あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

終着駅 トルストイ最後の旅(2009年)

2016年10月27日 | 映画関係




内容に触れたネタバレ・腐発言有りです。閲覧には自己責任でお願いします。
大丈夫な方のみ下↓↓↓↓へスクロールして御覧下さい。
































<感想と考察>




先ずはトルストイに関して無知な私は「戦争と平和」の作家さんだよねくらいにしか知りませんでした。
そして彼の妻、ソフィアが「世界三大悪妻」の一人だったという事も後で知りました。
知らないまま作品を観てしまったので、思想自体や主人公などの思いも戸惑いましたが、不思議と受け入れられました。
要はソフィアは旦那さんであるトルストイを愛していたけれど、沢山の子供と家を護る義務があったので、
(旦那は思想や弟子の為、家族を蔑ろにしていたと私には思えました)
著作権に拘ったし、遺書も家族メインに書いて欲しかったのだと思います。
話はそういう事で単純なのです。
トルストイの思想、トルストイ主義というらしいのですが、欲からの解放だそうです。
その為、彼が今まで書いて来た本の著作権=財産を国の財産として国民や弟子達に譲りたい弟子達。
弟子達はトルストイに遺書にそう書いて欲しいと画策します。
でも、妻ソフィアは10人以上いる子供達と伯爵家の土地、財産を維持する為、勿論家族に財産を残して欲しい。
だから、遺書には家族に財産を残すと書いて欲しい。その闘いなのです。

その為、夫婦喧嘩が絶えず、結局は娘と弟子達に唆され、遺書に国に財産を残すように書いてしまうトルストイに、
妻ソフィアは激怒。耐え切れなくなったトルストイは弟子達と娘を連れて家出してしまうのです。
でも、家出の途中、具合の悪くなったトルストイは田舎の駅で下車。
ホテルが無い為、下車した駅の近くにある駅長さんの家を借りて療養しますが、其処で亡くなってしまう。
だからタイトルが「終着駅」なのです。
そんな仲の悪さばかり際立ったように感じるでしょうが、喧嘩していない時は本当に二人はラブラブで、
あの時代に本当に運命的な出会いをし、恋愛結婚したような台詞があります。
喧嘩の最中でも、仲直りして愛を確かめ合ったりして、欲=性欲も拒否なんじゃないの?と突っ込みたくなるくらい。

結局は何がテーマかと言うと、夫婦愛だと思います。
wiki先生でも、「両者の対立は、トルストイが宗教や社会活動に傾倒して家庭を顧みなかった一方
(晩年のトルストイは印税や地代の受け取りを拒否しようとしたほか、著作権その他の遺産を「ロシア国民に移譲する」とする遺言状を作成しようとしていた)、
ソフィアが十数人の子どもたちを養い、生活を守るために現実的に生きざるを得なかったためと主張している。
映画「終着駅 トルストイ最後の旅」では、トルストイを深く愛しながらも、彼と対立していくソフィアの報われない愛が描かれている」とあります。

最終的に私もそれが分かったので、現実的な妻=女性からの立場から言わせて貰えば、
ソフィアの言い分は最もであり、後にロシアはその著作権を妻ソフィアに返還したそうです。
やはり主義主張もいいけど、家族を養えない男は、国の父どころじゃないと思うのです。
トルストイの、生い立ちや歴史に翻弄され、そういう思想になったのはいいとして、家族を持った以上は責任があると思います。
恋愛結婚してラブラブでいい作品を一杯書いたのに、晩年になって急に「欲を絶つ!」と言われても、
愛し合ってるのに、何でプラトニックじゃなきゃいけないの!?と家族ならそう思います。



