コロナウイルスの影響なのか、スーパーに行ってもコンビニに寄っても、欠品のまま補充されていないがら空きの棚を見ることが珍しくなくなりました。
私の家庭には子供がいませんが、今月に入って学校が休校になった地域もあるようで、そのせいなのか、なんとなく町の雰囲気が普段と違うような印象を受けています。
幸いなことに、私の住んでいる地域ではウイルス感染者がまだ出ておらず、人口の少ない田舎でもあるので、それほど外出に神経質になる必要はないのですが、それでも、気分的に出かけるのが億劫になってしまいました。
あまり外での仕事が少ない自営業のため、近所を散歩をしたり、自転車で買い物に行くことで運動不足を解消しているので、なるべく早期にこのウイルス騒動が収束することを願うばかりです。
さて、そんな中、ふと思い立って、好きな和歌に親しむことにしました。
(実は、ウイルスの影響でキャンセルになった仕事があって、若干自由にできる時間が増えたのです。あてにしていた貴重な臨時収入が消えてしまいましたが。。)
以前から、古語が持つ音の響きが好きで、いくつか好きな古典作品があるのですが、中でも和歌を鑑賞するのが好きです。
和歌で使われている技法は、頓智というか駄洒落のようで、読んでいて面白いです。
限られた字数で、言葉遊びをしながら自分の気持ちを表現するのはオシャレで洗練されたセンスを感じます。
古典作品の物語の中には、たいてい和歌が挿入されています。
そこで、好きな古典作品を一つ選んで、その物語の中に出てくる和歌で好きなものを勝手にランキングしてみました。
《落窪物語》は清少納言の《枕草子》よりも前に書かれたと考えられていますが、はっきりとは成立した年代が分かりませんし、誰が書いたのかも不明です。
また、印刷技術が未発達だった時代にはありがちなことですが、手書きで複製が作られていく過程において、写し間違いや、加筆修正がされている可能性が否めず、作品が書かれたのは平安時代中期以前と言われているのですが、完成したのは鎌倉時代なのではないかという説もあります。
そんな《落窪物語》に挿入されている和歌が71首あります。
どの歌も面白くて好きなのですが、中でも良いなと思う16首をランキングにしてご紹介していきたいと思います。
☆第16位☆
世の人の けふのけさには 恋すとか
聞きしにたがふ ここちこそすれ
《落窪物語》巻の二より 面白の駒(男君代筆)の歌
この歌は、主人公の男君が婿入りする予定だった中納言家の四の君のもとへ、自分の代わりに、顔が細長く馬に似ていると評判の面白の駒を送りこみ、二人がめでたく夫婦となった翌朝に、新夫の面白の駒から、妻の四の君に歌を送る習わしなのですが、駒の君は歌を詠むのが苦手だということで、男君が代わりに詠んであげたものです。
この歌の面白いところは、本来ならば新婚さんなので、夫からは「恋しくてたまらない」という内容の歌が送られるべきなのに、この歌は「全然恋しくない」という意味になってしまっていて、なおかつ、和歌の知識が乏しい面白の駒がそのことに気がつかずに、男君に言われるままに新妻に送ってしまっているところです。
なぜ、男君がこんな歌を詠んだのかというのには、もちろん理由があります。
そもそも、中納言家は美男子と誉れの高い男君を四の君の婿に欲しかったのですが、男君の愛する女君(落窪の君)に酷い仕打ちをした中納言家の北の方に仕返しをしたい男君は、この縁談話を復讐に利用することにしたのです。
ですから、美男の自分の代わりに、お馬さんにそっくりの面白の駒が婿となるように画策しましたし、せっかくの新婚の仲に水を差すような和歌を詠んでやったのです。
新妻の四の君は、この時14歳でした。
《源氏物語》の末摘花の件からも分かるように、当時は男女がお互いの顔をしっかり見るまえに一夜を共にすることは珍しいことではありませんでした。
噂の美男子だと思っていた相手がお馬さんにそっくりで、しかも送られてきた恋の歌が「全然恋しくないよ」なんて冷めたものだったなんて、まだ若い娘の四の君には本当に気の毒な結婚だったと思います。
このエピソードはフィクションですが、もしかしたら、平安時代には似たような事例が実際に見られたのかもしれません。
いつの時代も、結婚にまつわる四方山話は尽きないものですね。
