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沖縄タイムスプラス2016年5月18日の記事を紹介します。
■中南部3地区で28倍増に
» 沖縄は基地収入で“食べて”いるのか【誤解だらけの沖縄基地・28】
県が2015年1月に公表した米軍基地返還後の跡地利用に関する最新の調査結果では、那覇市の「新都心」「小禄金城」と北谷町の「桑江・北前」の3地区の活動による直接経済効果は、返還前の89億円から返還後には2459億円と、28倍に増えている。人口の集中する沖縄本島の中南部地域では、米軍基地がいかに経済発展の阻害要因になってきたか、その一端をうかがい知ることができる。
活動による直接経済効果とは、返還前では軍用地料、軍雇用員の所得、米軍関係者の消費支出や国からの基地周辺整備費や基地交付金など、返還後では跡地に進出した卸・小売業、飲食業、サービス業、製造業の売上高、不動産賃貸額などから算出している。
新都心地区の195・1ヘクタールでは、大型商業施設のほか、県立博物館・美術館などの公共施設を整備。直接経済効果は52億円から1634億円と32倍、生産誘発額は57億円から1624億円と28倍、誘発雇用人数は485人から1万6475人と34倍、税収効果は6億円から199億円と31倍に伸びた。
小禄金城地区の108・8ヘクタールでも大型商業施設や住宅が並び、直接経済効果は34億円から489億円と14倍、生産誘発額は30億円から482億円と16倍、誘発雇用人数は257人から4885人と19倍、税収効果は1億5千万円から59億円と36倍に伸びた。
飛行場や射爆撃場が返還された桑江・北前地区の38・2ヘクタールは、若者の人気スポットに生まれ変わった。直接経済効果は3億円から336億円と108倍の伸びで、突出する。生産誘発額は3億円から330億円と110倍、誘発雇用人数は25人から3377人と135倍、税収効果も4千万円から40億円になるなど、大幅に増えている。
さらに昨年4月に開業した北中城村・旧米軍アワセゴルフ場地区のイオンモール沖縄ライカムは県内最大の売り場面積を持ち、県経済をけん引する勢いだ。
■「普天間」は32倍 3866億円
日米両政府が2013年4月に返還時期などを大まかに定めた米軍嘉手納基地より南の施設・区域の統合計画について、県は15年1月、返還後の経済効果を試算した。宜野湾市の全面積の4分の1を占める普天間飛行場(約481ヘクタール)では、活動による直接経済効果が返還前の120億円に比べ、返還後3866億円と32倍に増えると見込む。
返還後の施設、基盤などの整備による直接経済効果は公共、民間を含め、5027億円。活動による経済波及効果を返還前後で比べると、生産誘発額が130億円から3604億円と28倍、誘発雇用人数が1074人から3万4093人と32倍、税収効果が14億円から430億円と32倍に増えると試算している。
ただ、普天間の返還時期は「22年度またはその後」とされるが、米政府が日米両政府は県民の多くが反発する「辺野古移設」を条件としており、返還の行方は不透明になっている。
そのほかの施設・区域の活動による直接経済効果をみると、キャンプ桑江(84ヘクタール)が40億円から334億円と8倍、キャンプ瑞慶覧(現段階で152ヘクタール)が109億円から1061億円と10倍、牧港補給地区(274ヘクタール)が202億円から2564億円と13倍、那覇空港に近い那覇軍港施設(56ヘクタール)が30億円から1076億円と36倍に伸びると算出している
中南部地域の基地返還状況
返還駐留軍用地の経済効果
旧米軍アワセゴルフ場跡地に開業したイオンモール沖縄ライカム=4月、北中城村
返還予定駐留軍用地が返還後の活動による経済波及効果(試算)
返還予定駐留軍用地の経済効果(試算)