アンを探して Looking for Anne

「赤毛のアン」の島、プリンスエドワード島でオールロケ!第5回AFFF(シンガポール)で最優秀監督賞、グランプリを受賞!

今日も寄り道ブログ

2008年11月20日 | プロデューサーより
藤本リポーター、宮平監督に引き続いてのトピックです。
「憲法を変えて戦争へ行こう」

Amazonでネットショッピングをしていたらこんなビックリするような、タイトルがでて来ました。よく読めば、あとに「という世の中にしないための18人の発言」と続くのです。岩波ブックレットで2005年に発行され、今年迄何回も版を重ねています。
ビックリついでに古本だったし安かったので、早速購入しました。数日後に届いたそれは60ページ程のブックレットでしたが、書いてある中身は厚く、重いものでした。
憲法を変えて、、とはもちろん憲法第9条のこと。「9条の会」の存在は知っていたのでその会報誌かなと思ったのですが、そうでもなく岩波書店が独自に発行している岩波ブックレットシリーズでした。インターネットのお陰でこんなものにたどり着けた事を感謝。使い方によってはインターネットは素晴らしい伝達の手段だと思います。

発言者は以下の18人
井筒和幸、井上ひさし、香山リカ、姜尚中、木村祐一、黒柳徹子、猿谷要、品川正治、辛辣なめ子、田島征三、中村哲、半藤一利、ピーコ、松本侑子、三輪明宏、森永卓郎、吉永小百合、渡辺えり子

この中で、「アンを探して」と間接的に関係している方達がいます。

半藤一利氏=宮平監督は脚本執筆中、モンゴメリの作品はもちろん、ありとあらゆる本を参考にして読んでいます。半藤氏筆、分厚い上下の「昭和史」も読破、とても参考になったようです。また、監督はカナダ大使館のライブラリーにも大変お世話になり、カナダ人が戦争中、日本に捕虜として過ごした数年間を書いた素晴らしい本も発見してくれました。(これは映画製作したい程)

松本侑子氏=「赤毛のアン」ファンなら知らない人はないでしょう。いろんな角度から研究されていて、とても勉強になります。我々も殆どの著書を持っています。07年にはNHKの取材で松坂慶子さんとPEIに行かれ、ロケハン中の我々とニアミスの可能性があったかも?


長い文章の一部を抜粋するのは真意が伝わらなくて申し訳ないと思うのですが、ブックレットのなかから、少しだけ、、、お許しあれ。

井筒和幸
<どんどん右回りの蚊取り線香みたいな国になって、火がついたまま最後までいってしまうからね。>


黒柳徹子
<子どもたちは戦争に苦しめられることなく、夢や希望をもって生きることができなければならない。>


半藤一利
<戦争や軍事に対する深い洞察と想像力の欠如している子供が、今の日本に多くなった。それを心から憂えている。>

ピーコ
<人の命より大事な国家などないのですから。守らなくてはならないのは<命>なのです。>


松本侑子
<日中戦争と、第二次世界大戦によって日本人は310万人の兵士と非戦闘員が死んだ、原爆も二発、投下された。取り返しのつかない犠牲のあと、平和憲法は、日本の国会で反対わずか5票という圧倒的多数で可決された。そして国民もまた、「無理矢理の押しつけ」と受けとったのではなく大歓迎した。、、、。>

三輪明宏
<正義の戦争なんてありゃせんのですよ。>

森永卓郎
<世界で最も美しく、強い覚悟を持った平和主義。、、、時間が経ったからと言って変えなければいけないという理由はどこにもない。>

吉永小百合
<戦争とは、国が人に人殺しを命ずる事。命じられた人間は、選択の余地もなく、人を殺さなければなりません。おそろしいことです。>

渡辺えり子
<人を殺していいということは自分も殺されていいし、自分の子供や親も殺されていいということです。そう思う人だけが「改正」に賛成すべきですよ。>



知る、ということ

2008年11月20日 | 映画製作日記
Norikoさんの記事で触れていた様に、『アンを探して』にとって、戦争と平和は重要なキーワード。

撮影では、ロイヤルカナディアンリージョンに実際に退役軍人達が使用するホールを貸して頂いたり、あるシーンでは、本物の退役軍人の方にエキストラ出演していただいた。ご高齢の方も多く、待機の時間が長かったり体調が悪くなり救急車を呼ぶ、などのハプニングもあったが、私のような若僧の指揮の下、それでも皆さん辛抱強くイヤな顔一つせず最後まで真剣にご協力して下さった。頭が下がる思いだ。

第一次大戦、第二次世界大戦。
この頃の戦争は、日本に限らず、どの国でもほぼ強制徴兵だった。イギリスと同盟国だったカナダは、自分の国と直接関係がなくても、銃の扱い方も知らない様な無知な若者達が戦争に駆り出された。

とくに、ヨーロッパでの凄惨を極めた地上戦の前線には、その当時、社会的に弱い立場にあったフレンチ系カナディアンや、ネイティブの人々が大量に前線に送られ、多くの人達が命を落とした。(偶然目にしたテレビ中継のセレモニーでも、ネイティブの方が、英語でも、フランス語でもなく、自分達の言葉で祈りを捧げていたのが印象的だった。)Norikoさんの記事にもあったように『アンの娘リラ』は、平和なプリンスエドワードにも容赦なく押し寄せてくる不吉な戦争の影を描いており、シリーズの中でも違った面で、胸に迫る一冊だった。

戦争で、花さく若者達の、青春は灰色になる。
これはどこの国の、どの戦争でも変わらない。

今の、この平和と自由は、ただ単に、当たり前に存在してるものじゃない。

たくさんの人が血を流して
たくさん無念な思いで死んでいって
たくさんやりきれない気持ちで殺していって
または一瞬のうちに大量に殺されて

そういうことがあって存在する「平和」の上に
私達はいるんだってことを 忘れていけないと思う。

私の場合、体験してないから、覚えてないけれど。

それでも、「人」として、同じ過ちを起こさない様に
知らないことを知ろうとすることは重要だと思う。

だから、卑屈になることなく、過去から学んで、
戦争が起きてからのことを考えるんじゃなくって、
戦争がまた再び起こることのないように、どうすればいいかと、
模索していかないといけない。

それは決して簡単なことじゃない。
でも、だからこそ、私は、この映画を作っている、
といっても過言ではない。

(といっても政党や宗教、右左・前後、関係なしに!)

いち、戦争を知らない者として...
また、戦争中、その前後の大変な時代を体験した祖母を持つ者としての、想いです。


退役軍人の方も混じっての撮影風景。英霊達に敬意を表するため、男性スタッフは全員帽子をとるようにいわれました。


同日、シャーロットタウンでは有名な(?)兵士のブロンズの前でも撮影が行なわれた。
P.E.I.政府のウェブサイト24時間リアルタイムの映像でも見える、お馴染みの場所です。

By Takako Miyahira
Photos by Noriko Fujimoto