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【虹ヶ咲】第6話「笑顔のカタチ(⸝⸝>▿<⸝⸝)」◆できないことは、できることでカバーすればよいのです。

2021-05-21 23:41:08 | アニメ感想_『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』


『アニガサキ』の感想記事も、半分まできました。
拙い記事をいつも読んでくださり、本当にありがとうございます。

さて、今回は第6話「笑顔のカタチ(⸝⸝>▿<⸝⸝)」を振り返ります。
虹ヶ咲がはじまってから、ただ一人「ボード」というツールをつけていた「顔出しNG系スクールアイドル」の璃奈ちゃん。
虹ヶ咲だけでなく、これまでのスクールアイドルと比べても、素顔をみせないというアイドルという強烈な個性が際立っていましたが、外連味のあるキャラクターと受け止められることも多かったのか、ランキング上でみても人気のあるキャラとは言えませんでした。
しかしテレビアニメでは、これまでのスクスタの絆ストーリーで展開されていた新しい自分になるためにボードを外す物語ではなく、自分の強み活かしてボードをつける物語へと変貌しました。
ニコニコ動画などでの第6話の再生回数がかなりのものだったとのことで、それだけこのストーリーに共感し、璃奈ちゃんに自分を重ね合わせ涙した方も多かったのだろうと思います。
私もそのひとりです。

 

変わりたい


幼い頃から感情を表に出すのが苦手だった璃奈ちゃん。
虹ヶ咲への入学当初、クラスメイトの輪に入ることもできません。
鏡にうつる無表情の自分を笑顔に「させる」ことしかできない自分。
そんな璃奈ちゃんに声をかけてくれたのが、1つ上の先輩である愛さんでした。
愛さんは初めて出会ったにもかかわらず、分け隔てなく接してくれました。
それが初めて璃奈ちゃんが、人と繋がれた瞬間でした。


そして彼女は愛さんと一緒に同好会に入り、スクールアイドルとしての一歩を踏み出します。
「もっとたくさんの人たちと繋がりたいと思っている」璃奈ちゃん。
今からでも変われる。
それを信じて彼女は歩み始めます。


シーン変わって、東京ジョイポリス。
VRガンシューティングゲームで遊ぶ璃奈ちゃん、愛さん、侑ちゃん、歩夢ちゃん。
このゲームは、虹ヶ咲のキャストメンバーがAbemaウルトラゲームズという番組でやっていたものです。
敵キャラもちょぼらうにょぽみ先生の漫画に登場した宇宙人となっており、本当にアニメスタッフの芸の細かさに舌を巻きます。


ゲームを終えた4人は、偶然来ていた璃奈ちゃんのクラスメイトに声をかけられます。
同好会のPVのおかげもあってか、少しずつ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の知名度が上がってきたようです。
PVを見た彼女たちから、ぜひ他の学校のスクールアイドルたちと同じく、ライブを開催してほしいと言われます。
みんなともっと繋がりたいと思っていた璃奈ちゃんは、その場でライブの開催を決意するのでした。


後日、璃奈ちゃんはライブ開催について、同好会のメンバーに相談します。
最近同好会に入っていきなりライブ、というのは、やはり準備不足な感じは否めません。
しかしPVを自身が創作したキャラクターに頼ってしまい、本当の自分をまだみんなに見せていない璃奈ちゃんにとって、ライブに挑戦したいという熱い思いは、同好会のメンバーにしっかり伝わっているようです。
来週土曜日開催という限られた時間の中で、愛さんをはじめ、同好会のメンバー全員が彼女を応援することに。
やりたいことはバラバラでも、誰かの挑戦をしっかり応援できるところも、彼女たちの魅力の一つですね。

 

努力を積み重ねて


かくしてはじまった「璃奈ちゃんステージ大作戦」。
映像は作れるけど、パフォーマンスに自身がない璃奈ちゃん。
同好会のメンバーの協力も得て、パフォーマンス力を上げるための特訓がはじまります。
柔軟・発声・MCの練習。
特にMCについては、璃奈ちゃんにとって一番自信がないといいます。
それでも「今回はできないからやらないはナシ」と決めて、苦手なことにもめげずに挑戦を重ねていきます。


