれてる。
チームのメンバーに会う初めての試合まではそう思っていたし、たいしたことないチームなら早めに見切りをつけて違うチームを探すしかない。
こんな風にも思っていた。
とりあえず主な活動場所は市内リーグで試合は日曜日にしかないし毎週あるわけでもない。
だから試合のない平日はバスケ部の部活に真剣に打ち込むことにした。
もちろん部活から帰った後のサッカーの自主練は欠かすことなく続けていた。
バスケ部は1~3年で20人近くいた。
男の少ない学校でこの人数の多さにはびっくりしたが、更に驚いたのが僕以外は全員、中学でのバスケット経験者だった。
また1人だけ未経験者。
他の1年は早々に先輩達との練習に入れたのに僕だけは1人壁際で腰を落とし膝を曲げドリブルの基本練習をさせられていた。
この初日から1人だけ別の練習をやらされた悔しさから火がつき、部活をやっている間はとにかく真剣に練習をした。
短い距離を早く走る。
バスケットにとって大事なことだが、バスケットは早く走る上、すばやく止まりターンもする。
こういった動きはもちろんサッカーにも共通する部分はあるが、バスケットではとにかく足首の柔らかさもかなり重要だなと感じていた。
そのため風呂上がりに少しでも柔らかくしたいとストレッチもまめにするようになっていた。
ケガをしない体作りにもちょうどよかった。
サッカーとバスケットでは競技がまるで違う。
それなのに共通する部分はある。
そう分かるようになるとバスケットもかなりのめりこみ頑張るようになっていけた。
ちなみにバスケットは必死に頑張った成果もあり自分達の代になった時にはスタメンメンバーに入り試合に出ていた。
この当時のことを考えると同じ時期にバスケットでもサッカーでもスタメンとして頑張っていたため、今でいう二刀流。
今考えても誇っていいと思えるくらい努力していたように思う。
入れてもらったチームのメンバーとの初の試合が行われる日がきた。
市内リーグがこの日行われることになり僕は事前に指定されたグラウンドへと来ていた。
この当時の社会人リーグというものを全く分からないまま入ったが、この社会人チームはこの当時かなりのチーム数があった。
市内だけでも20チームくらいはあり1部、2部と分けられているくらいあった。
うちのチームは1部に所属していた。
初めての試合でチームのメンバーと会った。
そして僕は試合前の練習を見ていてがっかりしていた。
みんな20代後半~30代。なかには40代の人もいたらしい。
チーム名はティーチャーズ。
全員が学校の先生だからこのチーム名にしたらしい。
小、中、高。色々な学校からサッカー好きの先生が集まって出来たチームらしい。
チーム名はユニークで面白いが、試合前のパス交換なんかを見ていると何となく話をしながらダラダラとやっている。
そんな風に見えてしまっていた。
こんな状態で試合をするのか?
勝つつもりはあるんだろうか?
試合になったらこの人達は走れるのか?
何でこのチームが1部にいるんだろう?
色々な疑問もあり正直試合が始まる前までは長くこのチームにいれる気はしなかった。
それでも僕はこの日を境に自分が今まで見てきた、やってきたサッカーとは全然違うサッカーを見ることになった。
僕は今日が初めての参加だから前半はベンチで見て後半から出場してもらうとチームの人に言われた。
もちろん僕も最初から図々しく出れるとは思ってなかったし、むしろ初戦に関してはベンチからで良かった。
チームのメンバーのプレーを把握したかったしどんなサッカーをするのかも気になった。
どんな人がチームの柱になってサッカーをしているのか。
正直不安しかない中での前半戦のベンチからの観戦となった訳だが、顧問の先生からのうちのチームは強いという言葉も気になっていた。
強いから大変。。ほんとに強いチームでやっていくのが大変だとしたら僕にとっては間違いなく大歓迎だった。