第106回全国高校野球選手権大会は、
京都国際の初優勝で幕を閉じました。
京都国際は、
初出場が2021年ですから、
まだ歴史の浅い学校。
しかしながら、
非常に攻守に鍛えられていて、
これぞ高校野球という好チームでした。
準優勝は関東一。
1985年に甲子園に初登場してからは、
東京の名門校として、
しっかりとした歩みを続けてきました。
今年のチームは攻守にこれまでよりもしっかり、キッチリとしたチームで、
弱点を見せることなく、
次々に強豪を倒して、
決勝まで駆け上がってきました。
その両チームの決勝。
しびれるような投手戦、守り合いで、
お互いチャンスを生かせずに9回を終え、
甲子園の決勝としては初めて、
延長タイブレークでの決着となりました。
延長タイブレークでは、
両方ともに最初の打者がアウトにならず、
無死満塁となってからの攻撃となり、
最後までハラハラ、ドキドキの決着でした。
やはり延長タイブレークというのは、
守備側にとっては、
いかに最初のバッターで一つアウトを取るかということが、
ものすごく大切なんだなあということを実感しました。
しかし個人的な見解ではありますが、
トーナメントの最終戦である決勝は、
タイブレークの在り方、今一度検証してくれないかなあ・・・・・なんて思います。
延々と延長戦をやれ・・・・
というわけではなく、
ワタシは延長12回までは延長戦をやって、
13回に突入したらタイブレークをやる。
そう、数年前までタイブレークのレギュレーションとして行われていたやり方を、
決勝では採用したらどうかな?
と思います。
延長も12回までやれば、
勝負としては一応の決着を見るのでは・・・・ということと、
12回以降の延長は消耗戦になるので、
これ以降は「試合に決着をつける方式」であるタイブレークで決着をつけてはどうか?
というものです。
本当はタイブレークすべてをこれにしてもらいたいなあと思うのですが、
それでは消耗度が激しいという声もあるでしょうから、
せめて「これ以降は試合がない」決勝ではこの方式にしてもらいたいと思います。
今年の大会も、
クーリングタイムを5回終了後に10分設けましたが、
10分間の中断というのは、
投手にとっては痛しかゆしの部分もあったのではないでしょうかね。
特に6回表にマウンドに上がる投手にとっては。
俗に「2度目のオープニングイニング」と言われる6回表。
ここで試合が動くことも多く、
ワタシはこれを見ていて、昨今の高校野球の試合をこう感じていました。
「実は先攻を取った方が、有利なんじゃないだろうか」
立ち上がりの1回表、そしてクーリングオフ後の6回表、
表の攻撃のチームは、
2度の「立ち上がり」のチャンスを迎えることができます。
そしてさらに、
ワタシはタイブレークにおいても、
必ずしも裏の攻撃が有利だとは思っていません。
もっと言えば、
自由に攻撃をデザインできる表の攻撃の方が、
やや有利なのではないか?
そんな風にも思っています。
ゆえに表の攻撃のチームは、
試合中に3回もチャンスの攻撃が訪れるということで、
「表が有利なのではないか」
なんて思うわけです。
長いことず~っと、
「野球は後攻の方が断然有利」
という事を言われていました。
特に試合が終盤に向かえば向かうほど、
その有利さは顕著に表れてきて、
延長に突入すればそれはもう、
「後攻が8割がた有利」
なんてことも言われていました。
今はあえて言えば、
後攻が有利なのは9回の攻防のみ、
という事が言えるのではないでしょうか。
それから今大会が、
今までの大会と全然違った景色を見せてくれたのは、
やはり低反発の新基準バットが導入されたからでしょうね。
今大会の本塁打は7本。
春の選抜でも顕著でしたが、
やはりスイートスポットが狭くなっているということから、
いわゆる「芯を食った当たり」しか柵越えが期待できないとあって、
各チームの作戦面にも、
大きな影響を与えているようでした。
これまでのように、
強打のチームが長距離砲を下位打者まで並べ、
バンバン打って勝っていく・・・・・
という手法は、
ある程度以上両チームの間に力の差がなければ、
成立しえない戦法になってきました。
今まで強打で鳴らすチームは、
長打をバンバン出していくからこそ、
相手の外野守備も勢い深い守りにならざるを得ず、
そこに当たり損ねたフライが内外野の間に落ちる・・・・・・という事も多くて、
「止められない攻撃」をすることができました。
しかし「中軸以外にはさほど長打を警戒しなくていい」となった今大会など、
外野の守備位置にも明らかな変化が見て取られ、
それゆえ強打のチームの「アドバンテージ」はかなりの部分がそぎ落とされるという試合内容となりました。
そして、
必ずしも「強力」と言われるチームでなくとも、
しっかりとピッチャーがコントロール良く低めを中心に投げ、
