さて、今回は第7話「ハルカカナタ」を振り返ってみます。
今回のお話では、近江彼方ちゃんというキャラクターを語るうえで欠かすことのできない、東雲学院に通う妹・遥ちゃんが登場します。
また、彼方ちゃんがいつも眠そうな理由も、彼方ちゃんがスクールアイドルをがんばるのも、今回の話で明らかになります。
彼方ちゃんは、ただの「良く寝るダメな子」ではないのです。
アニメから入った方は、ここで彼方ちゃんのイメージがガラッと変わるはず!!
というわけで、さっそくみていきます。
遥ちゃん登場
オープニング前のアバンでは、彼方ちゃんというキャラクターについて、簡単にクローズアップされます。
週5でスーパーでアルバイトをしているところ。
夜勤で忙しいお母さんの代わりに、お料理を作るところ。
それも、別の学校でスクールアイドルをやっていて、溺愛する遥ちゃんのためならば。
遥ちゃんの笑顔をみられるならば、と、彼方ちゃんは今日も全力で生きています。
夜は、遥ちゃんが寝た後に奨学金をもらっているために勉強をがんばって……。
遥ちゃんが楽しみにしている、自分のライブの衣装も考えて……。
そして朝は、遥ちゃんが起きる前に朝ご飯を作るという毎日。
そんなお姉ちゃんをみて、ある日遥ちゃんは、彼方が通っている虹ヶ咲の同好会を見学に行きたいと申し出ます。
遥ちゃんの通う東雲学院は、スクールアイドルファンならばだれしも知っている有名校。
そんな東雲学院から、センターを務める注目度ナンバーワンのスクールアイドル・近江遥がやってくる。
ネットでも話題に上がるほどの「スター」の登場に、同好会のメンバーも、校門前で歓迎モードでお迎えします。
侑ちゃんもいつものように最高にトキメいてしまっています。
彼方ちゃんもいつも以上に気合が入っているもよう。
お目々もいつも以上にパッチリさん!
一方の部室では、2代目部長(自称)のかすみちゃんが、一人ジェラっていました。
同じ一年生である遥ちゃんに負けたくないと、遥ちゃんをライバル視、というより敵視しているご様子。
安定のかすみちゃんでちょっと安心です。
それはさておき、虹ヶ咲はついこの間まで内部分裂していた日の浅いグループ。
自分たちのPVをつくり、校内での知名度は上がってきたものの、やはり学園の外の世界ではまだまだ知名度は低いのが現状のようです。
ここから彼女たちが後半にかけてやらなくてはいけない課題、それはいかに自分たちを知ってもらうかということ。
彼女たちがどのように壁を乗り越え、夢を叶えていくのか、も今後見どころの一つになっていきます。
部室にやってきた遥ちゃん。
かすみちゃんの自己紹介(マウント)が始まる前に、さっそく練習がスタートします。
まず、ランニング。
ここではいつにも増して速く走る彼方ちゃんの姿が。
同好会の活動が再開してから彼方ちゃんがすごくがんばっていることを侑ちゃんから聴いた遥ちゃん。
「すごいなあ」と喜ぶのかと思いきや、とても心配そう。
顔の表情をすべて見せるのではなく、目の半分くらいで切られているのも、不安を煽りますね。
次に、柔軟・腕立て・バランスボール。
他のメンバーに比べると後れを取っているように見えますが、それでも彼方ちゃんなりの頑張りを遥ちゃんにみせます。
彼方ちゃん、練習を終えてへとへとです。。。
お姉ちゃんのために
練習が終わって、遥ちゃんの歓迎を込めてお茶会がスタート。
お手製のクッキーや、かすみちゃん特製コッペパンに舌鼓を打つさなか、いきなり彼方ちゃんのすやぴタイミングがスタートします。
何の前触れもなく急に眠りにつく彼方ちゃんにあたふたする遥ちゃんですが、同好会のメンバーは慣れているのか、すぐに枕をあてがってあげます。
彼方ちゃんが家では見せなかった、いきなりすやぴするという事実に、遥ちゃんは驚きます。