そして遅くなりました。
ジェームズ演じるのはトルストイ主義の若き青年ワレンチン・ブルガコフ。
トルストイを信奉し、彼に憧れる青年です。勿論まだ純潔だと思われます。
そんな彼が、トルストイ支持者のチェルトコフから、妻ソフィアの動向を探る為、秘書として送り込まれます。
はっきり言って、ワレンチンめっちゃ可愛いです。純真で、トルストイに凄い憧れてて本当に可愛いです。
トルストイ自体は普通のおじいちゃんなので、ワレンチンに逢って、気軽に話し掛けてくれて、
尊敬しているトルストイの秘書になったと実感。然もトルストイが自分の論文を読んで貰ってると知って涙ぐんじゃう子です。
設定なのか、シリアスな話にくすっとした要素を入れたかったのか、ワレンチンが緊張すると、くしゃみをする癖があるんです。可愛い。







ワレンチンは秘書をしながら、トルストイと妻ソフィアの夫婦喧嘩に巻き込まれていくんですが、
夫婦喧嘩の最中に緊張して、くしゃみしちゃって夫婦二人に「お大事に」と言われたりして、「子はかすがい」やってる可愛い子でした。
ワレンチンはトルストイ家族が住むヤースナヤ・ポリャーナ(邸宅)に近くの村から通うんですが、
其処はトルストイ主義の弟子達が住む村で、その思想に基づいた生活をしているみたいなんです。
其処で出逢った一風変わった女性マーシャに心惹かれます。
でも、トルストイ主義は禁欲。勿論女性と仲良くなるのは異端と思われても仕方無いのですが、
彼の純粋さにからかう気持ちがあったのか、マーシャは何とワレンチンに夜這いをしてくるのです。
はい、此処ポイントです。
男の人なのに夜這いされる。まるでオネショタです。
蝋燭とランプの灯りの中で、仰向けで本を読んでいたワレンチンの上に馬乗りになるマーシャ。
「駄目だ」
と拒否しつつも、何回かキスされてしまうと、其処は若い男の人です。つい、応えてしまいます。
自ら上衣を脱ぐワレンチン。白い肌、ピンクの胸が色っぽいです。
お姉さん(マーシャ)が襲いたくなる気持ち、皆分かっちゃいます。
襲われてる感じで、ついすぐに達してしまうワレンチン。それは、は じ め て だ も の。仕方無いですよね。
マーシャも(いっけね、初物食べちゃった…)的な慣れた感じで慰めてくれます。
ワレンチンの童貞臭さがまた初々しくて、可愛らしいです。
朝チュンの時も愛に目覚めた天使のようで、本当に可愛いです。あ、私、可愛いしか言ってない。本当ですし。

結局、恋を知り、女性を愛するようになったワレンチンは、
その思想により、トルストイの考えも分かるし、愛しているからこそ苦しんでいるソフィアの気持ちも分かってしまう。
だから、二人の間に挟まれ、苦しむ事になります。
ヤースナヤ・ポリャーナ(邸宅)には召使の他に実の末娘サーシャが住んでいるのですが、
サーシャは根っからの父派で、実母のソフィアを敵のように見なしています。酷い。
娘のサーシャが父派なら、ワレンチンは秘書というより、義理の息子だった気がします。
次第にソフィアの知らない処で、トルストイに遺書を書き直させようと画策している兄弟子チェルトコフ達に疑問を抱くワレンチン。
愛しているトルストイから拒絶され続けるソフィアに同情を隠せない優しい子なのです。

そんなワレンチンは自分を避けるマーシャに愛を告白。
しかし、初めはからかっていたのか、最初から自分は相手にされないと諦めていたのか、純粋過ぎて本気にさせられないと思ったのか不明ですが、
マーシャはワレンチンを拒否します。
「そういうつもりじゃなかったのよ」
でも、純真なワレンチンは一度でも同衾したのだからとキラッキラのお目めで「愛してるんだ」と縋ります。
(遊んだんじゃないんだよね?嘘だよね?)的な目で涙ぐみながらマーシャを見詰めます。
でも、トルストイ主義の禁欲は捨てられないでしょ?的な意味合いで去ろうとするマーシャに、
ワレンチンは必死に彼の思い付く限りの性的な台詞を叫んで、彼女を振り向かせます。
「私の部屋に来て」
「え?いいの?!」
マーシャがどういうつもりで、ワレンチンに夜這いしたのかは不明ですが、彼の求愛を拒否するとは思いませんでした。
そして、どういうつもりで彼を受け入れようと思ったのかも未だ分かりません。
でも、朝チュン後、彼が愛を知った上でもその思想が変わらない事を知って彼女は本気になったのだと思いました。
ワレンチンの信念の言葉に感動し、慈しむ目線を落とします。そして言うのです。感動さえ覚える表情です。
「…心がきれいな人」
「…やっと出逢えた…」

