先日、フォロワーさんのお一人が、ものすごく気になるブログ投稿をしておられました。
その方は、ご自分が所得が少なくて、少ししか納税できないことを前提に…
稼いでたくさん納税して、社会に貢献している人が優遇されるのは仕方ない、と。
これは、現在の日本の社会システムには適合しない考え方です。
一部の社会のエリート、新自由主義者が理想とする社会ではありますが、その考え方を…
自称・低所得者の方が、自分の考えとして取り込んでしまう(内面化する)のは、間違いであって…
なんとも痛ましいことだと思いました。
(それがきつい皮肉なら別ですが)
たくさん稼いでいる人が、売価が高額な商品や、商品としてのサービスを手に入れるのは…
資本主義のもとでは仕方ないことです。
でも、現代の自由主義・民主主義社会の中での「公共サービス」に関しては、話は全く別です。
公共サービスは「商品」ではないのですから。
納税の義務というのは、それぞれの個人の所得によって「応分の」税を払う、というだけのことで…
たくさん納税するのが、社会において「偉い」いうことではない。
高額納税者にはよりよい公共サービスが提供される、などということでもありません。
高額納税者は、社会集団に「より多く貢献している」から、公共のサービスにおいて優遇される…
などというのは、とんでもない間違いな考えです。一番分かりやすい例でいえば…
公設の道路で「高額納税者専用レーン」などというものがあって、渋滞を避けられる、なんてことはない。
高額納税者のポルシェもフェラーリもロールスロイスも、貧しい人が乗っている軽トラックと平等に…
渋滞に巻き込まれるのです。
それでいい。それが、税金によって、法の下で執行される「公共」の事業というものの性質なんです。
社会集団で行われる「公共」「公営」のものは、資本主義の論理の外にあるものでなければならない。
社会集団の中での個人の価値は「応分の納税をしている」ということで、等しくなるのです。
所得税を一円も払っていない、非課税世帯だって「応分の」ことをしているのですから…
「公共財」の恩恵を、高額納税世帯と同じに受ける権利があります。堂々と、そうして良いんです。
税金払っていないんだから、お前は道路を歩くな、なんていう馬鹿なことはないでしょう?
逆に裏金作りなんかしている自民党議員は、いくら高額納税しても、集団の成員として失格なんです。
水道だとか道路・橋・トンネルだとか、警察とか消防・救急だとかは、今は「公共」の事業です。
でも、所得が高く、それに応じて高額納税している者は、すべてにおいて優遇されねばならない、と。
そうでない社会はおかしい。だから、何でも資本主義の市場原理のもとで動く「民営」にするべきだと。
そして自由競争の原理を社会の隅々にまで行き渡らせて、極限まで「公の論理」で動く部分を小さくする。
「公営」のものをどんどん廃して「民営化」することによって、富者・強者が社会のあらゆる場面で…
優遇されるようにするべきだ。
それが「新自由主義」ネオリベというものです。
彼らの理想社会は、道路も橋もトンネルも、警察も消防も国防も、すべて民営化された社会です。
新自由主義の母国で、本場でもある米国では、既に消防が民営化されているために…
「消火料」を払えないほど貧しい家で、延焼の恐れもないので、火事を消してもらえなかったという…
信じられない例が起きた州さえあります。
警察が民営化された例はまだありませんが、警察なんて極限まで減らして、その代わりに…
民間警備会社の人員と、装備、執行できる権利を充実させて、契約している家とか地域を…
重点的に警備するべき、という考え方をしている人たちもいます。
これだと…
お金がある人は安全な所に住んで、貧しい人たちの住む場所はスラム化して、無法地帯になりますね。
それでいい。それが自由競争の結果なんだから。というのが「新自由主義」ネオリベラリズムです。
そうなると、自由競争に負けた低所得者層(数的には圧倒的多数になる)は、不満を募らせますから…
その層には、娯楽を与えて黙らせる。
でもやがては必ず、それでも満足できなくなる。絶対に満足できなくなるから、そういう層には…
たとえば「愛国心」や「民族意識」を植え付けて、その国や民族の一員であるというだけで…
精神的な誇りや、高揚感を得て、脳内に快楽物質がドバドバ出るようにする。
