午睡をとる6年2組の児童たち=2023年11月29日午後0時48分、茨城県守谷市立黒内小学校、福田祥史撮影(画像の一部を加工しています)© 朝日新聞社
「おやすみなさい」
一斉に午睡をとる6年2組の児童たち=2023年11月29日午後0時50分、茨城県守谷市立黒内小学校、福田祥史撮影
合図の声で、児童が一斉に自分の机に突っ伏した。電灯が消え、窓をカーテンで覆った教室は薄暗くなった。
11月29日午後0時45分。茨城県守谷市立黒内小学校6年2組の「午睡」は、こうして始まった。
組んだ両腕にすっぽりと顔をうずめる児童、厚手の上着や座布団を枕代わりに敷く児童――。それぞれが思い思いの姿勢で目を閉じている。微動だにせず眠る姿もあれば、時折顔を上げ周囲を見回す子もいる。
15分後、明かりがつき、午睡は終了。同時に計算問題のテストが始まった。制限時間10分で16問。約30人全員が解き終えたとき、まだ時間は十分残っていた。
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午睡はこれが2度目。きっかけは給食の時間中に電子黒板で見た動画だった。睡眠について学ぶ内容。短時間の昼寝をすることで疲れがとれてすっきりし、午後の集中力低下を防ぐことができると、午睡の効果が紹介されていた。
新学年が始まってまだ間もない時期だった。自分たちもやりたい。そんな声が上がった。担任の岡田秀樹先生は「ただやりたいだけじゃ、だめだよね」と話した。関ゆきなさんと小見川大輝(たいき)さんが、動き出した。
インターネットなどを使ってさらに詳しく効果を調べた。級友たちの考えもアンケートで尋ねた。その結果を持って、2人は5月半ば、校長室を訪ねた。
「29人中25人が賛成しました。記憶力、集中力、ストレス解消、精神安定に良いんです。やらせてください」。訴える2人に、校長の奈幡正先生は「やれる時間を自分たちで考えてごらん。ただし、賛成していない子に強制してはいけないよ」と伝えた。
同小は給食と午後の授業の間が、昼休み、自習、掃除で、15分間ずつ区切られている。ただ、掃除は週2回で、ほかの日は自習に充てている。2人はこの15分間を午睡に使わせてほしいと、6月上旬、再び校長先生に頼み、許可を得た。
7月19日。初めてクラスで午睡をとった。効果を調べるため、2人はほぼ同水準の計算テストを2回分作り、午睡の前と後で全員に解いてもらった。夏休み中に集計したその結果は、驚くものだった。
午睡の前は、16問中13問正解という児童の数が最も多く、平均正答数は11・79問、全問正解者はいなかった。午睡の後では全問正解者が最も多く、平均正答数も13・71問に上昇。各自の解答時間も早くなった。
「その結果を聞いたら、もう本当に納得っていうか……」。佐々木智悠(ちはる)さんが明かす。「寝る前は疲れているとか、集中できないとかだったけど、午睡の後は集中できたし、僕は、(解答時間が)1分縮まった」
初めはみんな懐疑的だった。菊地永愛(えみ)さんは、関さんらの計画を聞いて「できるわけないだろうと思った」。小島明日海(あすみ)さんと真田紬希(つむぎ)さんも「ほんとにやるの?って感じだった。無理なんじゃない?って」。それでも、クラスで何度も話し合い、意見がまとまっていった。
関連するビデオ: 給食のシューマイから針金 児童が発見 長野の小学校 (テレ朝news)
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