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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

夏の甲子園  智弁和歌山 『負けたくない思い』が染み付いたチーム

2009年08月19日 | 高校野球

第91回全国高校野球選手権大会

【第9日 第3試合】

智弁和歌山 8-5 札幌第一


甲子園も、
昨日2回戦を終了し、
今日からいよいよ3回戦に突入します。

1回戦から登場のチームは、
既に3試合目。

甲子園慣れと共に疲れも出てくる頃。
このあたりにどう折り合いをつけて、
だんだんと難敵になってくる相手とぶつかっていくのか。

体調管理と共に、
采配の妙も出だすベスト16です。



さて、
昨日の試合で、
智弁和歌山が最終回の逆転劇で劇勝!
高島監督に、
甲子園最多勝利監督(タイ)の称号をプレゼントしました。

智弁和歌山

終盤になればなるほど力を発揮する、
【終盤型】
のチームです。
もちろんその戦いのスタイルは
【超攻撃型】。

いくつもの激戦を終盤の逆転で制し、
高校野球ファンに強い印象を残すチームです。

高島監督は、
この智弁和歌山で51勝を挙げています。(前任の智弁学園で7勝)

間違いなく
【平成最強のチーム】
ですね。

しかしながら、
ここに至るまでの道のりは、
決して平坦なものではありませんでした。

智弁和歌山の甲子園初見参は昭和60年春。
今からまだ25年ぐらいしか経っていません。
結構新しいチームなんです。

そして、
その歴史は初戦敗退から始まります。

夏は昭和62年に初出場。
平成元年、3年、4年と立て続けに甲子園にやってきますが、
いずれも初戦で1点差の惜敗。(対戦相手も強かった)

0勝5敗から始まった甲子園ロードですが、
それからが凄い。
平成5年に初勝利をあげてからわずか16年の間に、
驚くような実績を上げています。

実は甲子園で負け続けていた間に、
高島監督は、
【報知高校野球】誌の、
『私の高校野球』に寄稿しています。

高島監督は、その文の中で
「最後に、全国制覇という果てしない夢をずっと追い続けて生きたいと思っています。

ということを書かれていたと思いますが、
当時それを読んだ私は、
「まあ 難しいだろうな」
と思ったことを良く覚えています。

だってその当時で、
既に高島監督はベテランの域に入った監督。
年齢も40代も中盤に入っていたと思います。

その人がいまさら指導方針を変えられるとも思われないし、
その当時は【智弁】(奈良も含めて)という名前は、
いまひとつ「強豪」というくくりで捉えられるチームではないと感じていたからです。

当時は、
【天理】【PL】という名前が強大で、
それを凌駕するのはまず無理なんじゃないかと思っていました。

流れが大きく変わったのは、
93年夏の初勝利ですね。

東北高校相手に、
延長12回を戦い抜き、
サヨナラでの勝利。
劇的な甲子園初勝利でした。

これで高島監督自身も、
そしてチームも、
何か大きな壁を破ったのでしょう。

ここから快進撃が始まります。

ここまでのチームカラーは、
『打撃のチーム』
でありながら甲子園では力を発揮できないというもの。

しかし初勝利から、
『甲子園で力を発揮できる打線』
に大変貌を遂げました。

翌94年のセンバツで、
いくつかのサプライズな勝利を持って初制覇。
ポイントになったのは、
その大会で東西の優勝候補と目されていた、
東の横浜を2回戦で、
西のPLを準決勝で破ったことでした。

優勝したということ以上に、
この両チームを堂々と破ったことで、
高島監督はチーム作りに手ごたえを感じたのではないかと思います。

96年センバツでは、
ガラッと違ったチーム作りで、
高島投手を中心に守り勝っての準V。

この頃になると、
【強豪 智弁和歌山】
の名前は高校野球界に響き渡り、
『名前とユニフォームで勝負できるチーム』
の仲間入りを果たしました。

和歌山では名門・箕島の後を完全に継ぐ存在となり、
今ではその箕島をも実績面で大きく凌駕する存在となっています。

その後は、
ここで紹介するまでもないのですが、
97年・2000年夏の優勝。
2000年春・2002年夏の準優勝など、
キラキラと光る実績を残しています。

智弁和歌山ほど、
『簡単に負けない』
の思いが強いチームは他に思い当たりません。

負けている終盤にも、
何かひっくり返すような気がしてならないのは、
私だけではないと思います。

昨日の終盤もそうでした。
そして、
昨年夏の準々決勝、常葉菊川戦はその真骨頂。
13-2の8回から、
最終回で一打逆転まで追い詰めるチームなんて、
他に類を見ません。

