≪第95回選抜高校野球大会≫
【総合展望】
大阪桐蔭が選抜連覇に挑戦。NO1の戦力保持するも、絶対とは言えない今年の大会。
さあ、今年も選抜の季節がやってきます。
コロナが発生して3年、
徐々に世界もこの現実に慣れてきて、
日常を取り戻してきつつある今日です。
日本も遅ればせながら、
コロナと共生し、日常生活の中に取り込んで、
その脅威を取り除いていくことに注力しています。
様々なスポーツイベントも、
2019年以前の姿に、
徐々に戻りつつあります。
高校野球も同様です。
2020年、出場校の涙とともに中止された選抜は、
21年に復活開催、22年にはブラスバンドの演奏が許可されました。
そして今年。
いよいよ声を出して声援することが4年ぶりに復活、
『あの大歓声』
が甲子園にこだまする大会となります。
さて、
今年のセンバツから、
タイブレークの開始が従来の13回から10回に変更。
ということは、
今年から甲子園では通常の延長戦はなくなったという事です。
延長即タイブレークというのは、
高校野球の戦術に大きな変化をもたらすのではないかと予想されます。
ワタシはこの変化は、
『高校野球では、もはや後攻めが有利ということはなく、どちらかというと先攻が有利になるのではないか』
と思ったりしています。
後攻は従来、
後半のもつれた試合になればなるほど有利とされてきました。
しかしタイブレークでは、
ワタシは先攻の方が攻めのバリエーションが増える分有利ではないかと思っており、
そうすると先攻は
・初回の攻撃
・グラウンド整備明けの6回の攻撃
・タイブレークの10回の攻撃
の3回、有利なシチュエーションを作ることができるのではと考えています。
一方後攻は9回裏だけはサヨナラのチャンスという事で有利ですが、
その他に有利になることはなく、
相対的に見て若干不利ではないのかな?
そう思います。
さて、そんなこんなで今年の選抜高校野球大会、
総合展望です。
エース前田を軸に今年も戦力NO1の大阪桐蔭。しかし昨夏の覇者・仙台育英、戦力充実の広陵、大型チームの報徳が差なく追う。
昨年の大阪桐蔭は強かった。2本柱で盤石な投手陣で守りを固め、打線は1番から長打がバンバン出る打線。守りもスキはなく、まさに根尾・藤原世代をほうふつとさせる盤石な戦力を誇り、その通りの戦い方で選抜を圧勝。「ひょっとしたら、史上最強ではないのか?」とも言われた。しかし夏の選手権準々決勝でまさかの敗戦。一敗地にまみれたナインは出直しを誓い、ほぼベンチ入りメンバー総替えの苦しい秋が予想される中、チーム全体の力で接戦をものにして明治神宮大会を連覇。やはり大阪桐蔭は強いという事を、満天下に示した。その大阪桐蔭。昨年よりも戦力は落ちると言われているものの、それは秋のこと。このチームは根尾・藤原世代が2年生の時のチームに似て、一冬超えてグッと力を上げてくるチームに見える。大黒柱はエース前田。この「ドラ1間違いなし」と言われる世代No1左腕は、秋こそ疲れ、調整不足から時折不安定なピッチングを見せたものの、一冬超えればキッチリと仕上げてくることが予想される。高校レベルの打線で前田を攻略するのは至難の業。そして大阪桐蔭というチーム、一冬超えれば能力の高い選手の競争の中から、必ず一人や二人、安定したピッチングをする「化けた投手」が出てくるというのもお約束。南垣、南陽、藤井、佐藤ら、その候補は目白押しだ。そして「ネクストヒーロー」の筆頭格、徳丸が3番に座る打線は今年も強力。5,6点のビハインドならばすぐに返せるよとばかり鋭い打球を連発する。打線の整備はこれからが本番。小川、山田、徳丸、南川、前田と並ぶ打線は、相手にとっては脅威だろう。やはりこう見ていくと、大阪桐蔭が優勝候補筆頭なのは間違いない。大会も、大阪桐蔭の連覇がなるか、というのが最大の焦点になるのは間違いなさそうだ。
しかし昨年などに比べてやや盤石感が薄く「倒せる可能性はあるぞ」と思われる今年の大阪桐蔭に対し、逆転を狙うチームは多い。