そして愛を確かめ合うのですが、兄弟子達の嫌がらせによりマーシャはモスクワでの仕事を紹介され、帰郷する事に。
その頃、トルストイとソフィアの間は修復が不可能な程に関係は悪化。
遺書もソフィアの知らぬ処で書き換えられてしまうのです。
一緒にモスクワへ来て欲しいと懇願するマーシャ。でも、そんなソフィアを一人置いていける程非情では無い子です。
泣く泣くワレンチンは一緒に行けない、分かって欲しいと泣くのです。優し過ぎて可哀想な程です。
やがて遺書の書き換えがソフィアにバレてしまい、トルストイは逃げるようにヤースナヤ・ポリャーナから家出するのです。
自殺騒ぎを起こすなどソフィアを一人に出来ないと苦しむワレンチン。
やがて娘のサーシャまでトルストイを追って家出してしまい、いよいよワレンチンは身動き出来なくなってしまいます。
ただの秘書なのに、本当、ここまでくると義理の息子みたいです。
ソフィアも愛を知って蝶のように綺麗になったワレンチンを可愛がっていたので、その恩返しもあるかもしれません。

やがてソフィアの代わりにとワレンチンもトルストイ一行に合流し、トルストイの発熱により小駅アスターポヴォで下車。
高熱と高血圧が続き、ワレンチンは早急にソフィアに電報を送ります。
ワレンチンだけがソフィアの味方なのです。
駅に到着したソフィアでしたが、娘サーシャや弟子達から面会を拒否され逢えない日が続きます。
ワレンチンが必死に逢わせるよう皆を説得するものの、許可が出ず、ワレンチンはソフィアとの間で苦しみます。
その苦しみからつい、モスクワにいるマーシャにも苦しみを訴え、来て欲しいと懇願します。
此処等辺、他の殿方のように変な意地を張ったりしないのが、ワレンチンの純粋なトコなんだろうなぁと思います。
やがて、娘のサーシャが折れ、ソフィアはトルストイの最後を看取る事が出来るのです。
多くの支持者や記者達が祈りを捧げる中、棺と共に駅を去るソフィアは心無しか、ほっとした表情でした。
ソフィアが心から愛したトルストイは、合わせて多くの苦しみを彼女にもたらしたのです。
それからの解放もあったのかと思います。
群衆の中、マーシャも駆け付け、涙ぐむワレンチンを強く抱き締めるマーシャ。
ホント。最後の最後までワレンチンがヒロインでした。ホントいい子。
後にワレンチンも作家になり、一生平和主義を貫いたとの事です。
トルストイとソフィア。お互い愛しているのに、愛し合っているのに、なぜ?と言える映画でした。



ジェームズが演じるワレンチンは正にジェームズが演じるに相応しい純粋で強い信念を持った青年です。
「ウォンテッド」のウェスリー、「ビトレイヤー」のマックスも素敵ですが、「つぐない」のロビーに似ていて、
その精悍な容姿も相まってジェームズに凄くぴったりな役柄だと思います。ジェームズ度は★★★★☆。
確かにワレンチン目線でしたが、あくまでもタイトルは「トルストイ」の名を頂く為、主役ではありません。その為、★は4つです。
ジェームズはこういう繊細で、純真な役はぴったりだと思うのですが、色んな役を演じられる俳優さんなので、
次はどんな役柄を演るのか、楽しみです。

尚、トルストイの思想や内容に誤りがあるかもしれません。あくまでも私の感想と考察なので、予めご了承下さい。
トルストイに関しての詳しくは各々wiki先生で御覧下さい。色々勉強になります。
此処まで読んで下さって有難うございます。
ジェームズの良さを分かって頂ければ嬉しいです。






















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