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字が綺麗だねって言われたい!【動画紹介】ヒトコトリのコトノハ vol.40

2024年01月26日 | 動画紹介
☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
 ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!

 ●本日のコトノハ●
  第三十五段
  手のわろき人の、憚らず文書きちらすはよし、
  みぐるしとて人に書かするはうるさし。

 『改訂 徒然草』今泉忠義訳注(1957)角川書店


 たいていの人は、いつどのような場合において「見栄を張る」のでしょうか。
 例えば、女性の場合、化粧や髪型を完璧に整えたり、有名ブランドのバッグやアクセサリーを身に着けたり、スリムで若々しい体型を維持する傾向にあるような気がします。

 誰だって人から良く思われたいものです。そのためには、多少無理をすることもあるかもしれません。
 化粧品もバッグも高価なものは、それなりの値段がするものです。人によっては、経済的な余裕がないにも関わらず、そうした自分を良く見せるためのアイテムになけなしのお金をつぎ込むのだそうです。

 「見栄を張る」という言葉の意味は、うわべや外観を取り繕うことです。それは決して見た目だけではなく、『徒然草』に登場するこの言葉のように、字のきれいさ、つまり能力についても言えることです。
 自分は字が上手ではないから、字の上手な人に代筆を頼むというのは、「見栄を張る」うちに入る場合もあると思いますが、ただ、汚い字では解読するのが困難になるかもしれませんし、もしかしたら誤解を招くような伝わり方をするかもしれないので、正確を期すためとも考えられます。

 それでも、もらった手紙の字が美しかったら、その手紙を読んだ相手に好印象を持ってもらえるのは間違いないような気がします。
 なんと書いてあるか分からない手紙を読まされることほど不愉快なことはないと思うのは私だけでしょうか。

 兼好法師が感じたように、見栄を張っている人はどこか見る人を苛立たせるのかもしれません。
 しかし、人は誰しもより良い自分でいたがる生き物なのだと私は思います。
 例えそれが見っともなくても、そんな一面が人間臭く思えて不思議な共感を覚えてしまうのです。(自分も同じようにするかどうかは別のお話ですが)

 兼好法師の言葉だけを読むと、何となく非難がましく聞こえてしまうのですが、案外、彼自身も「人ってこういうトコあるよな。ったく、仕方ねーなー」くらいの気持ちで書きとめたのかもしれません。



ヒトコトリのコトノハ vol.40


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▼本の林の管理人ハヤシさんがお送りしています。
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