同好会メンバーも振り返ってみれば、練習中にいきなり寝だしたり、いくら起こそうとしても起きないくらい熟睡していたりと、ここ最近は異常なほどに眠っている彼方ちゃん。
お姉ちゃんがだいぶ無理しているのではないか、、、遥ちゃんの予想は確信に変わります。
しばらくたって目覚めた彼方ちゃん。
遥ちゃんの前ですやぴしてしまったことを恥ずかしがります。
そんな彼方ちゃんを「いっぱい無理してるんだから」と遥ちゃんは諭します。
実は遥ちゃんが同好会を見学に来たのは、いつも家で忙しい彼方ちゃんのことを心配してのことでした。
自分のことより妹の自分のことを優先して、いろいろお世話してくれるお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんが、同好会でやりたいことを見つけて楽しんでいる。
同好会はお姉ちゃんにとって大切な場所になった、だからこそ自分が負担になっているのが余計に申し訳ない。
自分のために明らかに無理をしている彼方ちゃんを見て、遥ちゃんは、スクールアイドルをやめる決意を伝えるのです。
スクールアイドルを辞める、それはつまり、自分の夢を諦めるということ。
自分と同じ夢を追いかけている妹が、自分を気遣って辞めるなんて。
彼方ちゃんは認めるわけにいきません、何とか阻止しようとします。
一方の遥ちゃんとしては、自分と同じ夢を追いかけているお姉ちゃんが、自分のせいで無理をしてしまうなんてこと、許すことはできません。
だから、断固して譲ろうとしませんでした。
「遥ちゃんは妹なんだから」
「もっと頑張るから」
その場を取り繕おうと、今よりもっと無理をしようとするお姉ちゃんの言葉。
遥ちゃんは溜まらず部室を飛び出してしまいました。
侑ちゃんが校門まで追いかけて説得しても、やはり遥ちゃんの意志は固く、決して譲ろうとしません。
自分がスクールアイドルを辞めることが、お姉ちゃんの幸せなのだと信じて疑わないのです。
迷いのない遥ちゃんのまっすぐな目に、侑ちゃんもそれ以上何も言えませんでした。
そんなことがあっては、彼方ちゃんはアルバイトでも全力を出せません。
ズタズタにトマトをいつもより多めに並べながら、彼方ちゃんはずっと上の空なのでした。
そういえば、トマトの花言葉って「感謝」「完成美」という意味があるんですよね。
アバンではきれいに並べられ「完成」されていたトマトが、喧嘩後にはぐちゃぐちゃに崩れている。
彼方ちゃんの心の中を表しているのでしょうか……。
似たもの姉妹
次の日。
きのうの夜、遥ちゃんと話そうとしても、スクールアイドルの話題を避けられてしまった彼方ちゃん。
せっかくスクールアイドルとして、東雲学院のセンターまで務めるようになった自慢の妹が、自分のせいでスクールアイドルを辞めようとしている。
彼方ちゃんは、遥ちゃんがスクールアイドルをやめるくらいなら、自分がやめると言い出します。
しかし、それは本心ではありません。
彼方ちゃんと同じく3年生の、エマちゃん、果林さんの言葉で、少しずつ本心を打ち明けていきます。
彼方ちゃんにとって、同好会は彼方ちゃんが探していた夢がある場所。
やりたいことを精一杯目指せて、仲間と一緒に夢がかなえられるかもしれない場所。
それは、彼方ちゃんにとって、かけがえのないものの一つとなっていました。
もちろん遥ちゃんのことだって大事。
どちらかのために、どちらかを諦める、なんてことはできるはずがありません。
そして、その彼方ちゃんの思いは遥ちゃんだって同じだと、同好会のメンバーは気づいていました。
璃奈ちゃん曰く「似たもの姉妹」である2人。
お互いのことが大切だから、かけがえのない大切なお姉ちゃんだから、妹だから、自分が犠牲になろうとしている。
お互いのことを大切に思うからこそ、全部自分でしょいこんでしまおうとしている。
そういう意味で、2人は「似たもの姉妹」であるといえます。
