説明するのが大変難しいが、記憶を手繰り寄せながらトライしてみようと思う。
ひで氏です。
突然の、そしてものすごく久しぶりのお誘いだったように思う。
「ひで君、さぁ、乗って。」
言われるがままに車の助手席に乗った。それはとても聞き覚えのある男性の声だ。誰であったか…すぐには思い出せない。
顔を見てもどうも映像がぼやけてしまって、はっきりと見えないのだ。
少しがなったようなドスの聞いた声ともいえるこの響きは、そうだ、昔からよく知っている友達のお父さん、C氏の声だ。
そう言えば一時期朝の電車でよく一緒になる事があった。だからこの声にはとても馴染みがあるのだ。懐かしい。そう、彼は私のことをいつも「ひで君」と呼ぶ。
C氏は昔から話し出すと止まらない。今も横で延々と何かを伝えてくれているのだが、全く頭に入ってこない。ただ、この行動はもともと予定されていた約束のようで、私ひで氏は乗るべくしてこの車に乗ってどこかに向かっているのだ。
「ええっと…」
C氏はそういいながら身を前にかがめフロントガラス越しにしきりに標識を見る。
そして何かに納得したかと思うと無言で、とても狭いゲートに向かって迷いなくハンドルを切った。
それはどう見ても地下鉄への入り口のように見えた。
「え!え!え!」
私は思わず叫んだ。見間違えたのかもしれないが、どう考えても車が通れるギリギリの幅だし、そのままのスピードで突っ込んでいることが恐ろしいのだが、それより何よりも異常な点がある。
それは階段なのだ。
だめだ、これは完全にダメなやつだ!私は声を失う。
下から上がってくる通行人が見えた。「ああ!だめだ!」と思うが
その人も体をやや半身にして一瞬にして視界の後方へ消えた。驚いた様子はなかった。
ほぼドリフト走行でたどり着いたのは地下の踊り場のようなところだった。
とても広い。
冷静に車を停めたC氏が車を降りたので、私もつられて降りた。
目の前には大きなエレベータがある。
そのまま車で入るタイプのエレベータなのではないかと思ったが、そうではないようだ。
シルバーの分厚い扉のエレベータが我々を待っていたかのように開き、当たり前のように進むC氏に黙ってついていく。
中に入ると扉は閉まり、行先のボタンを押すでもなく動き出す。普通は上下の感覚で自然とどちらに動いているのかわかるようなものだが、これは動いているのかというぐらい静止している感が強く動いているのかどうか分からない。
が、操作盤らしきところにある見たこともないデジタル記号の表示が目まぐるしく変わっているので、どっちかには動いているのだと思う。
急に違和感を覚えた。C氏がとても怒っているのだ。
怒鳴るわけでもなく、しかし厳しく何かを言っている。怒っているというよりも、叱責しているという感じだ。
その瞬間になって、このエレベーターに別の人が乗っていることに初めて気づいた。我々以外に二人いる。
しかも女性だ。
その女性の一人が怒られている。女性はうつむいてうなずき、しくしくと泣いている。
私の知っているC氏はとても厳しい人だ。こういう場面も充分想像できるのだが、それにしても唐突過ぎて何が起きているのか理解できなかった。
そしてこの叱責が一段落したかと思うと、
「こちら、ひで君」
と紹介された。
「え、このタイミングで?」と率直に思った。
人間が最も辛く感じるのは人前で大きく叱責されることだという。たった今それが行なわれた目の前で、怒られた本人がその一部始終をみていた人に改めて紹介されるというのは、双方とも予想していなかったはずだ。
「あ、はじめまして…」
というとその女性は深く深く私にお辞儀をした。逆になんかすみません、と言おうとしたが余計場の空気が悪くなるような気がしてやめた。
もう一人の女性は黙って操作盤の判読不能なデジタル表示を見つめている。C氏は怒ってすっきりしたのか、普通に戻って何かを話しているがくぐもった音で聞こえない。
エレベータがどこかについて扉が開く瞬間、あの変なデジタル表示がPoliceのなんとかいうアルバムのジャケットで見たやつだ、と直感的に思った。
エレベータを降りるとそこにはものすごく気持ちのよいオープンエアのテラスレストランだった。
地上に戻ったようにも、何かの屋上のようにも見えた。
ウエイトレスが待っていました、というように我々を案内しある一席に通される。
食事はすでに用意してあり、形だけの乾杯を交わした。
やっぱりこのメンバーで食事するのか… うっすら感じてはいたがそのようになり、一体何の会話をすれば良いのかわからずとりあえず様子をうかがっていた。昼間なのでランチのはずなのだが、並んでいる食べ物がとてもディナー的だ。
前に座った女性の、怒られた方は涙を流しながら食事を進めている。怒られたショックを未だに引きずるほどのどんな失敗をしたというのだろうか。
もう一人の女性も淡々と食べ物を口に運ぶ。
C氏は終始上機嫌で、食事はまだ始まったばかり。
これが、2019年1月2日に見た私ひで氏の初夢である。
ひで氏です。