その筆頭格は、昨夏悲願の東北勢初の全国制覇を成し遂げた仙台育英か。仙台育英は、選手育成メソッドが確立していて、大阪桐蔭と同じように、『1年だけのチーム』とはなりえない力強さがある。しかも昨夏の全国制覇メンバーの主力が残り、大阪桐蔭を猛追している。まずは自慢の投手力。昨夏も甲子園のマウンドを踏んだ好投手たちが、ローテーションを組んで打倒大阪桐蔭に燃える。高橋・仁田・湯田が3本柱で、いずれも速球のMaxが145キロを超える逸材。そのほかにも5,6人の投手が「いつでも投げられる」体制を堅持し、投手陣だけでいうと大阪桐蔭をしのぐ陣容だ。打線は秋には苦しんだ印象だ。東北大会、明治神宮大会を通じて打線が爆発した試合は皆無。しかしこれは夏の全国制覇後の調整期間の短さが理由で、春にはしっかりと仕上げてくるはず。しかしそれでも、「仙台育英の負けパターン」は打線が打てずにロースコアゲームになった時。選抜では打線が得点力を回復しているかが、夏春連覇に届くかどうかのポイントとなる。明治神宮大会で2年連続準Vの広陵も今年は狙える戦力だ。昨年から注目されていたスラッガー真鍋が成長。秋は5割を超える打率をマークし、大阪桐蔭に2年連続で敗れた悔しさを晴らすべく腕を撫す。今年の広陵はその打線の破壊力とともに、投手陣の分厚さもチームのストロングポイントだ。秋1番を背負った左腕の倉重が一本立ちし、秋はメンバーから外れた本来のエース・高尾や岡山などの右腕とともに盤石な投手陣を組む。今年のチームは、秋の最終戦、明治神宮大会決勝で大阪桐蔭に敗れるまでなんと新チーム結成以来50連勝を記録。どこかに脆さが残った従来のチームカラーから、今年は「しぶとく負けない野球」で全国制覇を目指す。名門復活を期す報徳学園も、大型戦力を整え3度目の選抜制覇に視界は良好だ。俊足の1・2番、岩本・山増が出塁して堀・石野の中軸でしっかり還す野球が確立していて、得点能力はとても高い。下位打線もしっかりとした打者が揃っていて、履正社、智辯和歌山に打ち勝った経験は大きな糧となる。しかし秋の最後の公式戦となった近畿大会決勝では、大阪桐蔭・前田を打てず0-1の完封負け。このレベルを打てなければ全国制覇には届かないという大きな壁が立ちはだかった。これをどう超えていけるのか?しかし反対に、大阪桐蔭打線をわずか1点に抑えた投手陣に大きな光明を見出したのも確か。エース盛田は「評判の好投手」とは言われないものの、しっかりとした投球ができキッチリと試合を作れる好投手。ここにあと2,3枚を加えて盤石にしていく腹づもりだ。
優勝を狙える精鋭も多い。沖縄尚学、智辯和歌山、東邦は鍛え上げられた打線で勝負。
優勝候補に挙がる「4強」に続く存在としては、まず沖縄尚学、智辯和歌山、東邦が上がる。沖縄尚学は、鋭い打線が看板の好チーム。秋はチーム打率4割を超え、その力を明治神宮大会でも仙台育英の投手陣相手に見せつけた。エース東恩納は、沖縄尚学のエースらしいキレのある好投手で、全国レベルでもしっかりとした投球が出来そう。しかし心配は投手陣の層が薄いこと。エースひとりでは大会を乗り切れないので、2番手、3番手投手がしっかりと成長していることと、秋に乱れた守備陣をしっかり整備できるかが上位進出のカギとなるか。智辯和歌山は相変わらずの強力な打線が看板。昨夏の甲子園で初戦敗退した悔しさから立ち直り、本来の豪快な野球が蘇ってきた。青山・中塚の3・4番は、チーム歴代の中軸と比べてもそん色ないほどの長打力を持つチームの看板。そこに吉川・清水の左右の投手がきっちりと試合を締めに入る。まだまだ未知数の部分も多いが、もちろん狙うは春の頂点だ。東邦は大型チームとの触れ込みで、「平成最後の選抜制覇」以来4年ぶりの頂点を目指す。秋は東海大会を制して自信をもって神宮に乗り込んだが、大阪桐蔭に何もできずのコールドの完敗。力の差を痛感させられた。エース宮国も大阪桐蔭打線に打ち込まれて、選抜でのリベンジを誓う。打線は4年前と比べると長打力はないが、打球の鋭さはその当時に匹敵する。チームの伝統は「春に強い東邦」。同じく春に強い広陵、龍谷大平安などとともに、伝統の力でひとあばれを狙っている。
そのほかのチームも精鋭ぞろいなのが今年の選抜。龍谷大平安はサイドハンドから鋭い球を投げ込むエース桑江を中心に、打線もなかなかの力を持つ。関東では、秋の関東大会で決勝を争った山梨学院と専大松戸が戦力充実。山梨学院は昨年の春夏ともに甲子園を経験した選手が大挙して残り経験値は十分だが、何しろ甲子園に弱いという伝統がネック。専大松戸はMax150キロ越えのエース平野に期待が集まる。打線は相変わらず強力ではないので、平野にかかる期待が大きすぎると厳しくなる。ここのところめっきりと勢いの衰えた関東勢。チームの絶対的な力が近畿勢など全国の強豪と比べてやや劣るように見えるが、今年は巻き返しなるのかどうか。クラーク国際は昨年に続く連続出場。安定感抜群のエース・新岡を軸に守備でしっかりと試合を作りたいところだ。
36校出場の大会だけに、組み合わせの妙で上位進出校も変わる。ズラッと並ぶ中堅校から、どこが抜けだすか。