彼方ちゃんにとって遥ちゃんはいつまでも妹で、妹だからこそ守ってあげなきゃと思える存在。
でも彼方ちゃんは、遥ちゃんに対する大切な視点が抜けています。
確かに遥ちゃんは、彼方ちゃんの妹で、遥ちゃんのほうが2歳年下。
でも、遥ちゃんはもう、いつまでも「守ってもらう」だけの妹ではないということ。
お姉ちゃんのことを「守りたい」と思うくらい、立派な妹だということ。
そして、家族だから、いつも近くにいるから気づけないことだけれど、遥ちゃんだって立派に成長していること。
さらには、彼方ちゃんと同じように、スクールアイドルという同じ夢を追いかける「仲間」だということ。
「仲間」である「近江遥」のために、「近江彼方」は何をしてあげられるのか。
同好会のメンバーにヒントを得た彼方ちゃん。
曇り空の隙間から「天使の階段」(光)が降りてきたことからもわかるように、彼女も答えを見つけることができたようです。
遥ちゃんに自分の想いを伝えるために、彼方ちゃんはライブをすることを決意するのでした。
別の日。
Venus Fortの広場。
東雲学院のライブが開かれるということで、多くのお客さんが集まります。
遥ちゃんにとっては、最後になるであろうスクールアイドルとしてのライブ。
しかしお姉ちゃんが会場にいないので、遥ちゃんは心配そうです。
そんな彼女を、侑ちゃんは「彼方さんが待ってるよ」とステージが見える位置まで手を引いていきます。
そしてステージには、勉強の合間にコツコツの構想を練り上げていた、あの衣装を纏った彼方ちゃんがいたのでした。
ライブで思いを伝えて
これまでの彼方ちゃんの曲とは全く違った、オシャレな楽曲『Butterfly』。
この楽曲は、中の人であるあかりんもがんばったというほど、英語の歌詞がちりばめられています。
日本語では伝えるのが恥ずかしいような言葉も、英語にしてしまえば恥ずかしくない。
そう彼方ちゃんが考えたのかはわかりませんが、これはもう、愛する妹へのラブソングなのは間違いありません。
ここの中で散りばめられている「You」は、もちろん、最愛の妹である遥ちゃん。
You're my dearest treasure : (初めてで一番の)最愛の宝物
Precious days we spend together : (数えきれないほどに)一緒に過ごす大切な日々
遥ちゃんが、自分にとってかけがえのない宝物であることを歌に込めて。
自分の名前と妹の名前を歌詞に入れて。
一日一日、過ぎゆく時の中で、強くなった遥ちゃんとなら「We can fly!」なのだという強い思いが伝わってきます。
「We can fly!」というメッセージが、繰り返し使われているこの曲。
やっぱりここはストレートに、スクールアイドルという夢への飛躍を、遥ちゃんと一緒に実現したい、ということでしょうか。
遥ちゃんは、大切な妹だけど、同じ夢を持つ「仲間」でもある。
その「仲間」が自分を犠牲にして夢を諦めてほしくない。
だから、「スクールアイドル」を目指す「私」と一緒に夢を叶えていこうよ。
お姉ちゃんだから、とか、妹だから、とか、そんなんじゃない。
同じ「スクールアイドル」という目線で、上下関係のない対等な関係で、伝えたいことがあるんだ、一緒に叶えたい夢があるんだ。
そんな強いメッセージ性を感じました。
それが伝わったから、きっと遥ちゃんは涙を流したのでしょう。
彼方ちゃんの、スクールアイドルでありたいから、スクールアイドルとしてステージから思いを届けるという考え方も、最高にエモいですね……。
Venus Fortの幻想的なステージも相まって、本当に素敵な曲でした。
そして、やっぱりお姉ちゃんはすごいなあと思わずにはいられませんね。
いやあ、やっぱり妹からすれば、お姉ちゃんというのは最高に「かっこいい」んですよね。
