The Alan Smithy Band

The band is on a mission.

シネザ兄弟は永遠に

2020年01月31日 | ヒデ氏イラストブログ
Sonyのシネザというプロジェクターをご存知だろうか。

発売は2001年。ざっと20年前だ。

ひで氏です。

ホームシアターという言葉がまだまだ一部のオーディオマニアや映画マニアの間だけでとどまっていた時代に、一般ユーザー向けに発売されたモデル、という感じの売り出し方だったように思う。






当時プロジェクターといえば天井吊り下げやスクリーンの真正面から投影するタイプしかなかったので、普通の部屋でホームシアターを実現しようとするととにかく投影距離が足りないという問題があった。

そんな時発売されたこのシネザの最大の売りは、「サイドショット」という機能だ。
まっすぐ下がるのは無理、という部屋でも、斜め後ろにならかなり距離を取れる ーーー そんな環境の人は多い。しかしプロジェクターを斜めに置くと、画面は当然にょーんと横に伸びてしまう。シネザは当時それを補正できる唯一のプロジェクターだった。

これは画期的だった。

わたしひで氏の当時の住まいも、まさにそんな条件だったため、思い切ってシネザを購入、サイドショットを使ってそれはもうかなりの数の映画やドラマを、これまた同じく思い切って買ったスクリーンで鑑賞したものだ。

それから10年ほどして住まいも変わり、スクリーンはそのまま移植した。そして前はむき出しで配置していた5.1chサラウンド用のスピーカーは、思い切って天井に埋め込んだ。そんな新しい環境でもシネザは活躍し続けた。

約20 年の間に、これまで故障は1度(保証期間内)、プロジェクターの心臓と言えるランプ交換も1度。非常に優秀なパフォーマンスと言える。

そんなシネザが、昨年の夏、映画を投影中にふっと画面が真っ暗になるという現象を頻発するようになった。過去にもこういうことがあったが、今回は様子が違った。なんせ、触ると「あっつ!」というぐらい発熱しているのだ。

いままでと不具合の種類が違うことが直感的にわかった。

あーちょっともう無理です、という声が聞こえたような気がした。

くだらない映画も、笑えるのも恐ろしいのも、最高に泣ける映画も大画面に映しつづけてくれたシネザ。故障に対する怒りなどあるはずもなく、ただ「おつかれさん」という感謝の気持ちのみがあった。






そんなことが起きた同じ年の夏頃、飛騨古川に住む友人である旅人のYから電話があった。

Yには洋楽を教わった。映画を共有することはあまりなかったような気がするが、ふと思い出した。そういえば、シネザが発売されたとき、これはすごいぞということで二人とも購入したのだ。Yも全く同じ時にシネザを買ったのだった。

Yの電話の内容は驚くべきものだった。

「あのソニーのプロジェクタあったやろ、シネザ。ついに壊れたわ。」

なんと…双子のシネザ兄弟とも言うべき同時期に生まれた二人は、ほぼ時を同じくして息を引き取ったのだ。

お互いにこれからの映画鑑賞をどうするという話になり、すでにYは動き始めていた。そして我々は、プロジェクター=シネザという自分たちの中の20年近くに渡るホームシアター界の常識を根底から破壊されることになったのだ…


つづくような話じゃなかったのにつづく!








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