先週、11月11日は、ちょうど90年前の1918年に第一次世界大戦が終息した日でした。カナダではこの日を第一、第二次、朝鮮戦争の戦没者を慰霊する「Remembrance Day(英霊記念日)」としています。毎年、この時期になると日本の赤い羽募金のように、街中は赤いポピーの花の襟飾りを付けた人々で溢れるので、「ポピーデー」とも呼ばれています。
トップの写真は1994年の英霊記念日のポスター。(Photograph by Master corporal Stephen Roy, Department of National Defense.)
なぜ赤いポピー(芥子)の花なのかというと、第一次大戦に出征したカナダ軍の兵士でモントリオールのマッギル大医学部教授でもあったJohn McCraeという人が、目の前で戦死した同胞を悼んで書いた詩「フランダースの野原にて(In Flanders fields )」から来ています。赤いポピーの花は、ナポレオン戦争の戦場の焼け跡にたくさん咲いた事から、その血のような赤い色と相まって戦死者の魂を象徴する花と言われるようになったようです。
1920年にゲラン婦人という方がフランスで手作りのポピーの花を売って、戦争で破壊された地域の子供達を救う募金を始めた事から、カナダでも翌年から退役軍人協会などが中心になって赤いポピー募金が始まりました。(興味のある方はVeterans Affairs Canadaのサイトなどご覧になって下さい)
以下は有名な「フランダースの野原にて(In Flanders fields )」の詩。フランダースといえば、日本人には「フランダースの犬」で馴染みがありますよね。
In Flanders fields the poppies blow
Between the crosses, row on row,
That mark our place; and in the sky
The larks, still bravely singing, fly
Scarce heard amid the guns below.
We are the dead. Short days ago
We lived, felt dawn, saw sunset glow,
Loved, and were loved, and now we lie
In Flanders fields.
Take up our quarrel with the foe:
To you from failing hands we throw
The torch; be yours to hold it high.
If ye break faith with us who die
We shall not sleep, though poppies grow
In Flanders fields.
第一次世界大戦(1914~18)はモンゴメリ自身の人生や、その作品にも大きな影響を与えています。「アンの娘リラ」(Rilla of Ingleside)では、大戦に人生を翻弄される大人達や兄弟達の様子が、アンの末娘リラの目を通して描かれています。
映画「アンを探して」でも戦争は重要なキーワード。戦争という人類共有の経験が、個人の記憶や付随する様々な装置を介して、まるで一人のキャラクターのように映画の中でしっかりと生きている...そんな事を感じるのです。
Report by Noriko Fujimoto