兄弟だからこそ、姉妹だからこそ、蔑ろにしてはいけない、否、できない「絆」があるのだと思います。(例外はもちろんあるけれど)
ただ、ひとつだけ。
尺の都合だとは思うんですけど、できれば遥ちゃんと彼方ちゃんの幼少期エピソードが見たかったなあと。
私、この姉妹がスクールアイドルを目指すきっかけがすごく知りたくなったんですよね。
彼方ちゃんが遥ちゃんと一緒に目指したのでしょうか。
それとも彼方ちゃんが憧れて、妹もついてきたのでしょうか。
子どもの頃どんなエピソードがあって、というのがもし作中できちんと描かれていたら、もっと自分は感情移入できたのかもしれない……。
そのエピソードがあったのが『サンシャイン!』のダイヤさんとルビィちゃんのエピソードです。
いつもダイヤさんの背中を追いかけていた、泣き虫な幼少期のルビィちゃん。
そんな彼女がお姉ちゃんに「独り立ち」した自分を見せたいと北海道に残り、ステージを作り上げました。
いつの間にか背中を追いかけるだけの妹ではなくなっていた、それに気づいたダイヤが一回り大きくなった妹の成長に涙を流す。
やはり、子ども時代のエピソードがあるのとないのでは、こういうシーンでのエモさが変わってくる気がしました。(勝手な妄想です)
だから2期では、彼方ちゃんと遥ちゃんの幼少期エピソードがみたくてしょうがないのです!
子どもの頃、母子家庭(?)で育った2人が、スクールアイドルという夢を見つけて走り出したエピソードとか。
そのときに約束したことを、2人とも忘れずに覚えていて、みたいなね。
そういうエピソードがもしあったとしたら、、、もう自分ダメです。
泣かずにはいられないと思います。
それだけに、ここで感情移入ができなかったのはちょっと勿体なかったなと。
まあ、あくまで個人の感想で、批判ではなく、これからの希望です。
まあ6話のエモさがヤバすぎて、どうしてもハードルが上がった状態での7話なので、2期では近江姉妹の幼少期エピソードなどの深堀があればうれしいですサンライズさん。
さて、ステージを終えた彼方ちゃん。
遥ちゃんは、ステージ裏にいる彼方ちゃんに会いに行きます。
「2人とも同じ思いならお互いを支えあっていけると思うの」と語る彼方ちゃん。
夢を諦めるのではなく、足りないところは補い合って、自分と夢を追いかけていこうと彼方ちゃんは伝えるのでした。
彼方ちゃんにとっての夢は、遥ちゃんとスクールアイドルをすること。
スクールアイドルの世界では「ライバルで仲間」、お互い切磋琢磨していこうという彼方ちゃんのイケメンさに、思わず顔が綻ぶ遥ちゃんなのでした。
こうして、遥ちゃんはスクールアイドルを続けることになりました。
東雲学院の仲間たちにとっても、今回の一件は相当の危機だったこともあり、彼方ちゃんの飛び入りライブに協力してくれたようです。
めでたしめでたしと相成りましたが、(スクフェス内でも描かれていた通り)まだまだ料理は遥ちゃん苦手な様子。
まだまだお姉ちゃんの力を借りなければ、羽ばたくのは難しいのかもしれません。
ですが、少しずつ得意なことを増やして、お姉ちゃんと共に夢を叶えていってほしいですね。
というわけで、第7話の感想でした。
続いてのお当番回はしずくちゃんです。
が……この話は『虹ヶ咲』1期の話の中で、一番解釈が難しい気がします……。
ペルソナの概念とか、ちょっと色々調べてから、私なりの想いを綴りたいと思います。
学生時代、ゼミで使った本が参考になりそうな気がするので、じっくり時間をかけてコツコツ書いていこうと思います。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
【ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】第7話「ハルカカナタ」
脚本:平林佐和子
演出:尾上皓紀