エクレアのあのねのね

大と為せば、以って大と為すに足らず

















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取らぬ狸の皮算用

2007年05月06日 14時13分23秒 | 徒然日記の50
キヤノンは4日、開発中の新型薄型テレビ「SED(表面電界ディスプレー)」技術をめぐる米テキサス州地裁での公判審理が終了したことを明らかにした。キヤノンにSED技術を供与した米ナノ・プロプライアタリーは、契約時にキヤノンが東芝とSEDテレビを共同開発する計画を隠していたと主張。それが詐欺行為に当たると訴えていたが、ナノ社は詐欺についての主張を取り下げた。陪審もナノ社に損害はなかったとの評決を下した。

 今年2月には、キヤノンが特許ライセンス契約に違反し、そのために契約自体が終了したとの中間判決が下っている。キヤノンはこの判決が確定した場合、控訴する方針を決めている。

このニュースはずっと前から興味のある問題。
次世代テレビ(液晶、プラズマ、有機ELなど)の中では最高の画質を誇るSEDが生産できるかどうかという瀬戸際に立っているニュースなのでどう決着するのか成り行きを見守っていた。

東芝がライセンスの問題で共同開発から撤退、キャノンからのパネル購入と言う形で販売する予定はあるがキャノンにライセンスが下りなければそれもまたなくなる話。

問題はナノ社。ライセンスを持っていても所詮生産能力などない会社で、アメリカお得意の特許料で飯を食おうと言うハイエナ会社だ。
特許と言うやつは技術的に確立していなくても机上の計算でも特許の取得が出来る。実際の生産には途方もない努力と経済力が付いて回る内容でも頭で考えるのはタダなもんで、先行して特許のみを登録、そして現実に生産しようとする企業が現れれば多額のライセンス料で契約して利益をむさぼるわけだ。

ナノ社はキャノンと独占契約を結んでいたが、テレビの生産において後発のキャノンは東芝と共同で開発に当たったわけだけど、これが契約違反に当たるとキャノンを訴えたわけだ。

ライセンス違反を盾にキャノンとの契約は破棄されたと主張し、興味を示している韓国企業と独占契約を結んでもいいんだと強気でキャノンを脅している。

キャノンはSEDの開発には何十年もかけている。当然ながらこの道のエキスパートであり、いくらテレビ生産のノウハウのある韓国企業とライセンス契約をしても実際の生産、販売にこぎつけるには10年といわないでもその半分ぐらいは楽にかかるんじゃないかと思われる。
そのころには有機ELなど新しいテレビや液晶、プラズマなどの安売りの中での発売となる上、技術的な進歩でSEDのアドバンテージは相殺されてしまう。現状でもコストの面で問題が多く発売できないでいるSEDなのでこの先はもっと不利になる。

生産、量産がかなり現実的な今をおいて販売も出来なければ、いくらすぐれた技術でも日の目を見ることはなくなるわけで、ナノ社はキャノンとのライセンスを反故にする勇気は多分ない。出来もしないだろうと思っていた技術が製品として販売が現実的になりつつある現在、今以上に有利なライセンス契約をしたいと思っているだけだろう。もし本当に実行すれば取らぬ狸の皮算用になる可能性は限りなく高くなる。
キャノンだって本業の儲けをこれ以上将来のない開発に注ぎ込めはしない。

ソニーや東芝は相次いで次世代候補の有機ELテレビを発売すると発表している。ソニーは年内にも発売とアナウンスしている。

次世代テレビとしてはホログラムなどの立体テレビなど新しい発想が目白押しであり、ナノ社がごね得をすることは殆どありえない。

今でこそテレビ局がマスターモニターとして使いたいなど需要があるSEDだけど、今後もそうあるかといえば保証の限りではない。

今回の判決はキャノンにはとりあえずホッとした内容の判決だったけど、契約が有効かどうかによってはキャノンは撤退の可能性も秘めているわけで。
ナノ社は机上の空論で夢を見るのか?現実的な見入りを期待するのかわ分からないが絵に書いた餅で腹が膨れるのなら一生夢見ていればいいのではないかと言いたい。


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