後日、愛さん、侑ちゃん、歩夢ちゃんの3人は、璃奈ちゃんのマンションに向かいます。
「小さい頃から表情出すの苦手で友達いなかったから一人でできる遊びばっかりしてた」璃奈ちゃん。
それゆえ機械に囲まれた生活が中心となり、高校生になっても一人でいた彼女は、愛さんとの出会いや、スクールアイドルとの出会いによって、生活が変わり始めます。
こんなに毎日がワクワクするなんて思わなかった。こんなに変われるなんて思わなかった
だからこそ、今度のライブはみんなへの感謝の気持ちを込めた、自分にできる精一杯のライブにしたい。
彼女の決意に、愛さんも熱いハグをします。


繰り返される練習。
今までの自分とは違う、成長した自分になるために。
同好会のメンバーみんなに見守られながら、努力を積み重ねて、少しずつ成長していく璃奈ちゃんの姿が映されます。


ライブの告知も完了し、あとは披露するだけとなり、自信もついてきた璃奈ちゃんのもとへ、クラスメイトの3人が声をかけてくれます。
今なら友達になれるかもしれない……。
ライブにだって誘えるかもしれない……。
そう思って声を書けようとした刹那。


ふとガラスに写り込んだのは、入学当初と「何も変わっていない」無表情の自分の姿でした。
ショックを受け、思わず逃げ出してしまう璃奈ちゃん。
彼女は自分の部屋に閉じこもってしまい、練習にも来なくなってしまいます

 

できないことは、できることで


璃奈ちゃんを見守ってきたメンバーたちも、動揺を隠せません。
しかし、これまでの努力を知っているからこそ、璃奈ちゃんを放っておくこともできません。
愛さんを筆頭に、璃奈ちゃんの家にメンバー全員で押しかけることに。


メンバー全員が駆けつけてくれたことに驚きつつも、部屋に招き入れた璃奈ちゃん。
彼女は段ボールの中で籠城してしまっていました。
愛さんは璃奈ちゃんに心配していたことを伝え、なぜ同好会に来なくなってしまったのか、優しく問いかけます。


そして璃奈ちゃんは、自分の気持ちを段ボールの中から吐露します。
「昔から楽しいのに怒ってるって思われちゃったり、仲良くしたいのに誰とも仲良くなれなかった」という幼い頃に生まれたトラウマ
高校で変わろうとしてダメだったときに、愛さんやスクールアイドルに出会えたことで、もう一度変わる努力をしてみようと思ったのに。
みんなにとっては小さな問題かもしれない、無表情であることの悩み。
でも、それは彼女がこれまで、ずっと失敗し続けてきて、苦しんできた、彼女にとっては非常に大きな問題でした。
努力をしても、無表情のままで。
スクールアイドルだって、ライブだって、きっと失敗してしまう。
だから、彼女は「みんなと繋がることなんてできない」と逃げ出してしまったのでした。


それを聞いたメンバーたちは、彼女を励まします。
今はまだできないことがあってもいいんじゃない?」と語る侑ちゃん。
だって、彼女には「できないこと」よりも「できること」や「できるようになったこと」がいっぱいあるだから。
自分では自覚できなかった、たくさんの彼女の持っている魅力。
頑張り屋さんなところ
諦めないところ
機械に強いし
動物にも優しい
普段は照れくさくて言いづらい、璃奈ちゃんの個性。
こんなにたくさんのいいところがあるのに、たった一つの「できないこと」に囚われて、動けなくなっている璃奈ちゃん。
ダメなところも武器に変えればいい
できないことはできることでカバーすればいい
そんな同好会のみんなからの励ましで、少しずつ彼女は前を向くようになります。


段ボールという隔離された空間の中から、自分の気持ちをみんなに話すことができた璃奈ちゃん。
これまではこういう話はみんなとできなかったのに。
みんなから姿が見えていなければ(=見られていなければ
みんなの姿を見なければ(=見られていることを意識しなければ
もしかしたら、自分はみんなとコミュニケーションをとれるのかもしれない。
アニメで彼女が言及していないのでここらへんは私の妄想なのですが、、、彼女はある作戦を思いつきます。

 

みんなとつながった!