内外野がしっかりした守りを見せれば、
かなりの強豪チーム相手にもロースコアの接戦に持ち込むことができる。。。。
それが実証されたと思います。
いくつもの強打の強豪校が、
こういった感じのロースコアゲームで敗れ去っていきました。
しかし。。
強豪というのは、
こういう「学び」を経て、
必ずやそれの対策をきっちり立てて、
「新しい戦い方」を構築してくるのが常。
強豪校のこれからの戦い方は、
それはそれで非常に、
楽しみではあります。
しかし、
今年の大社、小松大谷、それに優勝、準優勝の両校の戦い方を見ていると、
「甲子園でしっかりと勝っていくには」
というヒントがたくさん隠されていたと思います。
これから甲子園で勝っていくための一番のキモは、
まずはしっかりした制球力を持った投手が、
キッチリと低めに投げていけるという事。
そして、
それを支える守備陣が、
良く鍛えられて、
しっかりとアウトを重ねていけるという事。
このふたつだけでも、
それを完遂することができれば、
かなり上位まで駆け上がっていくことができるでしょう。
そしてさらに、
これに攻撃面として、
足を使った攻撃と、小技の正確さが加われば、
更に鬼に金棒です。
強打線ではないがしっかりとどの試合でも2,3点は取れる
という打線で、
それをしっかりと守り切る高い投手力・守備力があるチームが、
甲子園で勝ち進んでいけるチームということでしょう。
平たい言葉で言えば、
やっぱり「スモールベースボールを極めた守備型のチーム」が、
甲子園を制することができるという事ではないでしょうか。
まあ言ってみれば、
甲子園が木のバットで戦っていた、
昭和40年代までの野球への、
ある意味での先祖返りかもしれませんね。
こういう感じになった方が、
試合は白熱することが多くなると思います。
まあしかし、
「初めて野球を見る人たちに対して、野球の面白さをアピールできるのかどうか?」
と言われれば、
正直わかりませんね。
やっぱりホームランがバンバン出る打撃戦が多い方が、
競技の面白さをアピールできるのは確かではありますからね。
さてそれから、
今年から試験的に導入された、
1日2部制はどうだったでしょうか。
大会初日は午前1試合、夕方2試合。
第2日と第3日は、
午前2試合、夕方1試合でした。
第1日の第3試合は荒れた試合になってしまったのですが、
おおむね好評だったと言っていいのではないでしょうか。
この酷暑対策として導入されたこの方式。
ワタシはおおむね賛成です。
やっぱり夕方からの試合は、
涼しい風も吹いてきますし、
何しろ太陽の照り付けがないだけでも、
本当にやりやすいんじゃないでしょうかね。
まあ、
ナイター試合に慣れていないチームはいるでしょうけど。
運用面については、
午前2試合、午後1試合ではなく、
午前1試合(朝8時から)午後2試合(夕方4時から)
というのがいいのではないでしょうか。
せっかく2部制にしても、
今年の2日目、3日目のように、
第2試合も午前中に行うとなると、
第2試合の開始は11時前ぐらいになってしまうので、
もろに「一番暑い時間帯」での試合になってしまいますからね。
午後4時に第2試合を開始すれば、
午後6時半過ぎに第3試合が開始され、
9時に試合終了となると思います。
そうすれば3試合とも、
34度とか35度とか、
そんな気温の中での試合ではなくなるはず。
そして私案ではありますが、
この”2部制1日3試合”というのを、
開催日程のほぼすべてに適応させればいいのではないかと、
そんな風に思います。
大会開催期間はこれで3日増えますが、
そこは調整して何とかすればいいのではないですか?
選手ファーストであれば、
そんなこと考えてもいいのではないかと思います。
そして観客目線で言わせてもらえば、
この2部制のチケットの売り方、
考慮すべき点、たくさんありそうですね。
2部制にするのであれば、
チケットは
・午前券
・午後券
・1日通し券
の3種類を売ったらどうでしょうか。
1日通し券の場合は、
1度球場外に出るのも可・・・として。
今やチケットもオンラインで売られ、
しかもすべてが指定券。
そのくらいを捌くのは、
簡単なことです。
ということで、
このところ毎年大きな改変が行われる甲子園の高校野球。
果たして今後は、
どうなっていくのやら。。。。。
議論するのはいいけれど、
試合を7回制にするとか、
甲子園での開催を再考するとか、
巷で言われていることはなんだか、
高校野球おやじを萎えさせることばかり。
101年目に入る甲子園球場で、
ず~っと人々の熱狂を演出してきたこの大会が、
本質は変わることなく「日本のスポーツ文化の中心」を担っていくことを、
切に望みます。
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