私の家庭には子供がいませんが、今月に入って学校が休校になった地域もあるようで、そのせいなのか、なんとなく町の雰囲気が普段と違うような印象を受けています。
幸いなことに、私の住んでいる地域ではウイルス感染者がまだ出ておらず、人口の少ない田舎でもあるので、それほど外出に神経質になる必要はないのですが、それでも、気分的に出かけるのが億劫になってしまいました。
あまり外での仕事が少ない自営業のため、近所を散歩をしたり、自転車で買い物に行くことで運動不足を解消しているので、なるべく早期にこのウイルス騒動が収束することを願うばかりです。
さて、そんな中、ふと思い立って、好きな和歌に親しむことにしました。
(実は、ウイルスの影響でキャンセルになった仕事があって、若干自由にできる時間が増えたのです。あてにしていた貴重な臨時収入が消えてしまいましたが。。)
以前から、古語が持つ音の響きが好きで、いくつか好きな古典作品があるのですが、中でも和歌を鑑賞するのが好きです。
和歌で使われている技法は、頓智というか駄洒落のようで、読んでいて面白いです。
限られた字数で、言葉遊びをしながら自分の気持ちを表現するのはオシャレで洗練されたセンスを感じます。
古典作品の物語の中には、たいてい和歌が挿入されています。
そこで、好きな古典作品を一つ選んで、その物語の中に出てくる和歌で好きなものを勝手にランキングしてみました。
《落窪物語》は清少納言の《枕草子》よりも前に書かれたと考えられていますが、はっきりとは成立した年代が分かりませんし、誰が書いたのかも不明です。
また、印刷技術が未発達だった時代にはありがちなことですが、手書きで複製が作られていく過程において、写し間違いや、加筆修正がされている可能性が否めず、作品が書かれたのは平安時代中期以前と言われているのですが、完成したのは鎌倉時代なのではないかという説もあります。
そんな《落窪物語》に挿入されている和歌が71首あります。
どの歌も面白くて好きなのですが、中でも良いなと思う16首をランキングにしてご紹介していきたいと思います。
☆第16位☆
世の人の けふのけさには 恋すとか
聞きしにたがふ ここちこそすれ
《落窪物語》巻の二より 面白の駒(男君代筆)の歌
この歌は、主人公の男君が婿入りする予定だった中納言家の四の君のもとへ、自分の代わりに、顔が細長く馬に似ていると評判の面白の駒を送りこみ、二人がめでたく夫婦となった翌朝に、新夫の面白の駒から、妻の四の君に歌を送る習わしなのですが、駒の君は歌を詠むのが苦手だということで、男君が代わりに詠んであげたものです。
この歌の面白いところは、本来ならば新婚さんなので、夫からは「恋しくてたまらない」という内容の歌が送られるべきなのに、この歌は「全然恋しくない」という意味になってしまっていて、なおかつ、和歌の知識が乏しい面白の駒がそのことに気がつかずに、男君に言われるままに新妻に送ってしまっているところです。
なぜ、男君がこんな歌を詠んだのかというのには、もちろん理由があります。
そもそも、中納言家は美男子と誉れの高い男君を四の君の婿に欲しかったのですが、男君の愛する女君(落窪の君)に酷い仕打ちをした中納言家の北の方に仕返しをしたい男君は、この縁談話を復讐に利用することにしたのです。
ですから、美男の自分の代わりに、お馬さんにそっくりの面白の駒が婿となるように画策しましたし、せっかくの新婚の仲に水を差すような和歌を詠んでやったのです。
新妻の四の君は、この時14歳でした。
《源氏物語》の末摘花の件からも分かるように、当時は男女がお互いの顔をしっかり見るまえに一夜を共にすることは珍しいことではありませんでした。
噂の美男子だと思っていた相手がお馬さんにそっくりで、しかも送られてきた恋の歌が「全然恋しくないよ」なんて冷めたものだったなんて、まだ若い娘の四の君には本当に気の毒な結婚だったと思います。
このエピソードはフィクションですが、もしかしたら、平安時代には似たような事例が実際に見られたのかもしれません。
いつの時代も、結婚にまつわる四方山話は尽きないものですね。
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