そして迎えたライブの日。
彼女は、自身が開発した秘密兵器をつけて、ステージへと向かいます。
無表情な自分を補うための電光モニター付きヘッドセット「オートエモーションコンバート璃奈ちゃんボード」。
ヘッドセットをつけた自分は、これまでの璃奈ちゃんのPVにしか登場していなかったキャラクターが、現実世界に現れたかのよう。


大きくのファンたちが見守る中、そして同好会のメンバーたちの応援を受けて。
彼女はステージに姿を現しました。
ふと、ぴかぴかな床にうつる自分の姿。
そこには、満面の笑みを浮かべた璃奈ちゃんの姿がありました。
もう無表情な璃奈ちゃんは、どこにもいません。



PVの中での生き生きとした表情の璃奈ちゃん。
それは、もし表情が今よりちょっと豊かだったら、というIFなのか、それともこれから先、彼女の表情が豊かになったあとの世界なのか。
いずれにしろ、エモさ大爆発ですよ。
これまでの璃奈ちゃん=無表情、という構図をひっくり返す、かわいい璃奈ちゃんのオンパレード。
曲中に見せた「ボード」に隠れた表情は、見えていないのに、満面の「笑顔」に見えてしまうから不思議です。
DECO*27さん作曲のテクノっぽい曲調も相まって、まさに璃奈ちゃんの個性が引き立つ、璃奈ちゃんだけのステージとなりました。


璃奈ちゃんは変わることができました。
みんなと繋がることができました
それは、彼女が「できないこと」が、彼女自身の練習の積み重ねによって「できる」ようになった、だけじゃなくて。
どうしても「できないこと」を、彼女自身の得意なことでカバーすることで「できる」ようになったから。
そんな新しい「天王寺璃奈」の誕生を祝福するかのように、会場は暖かい拍手が響きます。
その様子を見て、彼女自身も「璃奈ちゃんボードにっこりん!」と笑顔で答えるのでした。


後日。
璃奈ちゃんが教室に入ると、ライブをみてくれたクラスメイト3人に囲まれます。
彼女のパフォーマンスを見て、3人ともトキメキを感じてしまったようです。
おひるごはんを一緒に食べないと誘われた璃奈ちゃんは、璃奈ちゃんボードに自分の表情を描いて「一緒に食べたい!」と喜ぶのでした。

 

自分と重なること


今回のストーリーは、多くの虹ヶ咲のファンだけでなく、ラブライブ!という作品の枠を超えて、多くの方に観てもらいたいと心の底から思えるストーリーでした。
自分ではどうしても克服しようとしてもできないトラウマ。
それを無理に乗り越えさせようとするのではなく、できることでカバーすればよいのだと、背中を押してあげるという考え方。
本当に素敵だなあと感じます。

あまり自分語りは感想記事に書くのはよろしくないかもしれませんが、どうしても一点だけ。
自分がこの話をみて、真っ先に思い出したのは、幼い頃の自分でした。


私は先天的に「斜視」を患っています。
「斜視」というのは、右眼と左眼の視線が違う場所に向いていることを指します。
小学校のクラスメイトからの「気持ち悪い」なんていわれることは日常的にあって。
いじめられることが多いし、大人たちでさえ私と初めて話そうとする人は「どこに目線を向けているんだろう」と後ろを振り返ったりするのです。
決して悪気があったわけではないのはわかっているのですが、、、本当にいやーな小学校時代を過ごしたものです。。。
特に嫌だったのは、塾ですね。
学区の子たちは比較的いい子ばかりだったのですが、塾だといろんな学区の子と会いますから、真っ先に標的にされていたように感じます。
(でも、嫌な思い出のほうが多すぎて、小学校の記憶があまり残っていないw)

