先日、あるピンチが訪れた。
ひで氏です。
少し状況を説明しないといけないのだが、私ひで氏が向かっていたのは実家だ。そして実家はその時無人。
私のミッションは、あと1時間ぐらいで来る、とある業者さんを実家の中に案内し作業してもらい、完了までを見届けるというごくごくシンプルなものだった。
当然実家の鍵を持って、少し前に行った私ひで氏は鍵を開けてドアを引っ張った。
ガッ。
んん?ともう一度引っ張るが、やはり開かない。
も、もしかしてなんかの間違いで開いていたのを閉めてしまったのか?そう思い鍵を元に戻してみるがやはり開かない。
実家のドアには鍵が二つ縦に並んでいる。普段は二つ目の鍵はかかっていたことがないので、私はその鍵はそもそも持っていないのだ。
瞬時に私ひで氏の顔は青ざめた。
そもそも私がここに業者さんに対応するため来たのは、この近くに住む兄がお盆で遠出しており不在だからということでピンチヒッター的に来た背景がある。つまり第二の鍵を持っているはずの兄は居ない、誰もこの家に入れない。
業者に来てもらうこの日はかなりのピンポイントで設定しており、この日を逃すと非常にややこしい。
まずは兄に電話した。
なぜ、第二の鍵がかかっているのだ、これでは家にも入れないと言うも、言ったところで状況も変わらない。鍵は間違ってかけてしまったとのことだった。
ここからほど近い兄の家には例の第二の鍵があるのだが、当然遠出している兄の家にも入れないわけだ。
すると兄がこういった。「ちょっと確信はないが、いまから言う場所にウチの鍵(鍵が二つ出てきてややこしいので便宜上この鍵を「兄鍵」と呼ぼう)があると思うから、見てくれ」という。
それは兄の家の庭のとある場所だった。その説明を聞いて、とりあえず兄の家に行くことに決めた。待っていても業者の人が間もなくきて、
「すみません、僕も入れないんです」「あ、はぁ…」というやり取りがなされるだけだ。
つまり兄鍵を使って中にさえ入れれば、キッチン横に実家の第二の鍵があるらしい。その可能性に賭けるのだ。
とにかく兄の家に急いだ私は早速兄に言われた場所をチェックした。
兄鍵は無かった。
万事休す、と思われたが、とりあえずは久しぶりに来たこの家の周りを観察してみた。
勝手口が開いている...なんてことは無いよね…と色々引っ張ってみるがやはりがっちりとロックされている。
もうダメだな、と思ったその時。少し目線を上げるとそこにある窓の鍵が開いていることに気付いた。
何と…開いているではないか。
しかしそこは色んな家具が置いてある裏側で、人間が入るには窓の位置からしてもかなり難しそうだ。
とりあえず兄に電話して、指定の場所に兄鍵は無く、諦めかけて帰ろうとしたらどこそこの窓が一つ開いているのに気付いた、と伝えた。
兄はそこから入るのは難しいだろう、しかしトライしても構わない、と言って電話を切った。
もう一度窓を見上げる。そして中の隙間を見る。
不可能ではないかもしれない…
とにかく、時間がない。早速踏み台になりそうなものを集めて身を窓枠にかけてみた。
隣の家との隙間での行動だったので、背徳感がすごい。
とりあえず目の前にある隙間に顔を入れてみる。これは…イケる。
そう思って多少体をひねったりしていると、隣の家の犬が鳴きはじめたではないか。
それもキャンキャンという小型犬のそれではなく、結構なサイズ感のある野太い声をしている。
ワン!ワン!ワン!
こ、これは…映画でよくある「ジョン!静かになさい!もう、ジョン、何をそんなに… はッ!」
と見られるパターンではないのか。
もしくは景気よく吠えていたジョンが「キャイン!」と言って口封じのために絶命させられて飼い主がそれを見てギャーとなるヤツではないのか。
いずれにせよジョン、黙るんだ…!
