大阪桐蔭が圧勝で2度目のV。
圧巻の攻撃力は、群を抜いたものだったと思います。
大阪桐蔭は、昨年中田を擁して「史上最強チーム」との呼び声も高い超豪快なチームでした。
しかしそのチームは大阪府大会決勝で無念の敗戦を喫します。
更に新チーム結成後の秋の大会で、
PL学園にコールド負けで選抜への道も閉ざされてしまいます。
この逆境から見事這い上がっての全国制覇。
とかく「大型だがもろい」といわれたチームカラーを持つ大阪桐蔭が、
今年の大会ではそのもろさなど微塵も見せることなく、
すばらしく完成度の高い攻守と、あふれ出る気迫でVを達成しました。
しばらく「大阪桐蔭時代」が到来するのを予感させる、
今年の大会でした。
今年の大会は記念大会で、代表校は55校。
特に関東、近畿の代表校が増えて、にぎやかな大会となりました。
昨年の佐賀北のようなチームの出現はなく、
強豪が順当にベスト8以上を占めました。
組み合わせから考えられる8強は、
すべてが順当な結果に終わり、
その意味では波乱は少なかったように思われます。
しかしながら、
個々の試合の中では白熱したものが多かったように思われます。
大会序盤に、
新潟県央工が報徳学園をあと一歩まで追い詰めた試合は、
選手が一丸となって、たばになってかかっていく強さを見ました。
智弁-近江戦のすばらしい最終回の攻防、
鹿児島実-宮崎商戦の手に汗握る延長での攻防など、
見ごたえのある試合が満載でした。
そんな中、
ありえないような集中打による1イニングの大量得点も目立ちました。
千葉経大付が浦添商戦で見せた、好投手・伊波からの一挙6点。
智弁和歌山の駒大岩見沢戦での一挙11点。
常葉菊川は3回戦の一挙7点での大逆転、準々決勝での一挙11得点。
その他あげれば枚挙に暇がありません。
甲子園野球の質が変わってきたのか、
もう3点とか4点では、ビッグイニングとも呼べなくなっています。
質自体が変わってきたのであれば、
地方大会の5回10点差、7回7点差のコールドも、考え直さなければならないかもしれません。
実際智弁和歌山など、8~9回で7点以上取ったゲームが2試合もありました。
しかしながら、
準々決勝の浦添商-慶応戦、準決勝の大阪桐蔭-横浜戦など、
試合を決める大事な場面ではスクイズが勝敗を分けた、という試合もありました。
まだまだ甲子園戦術も生きています。
それから、
底なしの猛暑が続く最近の大会は、
過去の大会とは同列に考えることが出来なくなってきていると思います。
特に炎天下の第2・第3試合に当たってしまったチームのピッチャーの体力消耗度は激しく、
とてもひとりのピッチャーで大会をまかなうことは出来ないようです。
実際、今大会でも浦添商・伊波、常葉菊川・戸狩の好投手が、
大会半ばにヒジ痛を発症して敗れ去りました。
こんなところからも、
甲子園に来て勝ち進むには、ますます層の厚いチームが有利だということになります。
無欲で勝ち進んできたチームが覇権を争う展開には、
なかなかなっていかないでしょう。
東北勢のVはまたもなりませんでした。
青森山田や東北、酒田南など、選手構成を見ると「どこが東北の代表?」と思うチームが多く、
個々の力では遜色ないチームが多いと思われますが、
身近に強豪が顔をそろえる関西や関東のチームとやると、
選手の素材では負けないもののゲーム運びなどで屈してしまう形が多いように感じます。
もう一歩の壁を破り優勝するチームが出ることを熱望します。
そして、そのチームは東北出身の選手が主流を占めるチームならば最高だと思います。
その点、来年以降の仙台育英には大いに期待しています。
あの怖さを知らない木村クン、順調に成長して行ってほしいものです。
いずれにしても、
トーナメントで戦われる夏の甲子園は本当に面白い。
その夏一度たりとも負けたことのないチームが覇権を握るこの大会が、
永久に繁栄することを強く願っています。