1営業日で約17パーセント下落したとのこと。
金額にすると5890億ドルで、日本円に換算して、なんと約91兆円!
米国株式市場においても、1企業の1営業日として過去最大の下げ幅だったそうです。

日本最大の企業、トヨタの(唯一世界の時価総額トップ50に入っている)時価総額が、約46兆円ということなので…
その2倍ものマネーがたった1日で吹き飛んだことになります。
エヌビディアは世界の大企業ランキングでトップを争う会社で、昨年アップル(i-Phoneの)を抜いて、時価総額世界一に躍り出て話題になりました。
今回の株価下落の原因は、中国の新興半導体企業である、ディープシークが開発した「R1」というAIプラットフォームが...
米国のオープンAIやグーグルなどの最新モデルとほぼ同等の性能を持つ一方で、それらの数分の1の開発・教育コストで済むと評価されたこと。
何よりも旧型の半導体を使っても開発ができるということで、エヌビディアなどの商品である最新型半導体に、巨額の投資をする必要性に疑問符が付いたわけです。
米国は、世界のAI開発競争で覇権争いをしている最大のライバル、中国の勢いを止めるため、半導体のハイエンド技術の中国向け輸出を禁止しています。
しかし今回、中国の技術者が限られた半導体リソースでR1を開発したのだとすれば、その禁輸措置の実効性も問われることになるわけで...
この事件を「AI業界のスプートニク・ショック」などと呼ぶ、米投資家もいるようです。
かつて米ソが宇宙開発競争をしていたころ、ソ連が米国に先駆けて人類初の人工衛星、スプートニクの打ち上げに成功した事例になぞらえたものです。
いずれにしても生成AIの進歩が「新たな産業革命」と呼ばれ、テクノロジー分野での、世界の覇権争いのかなめと目されているのは確かです。
それにしても、91兆円って...!
あの自動車業界の巨人・トヨタの時価総額の2倍ものお金が、1日で吹き飛んだという事実は、我々を震撼させるものです。
もっと実感の湧く数字を言うなら...
いま騒いでいる事件で、フジテレビの広告主が次々とCMを差し替え、その損失をフジテレビに弁償しろと迫っている...
そのフジテレビの、半年分の売上高が450億円とか言ってますから、その「2千倍」ですよ!
それがたった1日で消えた。
また逆に、それぐらいのビッグマネーが、この分野でのイノベーション次第では、短期間に湧いて出る可能性が今後あるのかも。
そのビジネス規模の巨大さは、ちょっと空恐ろしいくらいのもの。

であると同時に、5年後10年後の社会、経済、科学技術、また私たちの仕事や暮らしのあり方が果たしてどうなって行くのか。
今は想像もつかないような大変化が起きる予感がしています。好むと好まざるとに関わらず、そこに巻き込まれて行く私たち。
(日本が先進国だとか経済大国だとかいう地位を完全に諦めて、アジアの片隅の平和な田舎の国で満足するのなら、無関係でも済む...かも?)
私自身は、全く新しい世の中に、果たしてついて行けるのでしょうか。
またそれは、人間を幸せにしてくれるものなのでしょうか。
スマホ上のチャットGPTのアイコンを眺めながら「どうかお手柔らかにお願いしますね」と呟いたりして。