曲は成長する？

ミュージシャンのコメントやインタビューの中に
「この曲は成長し続けてます。」やら
「この曲は成長を遂げた。」また中には
「この曲はファンの皆さんと一緒に成長した。」
などというフレーズを、皆さんも耳にしたことがあると思う。

自分ではこの意味を何となくわかっているつもりだった。
いや、むしろ馬鹿にさえしていたところもあった。

新曲が出来上がり、各パートをスタジオで練ってお披露目できるまで
完成させ、ライブなどで人に聴いてもらって評価をもらったり、
何度かこの曲を発表する回数が増える中で、
自分で「この曲にはあのリズムの方が合ってるかも」などと発見し、
曲にある音やリズムの一部を変えることで、
一層コンパクト（いい意味で）に仕上げていく過程。
これが“曲が成長する(以下:曲成)”ということだと思っていた。

しかし今になってこの曲成には、とてつもない意味があると悟り始めたのだ。
それはアランスミシーバンドの「Grayout」という曲で、
まだアランスミシーに入部したての頃に、ボーカルのかしゃんが新曲やと
もってきてくれたものだった。
かしゃんがこの曲に対するイメージも頭に入れて、
始めはスピッツの渚みたいなリズムを叩いていたのだが
スタジオで練るたびに変わっていき、結局ガチャガチャしたジャングルビート
のような荒々しいフレーズにおさまった。

まぁここまでは先で述べた曲成だが、最近この曲を演奏するたびに
成長しているのを感じれるようになったのだ。
もちろんリズムも音も変えてない。

これを自己満足的なところだと咎められても仕方がないが、
自分なりに分析すると、メンバーそれぞれの普段の生活、
仕事などから解放されたフィーリングが４人で音を出した時に
何らかの化学変化を起こし、
Grayoutで絶妙なグルーヴを醸し出したのであろう。

自分で言うのもなんだが
CDよりも、昨年のライブよりも今の「Grayout」がいい。
人間の人生に例えると、おそらく20歳前後の黄金期であろう。

ぜひ今年の初ライブ、4/11“リキッド　サンシャイン”の
アランスミシーバンドで、成長した「Grayout」を聴いてもらいたい。