いつもペッピーノさんが面倒をみてもらっている、イタリア車整備のマエストロS君。
自分ひとりで自動車整備工場&中古車販売の会社を、1年半ほど前に立ち上げてからずっと…
基本、年中無休のお休みなしという体制だったのですけれど…
先日ちょっと寄って立ち話をしたら、このほど「社員」を一人入れて、業務が二人体制になったそうです。
とてもいいこと…というか、いままでよく一人きりの休みなしでやって来れたなという感じなんですが。
休みを取って、頭や体をリセットするのは、いい仕事をする上でも大事なことだと思います。
小倉唯さんも先日、アニメ『私の百合はお仕事です!』のラジオの中で言っていました。
今まで10年以上も、お正月の数日間帰省するときを除いて、1年を通してほぼ休みを取っていなかったこと…
休みはとらないほうが良い、と思い込んでいたけれど…
「最近、それじゃ駄目なんだ、自分自身に洗脳されていたんだと気付いた」と。
この冬に、デビュー以来初めて10日近く連続して休みを取った結果、身に染みてわかったのでしょう。
われらがマエストロも、休んだ方が仕事もうまく回るということを、きっと学ぶのではないかと思います。
ただ従業員の目があると、この前ペッピーノさんのバックランプが切れたとき、無償で替えてくれたみたいな…
ああいう特別サービスは、もうしてもらえないかもしれないですね。
まあ、それでいいのですけど。
ところでそのペッピーノさん。
このほどエアコンのガスを注入してもらった結果、この季節外れの猛暑の中でも、快適に冷房が効いてます。
去年の2月あたまにマエストロから購入したペッピーノさん。
冬に買ったので、エアコンのことは考えておらず、マエストロもガスが足りないのに気付かなかった様子。
で、去年の夏は「どうもエアコンの効きがいまいちだな…」でひとシーズン過ごしてしまいました。
ネットなどでいろんなレビューや噂を見ていると…
「156はエアコンが効かない」「暑いのは諦めるしかない」みたいなことが書いてあって。
ああそういうもんなんだな、しょうがない、と思っていたのです。
でもガスを入れたら、今日みたいな30℃超えの暑い日差しの中で、温度設定をフルになんかしなくても…
ちゃんと十分に冷えるじゃないですか。
こんなことなら、去年からマエストロにエアコンのことを報告して、ガスを入れ直してもらえばよかった。
これもまたイタリア車あるあるで…
マイナスの噂やレビューを見て、ビビッていたけど、実際使って見たらそうでもないという。
ペッピーノさんを買ったときだって、知り合いや友人から、そんな17年落ちの古いイタリア車なんて…
どんだけ壊れまくって、お金も手間もかかるかわからない、と言われたものです。
でも、実際に1年4か月乗ってみて、しかも信号の多い、渋滞も多い市街地走行がほとんどという悪条件なのに…
オーナーのせいじゃないトラブルは、ギアをバックに入れたとき点く白いランプが、片側だけ球切れしたのと…
ドライバーシートの高さを調節する機構がばかになっちゃって、座ると少し下がり、立つと上がるになった。
その二つだけです。
球切れは先ほど書いた通り、マエストロがタダで、数分の作業で交換してくれちゃったし…
シート高調節機構は、かまぼこ板を使って、我ながらうまく直してしまいました。
マエストロによると、シートを上下させる歯車がすり減っていて、こういう個体は初めて見たと。
おそらく、シート高調節をかなり頻繁にやっていたと思われ…
家族数人で代わる代わる乗って、そのたびにシート高をいちいち調節していたんじゃないか、とのこと。
とにかく、トラブル対応にお金は全くかかってないし、手間もほとんどかかってない。
心配していた車検だって、総額で13万5千円と、納得価格で済んだし。
(詳細は、このブログの11月の記事に載っています)
あとは至って快調。というより、むしろ買った当初よりいろいろ良くなった所ばかり。
段差に乗り上げるとき、前輪周りからポコンと小さな音がしていたのは、いつの間にか消えたし。
アイドリング時にハンドルに伝わって来る震動が、結構大きいなと思っていたのが、かなり小さくなったし。
トルコンATのシフトチェンジ時にあった軽いショックも、いつの間にかほとんどなくなって…
エンジン音の変化と、タコメーターの動きでしか、ギアが上がったのがわからないくらいになったし。
内装周りからしていた、道の悪い所を走行したときのビビり音やカタカタいう音も、全く消えちゃったし。
以前より燃費が1km/Lぐらい良くなったのは、省エネなアクセルの開け方のコツを覚えたからでしょうけど。
とにかく、イタ車は壊れるしカネがかかる。まして古いイタ車なんて!という懸念は全くの杞憂でした。
もちろん、マエストロがトラブルになりそうな箇所を一通りチェックして、納車前に対策してくれていた…
そのおかげはあるでしょう。
でも元のクルマが基本的にダメなら、いくら手当をしたって、壊れるものは壊れるはず。
