The Alan Smithy Band

The band is on a mission.

ラークの悲劇

2005年12月27日 | ヒデ氏イラストブログ
バイト先での体験談というのは本当に爆笑話の宝庫だと思います。
もうかなり昔の話ですが僕も学生の頃は色々とバイトしていました。
その中のひとつがバイトの帝王「コンビニの店員」です。

僕は朝の6時から10時までの勤務で、大量に押し寄せる、
工事現場に向かうおっちゃんたちのピークを迎え撃つポジションでした。
今思うと超個性派のおっちゃんたちが多く、

顔を覚えて、特定の銘柄のタバコを言われなくてもレジで出さないといけないおっちゃんA、
毎回フランクフルトを頼むが絶対にマスタードをつけてはいけないおっちゃんB、
小銭をレジ台にざっと広げて「とって」と言うので
ココロの準備をしておかないといけないおっちゃんC
暖めた弁当と冷たいお茶を別々の袋にすると逆に怒るおっちゃんD

など、店員側もかなり経験と知識がいるバイトでした。

前回のイラストブログで常連客の話を書きましたが、常連を常連と見なすタイミングの難しさ、
常連と扱われることに対する個人の温度差を痛感した出来事です。

その人はある日、店にやってきました。
本のコーナーをぶらっと通過、飲料コーナーの前を歩き、ほどなくレジへ。
レジで「赤ラーク2個」と言いタバコを二箱買っていきました。

それから彼は毎日来るようになり始め、毎回レジで「赤ラーク2個」と言って買っていく日が続きました。

一週間、毎日来る+買うものも一緒。。。これは常連だ。僕は確信しました。
8日目、僕は彼が入店した直後にラークを2つ用意してレジに歩み寄る彼を待ち受けました。
コンビニ店員としては、最大限の誠意のつもりでした。

レジに並べられた赤ラーク2個を見て彼は

「あっ。。。」と微かな声を上げました。
そして彼は「どうして?」という僕を咎めるような視線と
「でもありがとう、今まで」という感謝の眼差しとが入り混じったような目で僕を見上げました。
いまだに真意はわかりません。
彼はそれ以来店に姿を現すことはありませんでした。
でも僕はそのとき何かを失い、何かを得たような気がします。

さよなら、赤ラークのおじさん。

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