The Alan Smithy Band

The band is on a mission.

全速ピエロ

2006年07月04日 | ヒデ氏イラストブログ
7月。ツールドフランスも気がついたら始まってました。

さて夏といえば「怪談」や「肝だめし」が旬です。
僕は恐怖映画が結構好きなので、怪談の話をしようと思ったがそれは次回。
なぜかというと肝だめしと書いた時点で
ある強烈な記憶が瞬時によみがえったからです。

カブスカウト(ボーイスカウトの前身)に入っていた頃、夏になると
お決まりのようにキャンプに行っていた。もうどこだったか忘れたのですが、
気がついたら「今夜は肝だめしをやる」ということになっていました。

企画段階から話に加えさせてもらっていれば
怖がりの僕は全力で阻止したと思うのですが、
カブスカウトなど小学生の集団、キャンプで何をするかの決定権など
持っておらず、すべては隊長たち(=大人)が取り仕切っていたのです。

スタート地点ですでに街灯もない真っ暗闇。
持たされるのは一体どこで売っているの、という
昔ながらのちょうちんにセットされたロウソク1本。微妙に風が吹く夜で、
もし風で火が消えたらそこからは明かりナシで、という過酷な条件でした。
唯一の救いは、二人一組ということだけでした。
しかしその相棒も怖がりのH君。

開始数分でちょうちんのロウソクは無情にも消え、
僕らは二人で寄り添いながらコースである森の中へ入っていきました。

紐でつるされた蜘蛛か何かよくわからない
昆虫のゴム状のフィギュアが突如振り下ろされてきたり、
本物なのか人形なのか判別できない人が木の幹に寄りかかって座っていたり
(何もしてこないのだがソレの横を通るが死ぬほど怖い)
もう二人とも半分泣きながら歩いていました。

肝を試す、というくらいなのだから
「泣いた時点でリタイア」とかいう明確なルールがあれば
逆にありがたいぐらいだった僕らですが、
泣こうがわめこうが最終地点まで行かなければ
いけないという理不尽な取り決めだったのです。

そして中盤に差し掛かった頃、
右斜め前方にうっすらと暗がりに浮かんできたのは田舎特有の古い木造のバス停。
「絶対なんかいてる、絶対なんかいてる」
といいながらお互い寄り添って恐る恐る通過するも、
何もなし。バス停の中は真っ暗でよく見えない。
ホッと胸をなでおろし少し進んだところで後方から、

「ガサッ」と音がした。

振り向いた瞬間、そのバス停からフルメイクのピエロが全速力で追いかけてきました。

「ぎゃああああああーーーッ」
僕たちは我を忘れ逃げ出し、ゴール地点まで突っ走り、そのままへたり込み号泣。
すでにピエロの姿はありませんでした。
僕は持っていたはずのちょうちんを紛失、
H君に至っては片方の靴が脱げてなくなっていたという大惨事。

ゴールしてから、隊長たちに「あれはひどすぎる」という抗議をするも、
隊長の口から出た言葉を聴いた時 今もって続く僕のピエロ嫌いは決定的なものとなります。


「ピエロ?それはおらんはずやぞ」

じゃあ僕らが見たあの細い目のピエロは。。。?
隊長が単にしらばっくれていたのか、本当なのかは現在も不明である――――。

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