あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

君の生きる未来は(セリニアス)

2020年05月15日 | 創聖のア◇工リ〇ン関係

 

 

これは、2005年7月23日に書いた「創聖のアクエリオン」の二次創作SSの再掲です。

セリアンとアポロニアスの間に子供が生まれたという俺設定(公式?)です。

名前は俺設定なので、予めご了承ください。

短いですが、大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

<君の生きる未来は>


午後の日差しが暖かくアポロニアスの頬を照らす。
セリアンは産後であるにも関わらず、忙しく書類のサインに追われている。
授乳後は乳母達に任せていたが、剣の稽古が終わったアポロニアスはいつもの子守を願い出た。
シルクとレースの産着に包まれた赤ん坊はセリアンとアポロニアスの子供である。
最初の子供である王子は、セリアン譲りの柔らかな金の髪をしていた。
何よりもわが子である証拠が綺麗に折り畳まれた背にある翅であった。
2人の子が産まれた時、産婆達は不吉だと嘆いたが、セリアンは素直に喜んでくれた。
人の子と何の変わりは無いと言い、優しく赤ん坊ごとアポロニアスを抱き締めてくれた。
泡のように脆く壊してしまいそうだと最初はびくびくしながら赤ん坊を抱いた。
柔らかい頬に自分の頬を摺り寄せると愛おしさが込み上げてくる。
セリアンが微笑んでアポロニアスの頬を撫でてやる。
感動で涙を流すこの男を本当に愛していた。
幸せにしてやりたかった。
自分が死んだ後に一人にさせない為に子供を産んだ。
将来、母として不純だったと詰られるかもしれない。
でも、それ程に強くて脆いこの男を愛していたのだ。
そんなセリアンの愛にアポロニアスも全力で応えた。

「アポロニアス、若君に余り日を当ててはいけない。午後の日差しは強い」

蒼い髪の剣士が声を掛けてきた。
アポロニアスは頷いて王子の頬に口付けると乳母車に下ろし、日差しのカバーを下げた。
厚いベールが赤ん坊の顔に影を作る。
男は微笑した。
アポロニアスは赤ん坊を誰の目から見ても溺愛していた。
剣術の稽古をしている際には見せないが、終わった途端に、すぐ父親の顔になる。
行っていいかと視線だけで訴えてくるので、男はいつも苦笑して促してやるのだ。
実際、王子はこの世の幸福を全て持ち合わせたかのように愛らしかった。
しかし将来、人間界を左右するだろう運命の子供なのだ。

「名は決めたのか?アポロニアス」

蒼い髪の男を振り返って、静かに微笑む。

「シリウス…と付けようと思う」
「焼き焦がす…星か?お前の子にふさわしい名だ」

蒼い髪の剣士は声もなく笑った。
アポロニアスも嬉しそうに頷く。
いつしかこの男も自分のことを名で呼ぶようになっていた。
今でもアトランディアでそうであったように、自分のことを「太陽の翼」「翼」と呼ぶ者しか居ない。
唯一名を呼んでくれるのは、セリアンとこの男だけであった。
兵器としてではなく、人として、感情を持つ者として認めて貰った気がした。
愛しいわが子が生まれ、傍らには友と呼べる人間の男が微笑んでいる。
アポロニアスは幸せだった。

「シリウス…、お前の生きる未来は…私が…、私が必ず護る。
だから…今は健やかに……」

赤ん坊はすやすやと気持ち良さそうに寝息を立てている。
アトランディアの襲撃は日に日に過酷を極めていた。しかし、負ける訳にはいかなかった。
セリアンを、この男を、人間達を救わなければ、この子の未来はないのだ。

「アポロニアス、セリアン姫がそろそろ限界に達する頃だ。シリウス王子を連れてってやれ」

蒼い髪の剣士は頭上に聳える塔を顎で指し示した。
本来剣士であるセリアンは机上の公務を毛嫌いしているのだ。
王妃として仕方なくこなしては居るが、我慢は足りない。

「そうだな。名前を教えてやらんと」

塔からはアポロニアスを呼ぶ高らかな声が木霊していた。


<了>

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シリウスと言う名は登場人物に出ていたので、俺設定でもあります。
歴代、シリウスの名は時折付ける的な感じかなと思いまして付けました。
シルヴィアとシリウスが子孫という事は、二人に子供が居たと言う事。
産まれて良かったね。これでアポロニアスはセリアンが死んでも一人じゃないね。
そう思って書きました。

 

 

 

 


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