映画批評&アニメ

◆ シネマ独断寸評 ◆

基本は脚本(お話)を重視しています。
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映画寸評「グリーン ・ ゾーン」

2010年06月10日 06時21分24秒 | 映画寸評

「グリーン・ゾーン」2010年 米)

  監督 ポール・グリーングラス


上級サスペンスアクションで描かれたイラク情報戦

 イラク戦争開戦後、陥落した2003年のバクダッドが舞台。グリーンゾーンとはバクダッド中心部の米軍占領地区であり、快適な設備を備えた米軍にとっての安全地帯である。上級准尉ミラー(マット・デイモン)は大量破壊兵器捜索部隊の隊長であり、極秘情報に基づきグリーンゾーンを出て、大量破壊兵器が隠されているとされる地域に出動するが、何度も発見できず空回りに終わる。そのため、国防省が出所である情報の信憑性に疑問を持ったミラーは真相を突き止めようと行動する。与えられた任務の範囲を逸脱して危険地帯へも進んで赴くが、国を思うイラク人の情報提供者フレディや元フセイン軍の高官たち、米国防省高官、CIAメンバーなどの動きが錯綜し、何度も危ない目に会いながら次第に真相へと迫っていく。

今では、大量破壊兵器は無かったことが明らかになっており、国防省の情報がガセネタだったのは周知の事実だが、それが明らかになる過程は、あくまでミラーの体を張ったサスペンスアクションとして描かれており、それが成功している。事実を知っている観客も手に汗握る結果となっている。目まぐるしく変わる高速の展開は、まさに宣伝文句に有った「あなたは114分間、前線に放り込まれる」といった表現どおりである。そして、必然的にイラク人にとっての米軍占領の意味、など、政治的考察も迫られる作品となっている。


ポール・グリーングラスとマット・デイモンのコンビによるノンストップアクションは「ジェイソン・ボーン」シリーズ以来一貫して良くできている。唯我独尊で情報操作もお手の物のアメリカ政府に対し、ある意味「アメリカの良心」を体現する役どころにマット・デイモンがはまっている。

 

総合評価  [ 評価基準:(⑥まれにみる大傑作)⑤傑作 ④かなり面白い ③十分観られる ②観ても良いがあまり面白くはない ①金返せ (0論外。物投げろ)]