小学生高学年のときに手術を受けたことでだいぶ改善しましたが、完治はしなくて。
大人になってから転職するときにも、本人は一生懸命面接官と目をあわせているつもりなのに、それがもとで面接に落とされることもありました。
今でも初対面の人にあうと、高確率で後ろを振り向かれるのですが、もうだいぶ慣れました笑


こういう経験を自分がしてきたからこそ、今回の璃奈ちゃんの、無表情であるという、自分ではどうしようもできないトラウマを抱えながら生きることの辛さが、痛いほどわかりました。
自分ではどうすることもできない、自分の努力の及ぶところではない「難題」。
向き合って前に進むことすらしんどくて。
他人からは「些細なことじゃん」「そんなこと気にするなよ」「そんなんじゃダメ、克服できるようにがんばりな」という適当な励ましに苦しめられて。

しかし。
この物語では、璃奈ちゃんが、いいえ、璃奈ちゃんだけではありません、現代を生きる私たちの誰もが内に秘めている「トラウマ」に対する向き合い方に、一つの「正解」を示しているのです。
それが、この記事のタイトルにもなっている「できないことは、できることでカバーすればよい」ということなのです。


繰り返しになりますが、自分の努力の及ぶものであれば、克服できないことは努力が足りないで片づけられます。
でも、璃奈ちゃんの「無表情」も、私の「斜視」も、自分の努力では到底解決することは難しい問題です。
そういった問題に対して、無理に乗り越えなくていいんだと。
今の自分が持っているたくさんの「いいところ」を武器を変えればいいんだと。
そういったポジティブな発想が、自分を変えるチャンスになるということを主張してくれているのです。


さて、ここで『ラブライブ!』というタイトルに注目してみます。
もう多くの考察ブロガーさんが書いていることで新鮮味に欠けますが。。。
『ラブライブ』は、日本語に訳すと「今を愛せ!」とか「人生を愛せ!」になります。
思えば、これまでのμ'sの物語も、Aqoursの物語も、描き方は違えども、テーマは共通して「ラブライブ!」だったのではないかなと。
つまり、これまでの『ラブライブ!』を冠するすべてのシリーズに共通していたテーマは、今の自分を認めることで、見つめなおすことで、「輝き」を見つけることの大切さだったのではということです。

「虹ヶ咲」は外伝かもしれませんが、『ラブライブ!』をタイトルに冠すシリーズとして、この考え方は共通しているのではないかと感じます。
自分を否定していては、いつまでたっても輝くことはできない
自分を信じてあげれば、認めてあげれば、きっと求めていた「輝き」を「トキメキ」を、見つけることができるのです。


そして、自分一人でその「答え」にたどり着くことは難しくても。
スクールアイドルという夢に向かって歩み続ける仲間たちと共にであれば、きっと「答え」を掴むことができるはず。
璃奈ちゃんが私たちに見せてくれた、表情を文字通り「作る」ことでカバーしてくれたステージは、「トラウマ」を克服する「答え」をしっかりと示してくれていました。
だから、私だけでなく、多くの人たちがこの物語に共感するのでしょう。
王道を行くストーリー、でも王道だからこそ心に響く暖かさがあるのです。
第6話は、虹ヶ咲1期の中で最も評価されるべきストーリーなんじゃないかなと思います。
なので、観ていない方は、ぜひとも観ていただきたい!!


ということで、第6話の感想でした。
最近、一記事の文字数が6000字を超えることがザラで、もう少しスマートにまとめようと思っていたのですが、、、無理でした笑
書きたいことがありすぎて、しかも勢いで書いてしまっているので、読みにくいところ、意見の相違などあるかもしれませんが、そこはご容赦ください。。。

次回は第7話、彼方ちゃん回です。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました!


【ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】第6話「笑顔のカタチ(⸝⸝>▿<⸝⸝)」
脚本:田中仁
演出:ほりうちゆうや