あるいは〇〇人や、〇〇教徒といった特定の属性を持つ人々に対する「差別意識」「敵対心」を醸成して…
侮辱させたり、攻撃させたりすることで、ガス抜きをする。
つまり、広い意味で言う「極右」のイデオロギーを用いて、人間の攻撃性を開放してやって…
自分たちが社会において虐げられている、という事実を忘れさせる。
この手法は、今の日本でとられているだけではなく、世界中の「西側先進国」のエリート層が…
好んで仕組んでいることでもあります。
アメリカでも、ヨーロッパ諸国でも、極右が流行っているのは、そういうガス抜きのためです。
その裏にあるのは、経済力と社会的権力をもった、数的にほんの一部の人々が…
自分の力を継続的に、しかもできれば世襲的に、持ち続けようという欲望です。
こうしたわけで、ネオリベと極右思想とが「西側諸国」で同時に流行っているのです。
この両立は一種のペテンでもあります。
エリート層には、あらゆる点で限りのない自由を。一方大衆は、見えない「思想の檻」の中へ。
それに騙される圧倒的な多数者を作り出すには、彼らを一種の集団催眠状態にする必要がある。
多くの人が「個」としてものを考え始めたら、この催眠が解けて、ペテンがバレてしまいます。
だから、敢えて大多数の人々には、ものを考える力を持たせないようにする必要がある。
それと「個」を持たせず、なるべく周りの集団全体と、一体化した考えを持たせるのが良い。
それが「愚民化」教育というもの。
その重要ポイントは、繰り返しますが…
1.自分で考えることをやめさせる
2.個人としての立場を忘れさせる
日本では、この二つが、学校のシステムの中にまで、こっそり隠れて忍び込ませてあります。
また、テレビなどのメディアを通しても、この二つを植え付ける「洗脳」が強力に行われます。
さらに、人間の思考を単純化し、攻撃性を高めるための洗脳も同時に行われています。
「敵」を殺したり「弱い者」をいじめたりすることが、楽しいと思わせる。
これも重要なことで、敵を抹殺する「バトルゲーム」とか…
弱い者や、まぬけな者、変な者を「いじめる笑い」「嘲る笑い」などが流行るのはこの目的にかないます。
女性を「モノ化」「パターン化」して、都合よく凌辱の対象にする種類の「エロゲー」とかも…
男性の思考を単純化し、現実感覚を無くし、嗜虐性を高めるためには役立つものでしょう。
もう既に、こうした工作はすっかり、日本を含めた「先進国」の社会に浸透してしまっているので…
この工作ですっかり気持ち良くなってしまった人々は…
目を覚まさせようとすると、激しく怒り、反発します。
麻薬を取り上げられた、中毒患者のように。
それらの気持ち良い幻想の数々が、やがて、自分を死に至らせる快楽である、とも知らずに。
極右的思想、差別、虐待などのが、そうした危険な死に至る快楽であって…
一部のエリートの考える理想社会を利するだけのものだ、ということを知らせようとすると…
「ポリコレやめろ!」
という激しい反発が起きるのも、当然と言えば当然です。
「ヤク」を取り上げようとされた、中毒患者と同じなのですから。
この仕組まれた快楽から逃れるのは、薬物中毒を抜くのがとてもつらいのと同じぐらい難しい。
しかもそれは、生まれたときから…いや親の、親の親の代から伝えられてきた、アディクションなのです。
今の状況で「絶望しない」ということが、いかに難しいか、ということでもあります。
麻薬を抜く苦しみを味わうより、気持ちよくトリップしたまま死んで行きたい。
目覚めて、辛くて厳しい現実に直面するより、良い夢を見たままあの世へ旅立ちたい。
そう考える人も、とても多いでしょうから。
でもそれでは、子や孫の世代に「死の嗜好」「死のゲーム」を伝染させます。
人類の命脈を断つ自死への志向です。
それでもいい、というのは、あまりにも自己中な、わがままな欲望、ではありませんか?
蛇足ですが、こちらの「X」投稿を貼っておきます。
ご興味のある方は、タップして下のほうまでご覧ください。
成長するにつれてごく自然に個人としての観点よりも全体(例:国、社会)の観点に立って考えるように仕向けられる日本の人は、自国の国民を「有用な人間」と「無用な人間」に分けて考える考え方を身に付けている。… https://t.co/kU6yrE2wfw
— James F. ガメ・オベール (@gamayauber01) January 19, 2024