と心の中で唱える事十数回、ジョン(かどうか知らないが)は興味を失ったようだ。
海老反りになり震えながら「命拾いしたなジョン…」とつぶやいた。
もうそこから先はさながらスパイ映画でよくある「赤外線トラップをくぐり抜ける主人公」のようだった、はずだ。
最後は体力テストでやる伏臥上体反らしと立位体前屈を繰り返すような形で家の中に転がり込んだ。
そしてキッチン横にあった目当ての実家の第二の鍵を無事ゲットしたのである。
出るのは比較的ラクだった。こうして第二の鍵を持って実家に戻った私ひで氏は、ギリギリで業者の到着にも間に合い、すべてのミッションをコンプリートしたのである。
全てを終えて、また第二の鍵を返しておかなければ、と兄の家に戻り電話で連絡する。第二の鍵は、兄鍵があるはずと言われたところにそっと入れておく、と伝えたところ、兄がちょっとまて、お前の言っている場所はおかしい、と言い出した。
今一度兄の説明を聞くと、兄鍵があるという隠し場所は別のところだった。気が焦っていて聞き間違えたのかもしれない。とりあえず第二の鍵はそこに返しておいてくれ、と言われたので改めてその場所を見ると
兄の家の鍵があった。
ひで氏です。
少し状況を説明しないといけないのだが、私ひで氏が向かっていたのは実家だ。そして実家はその時無人。
私のミッションは、あと1時間ぐらいで来る、とある業者さんを実家の中に案内し作業してもらい、完了までを見届けるというごくごくシンプルなものだった。
当然実家の鍵を持って、少し前に行った私ひで氏は鍵を開けてドアを引っ張った。
ガッ。
んん?ともう一度引っ張るが、やはり開かない。
も、もしかしてなんかの間違いで開いていたのを閉めてしまったのか?そう思い鍵を元に戻してみるがやはり開かない。
実家のドアには鍵が二つ縦に並んでいる。普段は二つ目の鍵はかかっていたことがないので、私はその鍵はそもそも持っていないのだ。
瞬時に私ひで氏の顔は青ざめた。
そもそも私がここに業者さんに対応するため来たのは、この近くに住む兄がお盆で遠出しており不在だからということでピンチヒッター的に来た背景がある。つまり第二の鍵を持っているはずの兄は居ない、誰もこの家に入れない。
業者に来てもらうこの日はかなりのピンポイントで設定しており、この日を逃すと非常にややこしい。
まずは兄に電話した。
なぜ、第二の鍵がかかっているのだ、これでは家にも入れないと言うも、言ったところで状況も変わらない。鍵は間違ってかけてしまったとのことだった。
ここからほど近い兄の家には例の第二の鍵があるのだが、当然遠出している兄の家にも入れないわけだ。
すると兄がこういった。「ちょっと確信はないが、いまから言う場所にウチの鍵(鍵が二つ出てきてややこしいので便宜上この鍵を「兄鍵」と呼ぼう)があると思うから、見てくれ」という。
それは兄の家の庭のとある場所だった。その説明を聞いて、とりあえず兄の家に行くことに決めた。待っていても業者の人が間もなくきて、
「すみません、僕も入れないんです」「あ、はぁ…」というやり取りがなされるだけだ。
つまり兄鍵を使って中にさえ入れれば、キッチン横に実家の第二の鍵があるらしい。その可能性に賭けるのだ。
とにかく兄の家に急いだ私は早速兄に言われた場所をチェックした。
兄鍵は無かった。
万事休す、と思われたが、とりあえずは久しぶりに来たこの家の周りを観察してみた。
勝手口が開いている...なんてことは無いよね…と色々引っ張ってみるがやはりがっちりとロックされている。
もうダメだな、と思ったその時。少し目線を上げるとそこにある窓の鍵が開いていることに気付いた。
何と…開いているではないか。
しかしそこは色んな家具が置いてある裏側で、人間が入るには窓の位置からしてもかなり難しそうだ。
とりあえず兄に電話して、指定の場所に兄鍵は無く、諦めかけて帰ろうとしたらどこそこの窓が一つ開いているのに気付いた、と伝えた。
兄はそこから入るのは難しいだろう、しかしトライしても構わない、と言って電話を切った。
もう一度窓を見上げる。そして中の隙間を見る。
不可能ではないかもしれない…
とにかく、時間がない。早速踏み台になりそうなものを集めて身を窓枠にかけてみた。
隣の家との隙間での行動だったので、背徳感がすごい。
とりあえず目の前にある隙間に顔を入れてみる。これは…イケる。
そう思って多少体をひねったりしていると、隣の家の犬が鳴きはじめたではないか。
それもキャンキャンという小型犬のそれではなく、結構なサイズ感のある野太い声をしている。
ワン!ワン!ワン!
こ、これは…映画でよくある「ジョン!静かになさい!もう、ジョン、何をそんなに… はッ!」
と見られるパターンではないのか。
もしくは景気よく吠えていたジョンが「キャイン!」と言って口封じのために絶命させられて飼い主がそれを見てギャーとなるヤツではないのか。
いずれにせよジョン、黙るんだ…!
と心の中で唱える事十数回、ジョン(かどうか知らないが)は興味を失ったようだ。
海老反りになり震えながら「命拾いしたなジョン…」とつぶやいた。
もうそこから先はさながらスパイ映画でよくある「赤外線トラップをくぐり抜ける主人公」のようだった、はずだ。
最後は体力テストでやる伏臥上体反らしと立位体前屈を繰り返すような形で家の中に転がり込んだ。
そしてキッチン横にあった目当ての実家の第二の鍵を無事ゲットしたのである。
出るのは比較的ラクだった。こうして第二の鍵を持って実家に戻った私ひで氏は、ギリギリで業者の到着にも間に合い、すべてのミッションをコンプリートしたのである。
全てを終えて、また第二の鍵を返しておかなければ、と兄の家に戻り電話で連絡する。第二の鍵は、兄鍵があるはずと言われたところにそっと入れておく、と伝えたところ、兄がちょっとまて、お前の言っている場所はおかしい、と言い出した。
今一度兄の説明を聞くと、兄鍵があるという隠し場所は別のところだった。気が焦っていて聞き間違えたのかもしれない。とりあえず第二の鍵はそこに返しておいてくれ、と言われたので改めてその場所を見ると
兄の家の鍵があった。
ありがとうございます。無人の家の中に転がり込んだ時は本当に不思議な感じがしました笑。若干のエンターテイメントを提供できてこうえいです!
映画みたいで笑ってしまいました!ジョンは海老反りのひで氏を見ながら何を思ってたんでしょうね(笑)
「トライしても構わない」と言ったお兄さんが何かの司令塔の様にカッコよく再生されました笑
犬でもあまりの光景に「あっ…」と思ったのかもしれませんね笑
>にいやんさん
ただ単に無責任にいった兄の言葉をそんなにカッコよく再生していただいたとは笑!ありがとうございます!