< 1.期待はすれど・・、元から断たなければ! >
今回は、新自由主義国の政治経済の全体像を漫画的に説明します。
細かく見れば複雑ですが、実は単純明解です。
他国とは少し異なりますが、日本を例に見ます。
< 2. 現在の政治経済の姿 >
この状況は1980年代の大転換から始まりました。
新自由主義国は小さな政府と規制緩和を目指し、労働組合を潰し、グローバル化を推進し、大規模に貨幣供給の制御を始めた(かつて労働者は規制・権利擁護によって守られていた)。
- 中央の黒矢印A
最初の地盤崩壊は、2段目の労働団体の弱体化です。
政府は企業に有利なように労働組合を弱体化させ、非正規雇用を増やすなどを行った。
政府と経済界は、これまで様々な手段を陰陽に駆使して労働組合を弱体化させて来ている、現在も。
労働組合の弱体化は、労働者寄りの政党も弱体化させることにもなる(日教組の弱体が社会党の弱体に繋がったように、これは日本だけではない)。
- 中央の黒矢印B
次の地盤変化は、1段目の金融業の隆盛です。
政府は景気浮揚策として、投機の規制緩和と金融緩和(低金利と日本銀行の貨幣供給拡大など)を行った(日本は破格規模の土木事業も続けた)。
これは本来目指したものではないが、経済が良くならないので仕方なく始めたが抜け出せなくなり、大きな災いを生むようになった。
- 上半部の赤矢印CとD
相次ぐ政策で富裕層や企業が豊かになり、政府への影響力Cが増します。
遅れて、金融業(投機)の膨張は投機家(富裕層)の影響力Dが増します。
これは金融危機とグローバル化が進む度に強くなりました。
一方労働者(国民)、つまり大多数の国民の所得が伸び無くなり経済成長が鈍化し、デフレが続く事になり、格差の拡大もつづくようになった。
- 大きなピンク枠「政府」
政府は、定着するデフレを克服する為に、益々規制緩和と大型の金融緩和で景気浮揚を目指すが効果が出ない。
一方、政府(議員)は選挙(資金と組織票)と経済政策の為に、大きく力を付けた経済界と富裕層と強く繋がることになった。
すると政府の規制緩和(商取引、金融取引、労働者の権利、業界保護など)は恣意的になり、つまり経済界と富裕層に都合の良いものになった。
法人税・相続税・所得税(高額部分)の減税と消費税増税もこの結果です。
金融緩和策(低金利と貨幣供給拡大、投機奨励など)なども同じです。
当然、大多数の経済学者も経済界と政府に癒着します。
特に一党長期政権が続く日本では腐敗が強く、政策はより偏向したものになった。
この結果、さらに格差拡大と低所得層の消費が減り、経済が落ち込み、また金融危機が繰り返すようになった。
- 下部の矢印EFGH
かつては国民の声が、矢印Hのように選挙を通じて、国会に反映されたのですが、今は様変わりしてしまった。
新自由主義国、特に米国では富裕層が選挙に大きく影響するようになった。
この理由は規制緩和により、富裕層が莫大な資金力にものを言わせ身贔屓の候補を選挙支援するようになり、また公平性を持たない報道機関が扇動出来るようになった事が大きいい(金権政治)。
残念な事に日本では、政治社会意識を育てない学校教育と、政府の露骨なまでのマスコミ抑圧が、一層、国民を選挙から遠ざけ、政治を不毛にしている。
* まとめ
欧米先進国は概ね、新自由主義国になっており、米英日が先頭を走っている。
国によってバラツキはあるが、悪化の基本構造は同じであり、グローバル化で益々競争しながら均一化され、悪化の度合いを増している。
残念な事に、政治文化が遅れ腐敗している国は一層酷くなる運命にある。
一方先進国でも、比較的小さな国(北欧など)は別の道を歩み、新自由主義国のような格差拡大、分断、治安悪化から免れている。
さらに幸福度など社会経済指標は世界ランキングでいつも上位にあるのが羨ましい。
次回はグローバル化した経済を見ます。
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