こういう力は、
多分普段の練習で高島監督が選手達を極限まで鍛えているからではないでしょうか。
実際に見たことはありませんが、
智弁和歌山の練習は壮絶極まりないらしいですね。
元から選手を1学年10人に限定して鍛え上げているチーム。
一人ひとりの練習の密度は、
この上ないぐらい濃いものなのでしょう。

腹筋一日2000回(記憶が間違いじゃなければ)!!
これを聞いただけで、
めまいがしてきました。

特に6月は追い込んだ練習をして鍛え上げてきているらしいので、
甲子園の暑さも何のその。
そして、
『こんなに苦しい思いをしたんだから・・・・・』
『こんなところで負けるわけにゃあいかねえ・・・・』
下級生は
『負けたら、またあの練習が待っているのか・・・・』

こんな思いが試合に凝縮するのではないでしょうか。


それから、
忘れちゃいけないのが、
甲子園のアルプス。
そう、
応援です。

智弁和歌山がチャンスのときの、
リズムに乗った”あの”応援。

相手は終盤であればあるほど、
飲まれてしまうのではないでしょうか。

PL全盛時代の”あの”応援。
横浜の”あの”応援。

それと同じく
智弁和歌山の”あの”応援です。

東京では、
早稲田実の奏でる”紺碧の空”が”あの”応援に当たります。

相手は選手のみならず、
監督さんまでもがその応援を聞くと、
”いや~~な”感じに包まれるそうです。

そう考えると、
名門・強豪は、
【名前】【ユニフォーム】そして【応援】でも、
野球ができるということなんでしょう。

まあいずれにしても、
智弁和歌山は今年も強い。

甲子園の主役になれるか否かは、
神のみぞ知るところです。

個人的には、
智弁和歌山vs花巻東
智弁和歌山vsPL
智弁和歌山vs帝京
智弁和歌山vs中京大中京
が見たいところ。

花巻東以外はいずれも、
かつて、球史に残る激闘が刻まれた対戦です。


ちなみに、
私が挙げる智弁和歌山ベストゲーム。

2000年選手権 準決勝
智弁和歌山 7×-6 柳川

です。

覚えていますか?

 


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2 コメント

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もちろん憶えています (パイプマン提督)
2012-02-19 11:33:16
こんにちは。初めまして。古い記事ですが、たまたま目についたもので。(笑)
あの試合、センバツからの因縁という水島新司のマンガのようなドラマチックな流れや、柳川・香月投手など個性あふれる選手たちの戦いが名勝負に彩りを与えましたね。
ただ、もう一つ同じ大会の中にターニングポイントとなる試合がありました。
智弁和歌山―PL学園戦です。
PLは綺羅星のごとくスター選手を輩出することに目を奪われがちですが、実は伝統的に「洗練された鉄壁の守備」を誇るチームでもあります。(あなたなら充分承知と思いますが・・)
そのPLの鉄壁の外野陣が、智弁和歌山の凄まじい打球の前にズタズタに切り裂かれたのです。
あれは衝撃的でした。まるで初陣の学校が全国クラスの打球の前に右往左往するかのごとく、
打球を追うPL外野陣の姿は忘れられません。
被安打、失点共にPLの甲子園ワースト記録ではないでしょうか?
その後、必死の追い上げで意地を見せたPLはさすがでしたが、あの試合は甲子園の王者がPLから智弁和歌山に代わった試合だと思います。

こちらのブログはスポーツに対する造形の深さと愛情に溢れた文章が素敵ですね。これからも楽しみにさせて頂きます。
長々と書いてスイマセン。(笑)
返信する
智和歌の凄さ (まめちち)
2012-02-20 08:32:59
パイプマン提督様、コメントありがとうございます。
そして、こんな古い記事をご覧いただき、ありがとうございます。
その時代、その時代に、代表的なチームがあり、そしてそれらのチーム絡みの激闘も毎年のように繰り広げられるのが甲子園ですね。その魅力からは、死ぬまで逃れられそうにありません。
智弁和歌山の2000年のチームはすごかったですね。1回戦で顔見せとばかりの猛打で幕開けをし、2回戦の中京大中京戦では猛追を振り切りました。3回戦のPL戦は、本当に『甲子園の盟主交代を印象付けた』戦いとなり、準々決勝では、ワタシが『その年一番充実したチーム』だと思っていた柳川を、大劣勢状態からひっくり返して勝ちましたね。
準決勝、決勝は黙っていても勝つと思っていましたが、そこでもやや苦戦しながら勝つあたりが、智弁和歌山の奥ゆかしさというか・・・・、愛されるゆえんなのではないでしょうか。
返信する

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