オイル管理や消耗部品の交換など、前オーナーのメンテが良かった、というのもあるでしょうけれど…
みんなが噂するよりも、アルファ156の信頼性は高いし、品質も悪くないということなんじゃないですかね。
昨年の夏に手放した「メメ」こと、アルファ155TSだって、乗り始めから20年間ぐらい完全にノートラブルで…
冗談で「イタリア製のカローラ」なんて言っていたぐらいですから。
アルファロメオって、きちんと整備さえしていれば、そんなに壊れるものじゃないんだと思います。
「故障が心配だから」「お金がかかりそうだから」ということで、イタリア車を選択肢からはずしている人は…
騙されたと思って、一度乗ってみたほうが良いと思います。
ほんとに壊れまくったり、お金が妙にかかるのなら、それは…
完全な「はずれ玉」をつかんでしまったか、それ以上の可能性として「主治医」の腕が悪いんだと思います。
たちの悪い主治医だと、壊れそうなところをわかっていながら、あえてスルーして…
壊れたら修理して高額な代金を請求し「イタ車なんてこんなもんだからしょうがないです」で済ませていそう。
うちのマエストロみたいに…
「壊れるところはちゃんとやってあるから、壊れませんよ。故障したら僕の負けです」
なんて言う主治医を、見つけられるかどうか、かもしれませんけれど。
マエストロみたいに、休みもとらず毎日クルマいじりするほど、クレイジーな「整備オタク」は珍しいですが…
普通に誠実なメカニックがいて、車を大事にするオーナーであれば、そんなに心配することはないと思います。
あとは…
偏見、ですかね。イタリア車が故障すると特に騒ぎ立てるのは、米国と日本のユーザーです。
米国人は、南イタリアから米国に渡って来た、移民のイメージでしかイタリアを見ていなくて…
移民たちが貧しくて仕事にもあぶれ、仕方なくブラブラしていたこと、そして大家族なのを見て…
「怠け者で好色なイタリア人」のイメージを作り上げたのです。
日本人にとってのイタリア人のイメージは、アメリカのものがそのまま輸入されたものです。
その上…
明治維新直後に欧米に渡った、岩倉具視らの使節団が、ちょうどイタリアが国家統一の内戦で荒廃していたところを…
しかも「戦争に敗れて統合されてしまった」南イタリアの、ナポリの街とその住民の疲弊し切ったさまだけを見て…
「国民に怠惰の情あり」で済ませ、他の土地は見ないまま、全く学ぶところのない欧州の国だと決めつけた。
欧州にも日本人より劣った国民がいるというのは、白人への劣等感を和らげてくれる気持ちの良いものだったんです。
そんなイメージが「原風景」なこともあって、米国人と日本人は、イタリア人を馬鹿にする二大国民になった。
そういうのも、この二か国でイタリア車が、実際以上に貶められている原因にあると、私は思っています。
というわけで、たとえばドイツ車とイタリア車が、同じ壊れ方をしても…
「ドイツ車『なのに』壊れた。なんでだ?」
「イタリア車『だから』壊れた。やっぱり!」
になってしまうんですよ。
これは、偏見の現れですよね。
確かに、イタリアはG7の中で、日本に次いでこの20年間の経済成長が鈍い国であり…
少子高齢化が進んでいる点においても、G7の中では日本に次ぐ深刻さです。
でもそれは、イタリア人が怠けものだからとか、いい加減な国民性だからなどではなく…
産業構造が時代遅れであること、経済システムが硬直化していること…
社会の在り方も時代遅れで(右傾化しています)、男女差別が日本ほどではないにせよ激しいことなど…
まさに、日本と同じ病弊を抱えているからなんです。
リベラルでないこと、保守的であることは、意外かもしれませんが、経済にも不利益を及ぼすんです。
ということで…
我々の偏見がなくなって、イタリアをまっすぐ見ることが出来て、結果イタリア車がもっと増えればいいのに。
もっとも、これからはEVの時代が来て、車は全面的に電気製品化するのでしょうから…
いままでの、いろんな常識は通用しないようになってくるのかもしれませんね。
余談ですが、個人的にはEVがそんなにエコなのかどうかについては、疑問を持っています。
畜電池の技術・性能の向上が、主に中国で革命的に進んでいるのは聞き及びますけれど…
そうした新技術を使った電池が、廃棄されるとき本当に環境負荷の軽いものなのかどうか、懸念があります。
また、人間活動が原因の、急激な気候変動が進んでいるのは、間違いないと思うのですけれど…
その最大の原因が本当にCo2なのかどうか、化石燃料を使わないだけで解決するのかどうかについては…
まだ研究と議論の必要が、大いにあると思うんですよね。
まあ、それはまた機会がもしあったら、取り上げてみるとして。
おまけ動画です。
アルファ156ベースの、ヒルクライム競技車両の走行映像です。
155TIベースのものには負けますけど…
いい音出してますよ!
(音量注意)
Alfa Romeo 156 Touring Car || 9.000RPM Legendary STW Monster