猛暑の影響に農家悲鳴、米粒が白く濁り「こんなことは初めて」…枝豆不作で「ずんだまつり」中止・「ピオーネ」は鮮やかな色が出ず
2023/10/01 13:43
収穫前の稲穂の状態を確認する男性(9月28日、白石市で) 【読売新聞社】
(読売新聞)
7、8月の平均気温が宮城県内の全観測地点で観測史上最高を記録した今年の夏。記録的な猛暑でコメや枝豆、ブドウといった県産の農作物も品質低下や不作に陥っている。農家の収入減、恒例行事の中止にもつながっており、生産者は異例の事態に悲鳴を上げている。
「1等米」が減少
「半世紀近く農家をやっているけど、こんなことは初めて」。大崎市三本木でコメ作りをする男性(69)は9月29日、白く濁った米粒を見てため息をついた。白く濁るのは、暑さで十分にでんぷんが蓄えられない「高温障害」。味に多少ばらつきが出て、品質を示す等級は一般的に下がる。男性は「品質が良いものを作るのが農家の務めなのに」と肩を落とす。
白石市の農家の男性(68)には収入減の影響も出ている。例年なら県産米は最も高品質の「1等米」が約9割に上るが、男性の今年のコシヒカリは1等米が6〜7割。「収入は最低でも1割減だ」と明かす。
JA全農みやぎによると、今年の1等米の割合(9月28日時点)は昨年を軒並み下回っている。「ひとめぼれ」は13ポイント減の85%、「つや姫」は9ポイント減の86%で、「ササニシキ」は昨年の95%から半減の45%にとどまる。2等米になると、1俵の卸値は1等米より数百円下がる。
茶豆の収穫を断念
1日に角田市で開催予定だった恒例の「角田ずんだまつり」は、中止を余儀なくされた。これも、市特産の枝豆「秘伝豆」が不作だったためだ。男性(75)が約13アールの畑で育てた豆は今年、約8割の実が熟しておらず、「こんなに売り物にならないのは、農家歴50年で初めて」という。
気仙沼市特産の「気仙沼茶豆」は、例年なら約6トンを収穫するが、今年はゼロ。小ぶりのさやに豆が入っていないか変色したものがほとんどで、収穫そのものを断念せざるを得なかった。
ブドウも色づきが遅れている。大崎市岩出山の男性(72)のハウスでは5品種が影響を受け、「ピオーネ」は鮮やかな濃い紫色が出ているものが今年は少ない。粒の張りや見栄えが良くないものがあるため、こうした収穫分は2〜3割安く販売している。資材や肥料の値上がりに加え、「猛暑対策も必要になるのか」と二重苦に頭を抱えている。
東北農政局によると、仙台市中央卸売市場が取り扱う主要14品目の入荷量(9月中旬)は、10品目で平年を下回り、トマトは6割程度の約44トン、サトイモは約8トンと半減した。担当者は「猛暑で作物が変色したり、十分に育たなかったりして収穫量が減っている。店頭価格が上がる可能性がある」と話している。
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