今年は例年と違って36校の出場する選抜大会だけに、4試合の1回戦が組まれることになる。早春の大会だけに、各チームにとって1試合多く戦うというのは非常に負担が大きくなると思われ、上位進出を狙う高校はなんとしても2回戦からの出場くじを引きたいと思っていることだろう。そんな中、そんなことものともしない、分厚い戦力を誇るチームも多い。履正社は大阪桐蔭に行く手を阻まれ続けているが、その実力は全国上位レベル。今年も強力打線は健在で、ポスト岡田監督での初出場だけに、どんな戦いぶりを見せるのか注目が集まっている。四国大会決勝を争ったのは香川の2校、英明と高松商だ。英明は明治神宮大会でも1勝を挙げてその実力を証明。集中打の出る打線と安定感に長けたエース下村で、一波乱を狙う。高松商は大黒柱・浅野(巨人)は抜けたが、昨夏甲子園8強の実力は本物。特にエース大室の左腕は”買い”。伝統校復活への歩みを止めてはならない大会になりそうだ。九州からは長崎勢がアベック出場。長崎日大は選抜連続出場、海星は夏春連続出場と甲子園経験もあり、期待されている。長崎日大は秋54試合という試合経験の豊富さで、接戦をものにしてきた。海星は昨夏のセンセーショナルな姿が目に浮かぶ。こちらは夏の影響で新チームの始動が遅れる苦しい秋を乗り切り、春にスパークを目指す。潜在能力は非常に高い。実戦で鍛え上げたといえば初出場の彦根総合。元北大津の名将、宮崎監督に率いられ、秋は65試合という豊富な試合経験を生かした実戦力が自慢。初出場とはいえ、決して侮れない好チームだ。コロナ中止明け、5季連続出場となる敦賀気比は、2年間エースを張った上加世田の後釜に座るエース辻に期待がかかる。チームのノルマは8強進出だ。12年ぶりの春となる東北は、仙台育英に全国制覇で先を越され、何とか巻き返しを図りたい。佐藤監督はこれまでのチームとはガラッとカラーを変え、自主性を重んじるスタイルにチームカラーを変化させ臨む。関東では健大高崎が2年ぶり。機動破壊も強力打線もないチームではあるが、しぶとく強豪を倒して掴んだ春。実戦経験豊富で、簡単には負けない力を発揮できるか。
21世紀枠も含め、春はどこが勝ち上がってもおかしくはない。甲子園で校歌を歌うのはどこだ。
例年の事ではあるが、シーズン初めの大会となる春の選抜は、実戦経験に裏打ちされた実力をぶつけ合う大会ではないので、どこが勝ち上がってもおかしくはない。きっちりと仕上げてきたチームが強豪と目されたチームを倒していくことは、特に春はよくある話だ。そういう観点から見ると、21世紀枠を含めて、どこが勝ち上がっていくのか大変に興味深い。能代松陽は、昨夏からの連続出場。何もできなかった夏の敗戦を踏まえ、どこまでビルドアップしているか。慶応は清原Jrに注目が集まっている。作新学院は春の段階ではチームは仕上がっていないだろうが、小針マジックで1勝を狙う。中学時代から注目されていた小川が覚醒しているのか?東海大菅生は、若林監督が辞任になった影響がどう出るのか。エース日当はMax150キロを投げる好投手だが、打線は例年に比べかなり弱い。二松学舎大附は昨夏1年生ながら甲子園でアーチをかけた片井に注目。北信越大会で優勝した北陸は、旧阪急ブレーブスタイプのユニがひときわ目を引く。接戦得意で、エース友広は注目の投手。常葉大菊川は秋は練習試合の記録なし。力はかなり持っていると見受けられるが、未知数の部分も多い。大垣日大は、昨春の物議をかもした出場から、今年はすっきりと連続出場。老将・阪口監督に率いられ、今年も校歌を歌いたいところ。連続出場といえば、昨夏からの連続出場を決めたのが社。甲子園から帰り秋は52試合をこなしたのは脅威。投打に明確な色はないが、何しろしぶとい実戦派の野球が、今年も展開されそうだ。初出場の光は、公立の星。ほぼ全員が軟式出身者のチームで、鍛え上げて出場をもぎ取った。鳥取城北は2年ぶりの春。最近は聖地でも確実にその足跡を残す戦いを続けており、今年のチームにも期待は大きい。高知も連続の選抜。ポスト森木から連続の出場で、全員野球のチームで結果を残す。大分商はなんと秋は投手の完投がゼロ。つないでつないで、まさに全員野球で勝利をもぎ取る。21世紀枠では、氷見のエース青野に注目。速球とスライダーのコンビネーションが見事な投手だ。城東は部員(選手)わずかに12人のチーム。四国で12人というと、かつての中村が思い出されるが、ほぼ50年の時を経て、快進撃がなるか。石橋は望んで望んで、やっと射止めた甲子園出場。まずは1点、そしてその次は1勝と進めるか。
今年は3月18日開幕の甲子園。
95回目の春、さあどんな大会になるでしょうか。
組み合わせ抽選会は、10日金曜日に行われます。
WBCもあるけど、
選抜にも注目です。
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