突然の、そしてものすごく久しぶりのお誘いだったように思う。
「ひで君、さぁ、乗って。」
言われるがままに車の助手席に乗った。それはとても聞き覚えのある男性の声だ。誰であったか…すぐには思い出せない。
顔を見てもどうも映像がぼやけてしまって、はっきりと見えないのだ。
少しがなったようなドスの聞いた声ともいえるこの響きは、そうだ、昔からよく知っている友達のお父さん、C氏の声だ。
そう言えば一時期朝の電車でよく一緒になる事があった。だからこの声にはとても馴染みがあるのだ。懐かしい。そう、彼は私のことをいつも「ひで君」と呼ぶ。
C氏は昔から話し出すと止まらない。今も横で延々と何かを伝えてくれているのだが、全く頭に入ってこない。ただ、この行動はもともと予定されていた約束のようで、私ひで氏は乗るべくしてこの車に乗ってどこかに向かっているのだ。
「ええっと…」
C氏はそういいながら身を前にかがめフロントガラス越しにしきりに標識を見る。
そして何かに納得したかと思うと無言で、とても狭いゲートに向かって迷いなくハンドルを切った。
それはどう見ても地下鉄への入り口のように見えた。
「え!え!え!」
私は思わず叫んだ。見間違えたのかもしれないが、どう考えても車が通れるギリギリの幅だし、そのままのスピードで突っ込んでいることが恐ろしいのだが、それより何よりも異常な点がある。
それは階段なのだ。
だめだ、これは完全にダメなやつだ!私は声を失う。
下から上がってくる通行人が見えた。「ああ!だめだ!」と思うが
その人も体をやや半身にして一瞬にして視界の後方へ消えた。驚いた様子はなかった。
ほぼドリフト走行でたどり着いたのは地下の踊り場のようなところだった。
とても広い。
冷静に車を停めたC氏が車を降りたので、私もつられて降りた。
目の前には大きなエレベータがある。
そのまま車で入るタイプのエレベータなのではないかと思ったが、そうではないようだ。
シルバーの分厚い扉のエレベータが我々を待っていたかのように開き、当たり前のように進むC氏に黙ってついていく。
中に入ると扉は閉まり、行先のボタンを押すでもなく動き出す。普通は上下の感覚で自然とどちらに動いているのかわかるようなものだが、これは動いているのかというぐらい静止している感が強く動いているのかどうか分からない。
が、操作盤らしきところにある見たこともないデジタル記号の表示が目まぐるしく変わっているので、どっちかには動いているのだと思う。
急に違和感を覚えた。C氏がとても怒っているのだ。
怒鳴るわけでもなく、しかし厳しく何かを言っている。怒っているというよりも、叱責しているという感じだ。
その瞬間になって、このエレベーターに別の人が乗っていることに初めて気づいた。我々以外に二人いる。
しかも女性だ。
その女性の一人が怒られている。女性はうつむいてうなずき、しくしくと泣いている。
私の知っているC氏はとても厳しい人だ。こういう場面も充分想像できるのだが、それにしても唐突過ぎて何が起きているのか理解できなかった。
そしてこの叱責が一段落したかと思うと、
「こちら、ひで君」
と紹介された。
「え、このタイミングで?」と率直に思った。
人間が最も辛く感じるのは人前で大きく叱責されることだという。たった今それが行なわれた目の前で、怒られた本人がその一部始終をみていた人に改めて紹介されるというのは、双方とも予想していなかったはずだ。
「あ、はじめまして…」
というとその女性は深く深く私にお辞儀をした。逆になんかすみません、と言おうとしたが余計場の空気が悪くなるような気がしてやめた。
もう一人の女性は黙って操作盤の判読不能なデジタル表示を見つめている。C氏は怒ってすっきりしたのか、普通に戻って何かを話しているがくぐもった音で聞こえない。
エレベータがどこかについて扉が開く瞬間、あの変なデジタル表示がPoliceのなんとかいうアルバムのジャケットで見たやつだ、と直感的に思った。
エレベータを降りるとそこにはものすごく気持ちのよいオープンエアのテラスレストランだった。
地上に戻ったようにも、何かの屋上のようにも見えた。
ウエイトレスが待っていました、というように我々を案内しある一席に通される。
食事はすでに用意してあり、形だけの乾杯を交わした。
やっぱりこのメンバーで食事するのか… うっすら感じてはいたがそのようになり、一体何の会話をすれば良いのかわからずとりあえず様子をうかがっていた。昼間なのでランチのはずなのだが、並んでいる食べ物がとてもディナー的だ。
前に座った女性の、怒られた方は涙を流しながら食事を進めている。怒られたショックを未だに引きずるほどのどんな失敗をしたというのだろうか。
もう一人の女性も淡々と食べ物を口に運ぶ。
C氏は終始上機嫌で、食事はまだ始まったばかり。
これが、2019年1月2日に見た私ひで氏の初夢である。
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