この国には、「パスタなんぞ、子供のタベモノである」という強い偏見がある。
小さい子供のいる家庭、学生の友人の家などでお昼にでてくるのが
「茹で過ぎたスパゲティに市販のトマトソースをぶっかけたもの」
である確立が高い。
「あら♪ シンプルでおいしそー!」と一瞬思ったあなたは、もう騙されてるのよ。
この市販のトマトソース=トマテ・フリートなるもの。単なるトマトピューレではない。
トマトソースの基本製作過程、
“にんにく、たまねぎをオリーブオイルで炒め、皮を剥いたトマトざく切りを入れて煮詰める”
をやってくれた上に、砂糖とか時々増粘料とか保存料とかごにょごにょを(メーカーによる)入れてパックにしたもの↓
これを、茹で過ぎて箸でも切れる状になったスパゲティの上にドプドプかける。
混ぜる。食す。………顔を上げると、前に座ってた先輩(空想)に「いいから黙って喰えっ!」
といわれるレベルの味だ。 すごくまずいわけじゃない、食べれる。お手軽。子供から皆好き。。
というわけで、国民的お手軽な一品、私としてはスペインだめメシの堂々たる一品と思っている。
このせいで、前出の“パスタ=子供が好きなお手軽ごはんにすぎない”の偏見が生まれたともおもう。
「イタリアすぐ隣だから、パスタ美味しいんじゃないの?」という貴方。
この国自身は新大陸からトマト持ってきて、イタリア南部も支配していた時代があったはずなのに、
スパゲティが一般的に普及したのはなんと70年代なのだ。
今でこそカルボナーラ、バジルなど一般家庭でも作るようになったが、
麺は給食のソフト麺レベルで、アルデンテに作ると「きみ~茹でが甘いよ~」などと苦笑される(怒)
今でこそ本格イタリアンレストランが増え、イタリア直輸入食材が手軽に入るようになったが、
「そんなもんはイタリア野郎に食わせときゃいいんだ!こっちのコシード(スペイン風ポトフ)やレンズマメの
煮込みの方がよーっぽど身になる!」などとほたえるおっさんとかの世代層が、まだ厚かったりする。
…そんな声をよそにパスタ消費量はぐんぐんあがる。
パスタ、ピザの洗礼を幼少時に受けた世代がもうずっと前から主流なのだ。
インスタントパスタなる、“パスタも含む、袋の中身を湯を沸かしたフライパンにぶち込んで終了”なものまででてる。
これだ↓
…口の中バッサバサ!
久々に「みっ水…!」って小さく叫んだ。味はなんか知らんがすごい。でもさっきのトマトスパより
味がある。先日のミートボールと同じく、“何の調味料だろう…”と言ってるうちに完食するコース。
(でもチーズ味より小まし。あれは調理中の匂いだけで、同居人から苦情がでた)
そして近年、この地のインスタントパスタ界に大ヒットを飛ばした新星…ラーメン!
日本製のアニメ、ゲームで育った世代から人気が始まった。
もうスーパーにその棚ができるレベル。
売れてるね~
これは日清提携で現地パスタメーカー、ガジョが出したカップ焼きそば。
味は日本のそれに比べたら劣るけど、さすが日清。売れてます。
日清の社員まで出てきてその日本製品ホンモノ感をだしてます。
これに対抗するのがガジーナ・ブランカの“ヤテコモ”(食べちゃうぞ!の意)
…個人的に怒っていいレベルの味。
ネーミングといい、このオリエンタル感だしときゃいいんだろう、のCMといい
だめねぇ~…もう開発会議の主導権を老害上司が仕切ったのが目に見えるようだわ!
(注-この記事アップより2年後、この製品は爆発的ヒットを飛ばし、新CMに
なるほど“なんちゃってオリエンタル”風味が消えていきました…)
なんとなく私の中のダメパスタの歴史書いてしまいましたが。
ひどく遅ればせながらも進むスペインのパスタ史、グローバルな方向に広がりつつあります。