私は物心ついたときから、芸術に携わってい生きていきたいと思っていた。
映画や文学の世界で生きていきたいと思っていた。
なかなかうまくいかなかったのだが、
そういう世界は在日が占めているので難しいというのもある。
もし、日本が陰で侵食されていなかったら、
私は漠然とした不安や孤独を抱えることもなく、
日本人の代表として堂々と社会生活を送っていたかもしれない。
もしかして、芸術に興味をもたなかったかもしれない。
「ラストエンペラー」が世界のすべてでなかったかもしれない。
芸術と、社会不安というのは、きってもきれない関係だ。
生きづらいから、癒しを求める、現実逃避できる世界を作る。
マルセル・デュシャンは、兵役を避けるためにわざわざ職人になった。
それが芸術家の最初の一歩だった。
これは冗談かもしれないが、戦争にはさまれた不安定な時代に、
裕福で繊細な青年は、非常に精神が圧迫されていたのは事実と思う。
平和な世界というのは幻想で、世の中はいつも戦争状態なのかもしれない。
そういう中で、繊細でひ弱な人間は、
手が届きそうで届かない理想郷を求めながら浮遊し続ける。